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移住理由へのコンプレックスを手放して|尾崎友紀さん(宮崎 / 20代)

LIVE DESIGN School の23年度メンバー同士が、根掘り葉掘りするインタビュー企画! 各地で活動するメンバーたちが日々考えていること、そして、LDSの参加を経て見えてきた展望とは...?

プロフィール
 愛知県立芸術大学卒業後、東京へ。株式会社CRAZYに入社し「人生が変わるほどの結婚式」をブランドメッセージとして掲げ、70組以上のオリジナルウエディングを手掛ける。プライベートでは、「暮らしをつくる」をテーマとしたDIYシェアハウス日日で築90年の古民家リノベーションを行う。建築デザイン事務所に入社後、古民家解体時に出てきた古材・古物をアップサイクルする店舗の立ち上げ、店舗内装、販売から運営に携わる。2023年、宮崎県日南市を拠点に独立。
 独立直前に、オフィスキャンプの坂本大祐さんがシェアしていた記事を見たパートナーが「こんなデザインスクールあるらしいよ」と教えてくれたのがきっかけでLDSの存在を知る。宮崎で1人で独立すると決めたはいいものの、不安もあるなか「地域×デザインの学校」というテーマなら入るしかない、と参加を決意。

━━ 宮崎の日南市に移住される前はどんなことをされていましたか?

元々は東京で、ウエディングブランド「CRAZY WEDDING」を展開している株式会社CRAZYのアートディレクターとして働いていました。働きがいも感じ、その会社で空間デザインの技術と感覚を磨いていたのですが、徐々に空間のハード面の理解も深めたいという思いが芽生えてきたんです。そんなタイミングで捨てられてしまう廃材、古物をアップサイクルする事業を立ち上げる、という話を建築デザイン事務所からいただき日南市にご縁ができました。

━━ ここまで半年間のプログラムで印象に残っていることはありますか?

リードデザイナーの皆さんが共通して仰っているのが「とりあえずやってみる」ということだなと思っていて。行動したからこそ見えてくる過程があるということをすごく感じさせてもらっています。私も背中を押されて、 株式会社GLIDER のオフィス「堀川ラウンジ」という場所でデザイナーとして働く傍ら、水曜日の夜だけカフェを始めることにしたんです。実は、今までの自分では考えられないくらいカジュアルに始めてしまいました。

━━ おおすごい! どんなカフェになるんですか?

日頃のお仕事で高校生たちと関わるなかで、彼らが夜に集える場所がないという話を聞いたんです。同様にアルコールを飲まない層の若者も、勉強したり、ちょっと仕事したいけど、なかなかそういうのがないんだよねという話を聞いて、彼らがメインになるようなカフェをやってみようかなと。多分、今までの自分だったら、カフェをオープンするのであれば無理をしてでも週に5回は開かないといけないとか、デザイナーなのにやって良いのかなとか、なかなか行動にうつせなかったと思うのですが、自分の中でまだ50点かもしれないけど「やりながら考える」ことが大切かなと思って始めちゃって。それは自分の中での大きな変化ですね。

東京だったらこんなにすぐ決断できなかったと思うのですが、逆に地域のほうが新しいことを始めやすいなと思いました。

━━ LDSに参加するなかで、自分の地域の見え方も変わってきたところなどありますか?

もちろん私は今住んでいる日南市が好きなんですけど、正直すごく好きでここにきたのかと言われたら、何か違うなという気もしていて。

パートナーが宮崎が大好きすぎて移住していたことと、仕事で面白そうなご縁があったからという2つの理由で移住してきたことが、実は心のどこかでコンプレックスだったんです。地域へいく人はみんなその場所が大好きで行っていたり「自分の暮らし方を変えたい」という強い意志を持ち頑張っている人が多いなか、自分はこれでいいのだろうかみたいな。

私は出身が長野なので、一度東京に出てから、このまま長野に帰らず宮崎で活動を続けていいのかなとも思っていました。でも、リードデザイナーの稲波伸行さんのレクチャーで、「流されてたどりついたところで頑張る大事さ」という話を聞いていて、腑に落ちるところがあったんです。流されてきたのだから、今の自分のフィールドはここなんだという、何か覚悟というか、ここで頑張るのも一つの私の生き方だなと思えるようになりました。

━━ おお! 尾崎さんはLDSで自主企画のプロジェクトもたちあげておられますよね。

LDS参加者の有志メンバーを募って、全国のおすすめの場所マップをつくるプロジェクトを立ち上げました。その制作過程がめっちゃくちゃいい時間だったんです。

普通、仕事が終わったら、自分の時間だったり、家族の時間だったりにしたいと思うんですけど、あえてその時間を使ってでも、みんなで話をして、どうしたらより面白いマップができるかという話をみんなでわいわいして。ここで繋がった仲間と、プロジェクトを通じて一緒に物をつくってアウトプットできる体験はすごく尊いなと感じましたね。

━━ いいですね。今後尾崎さんがこうなっていきたい、というビジョンはありますか?

ある意味、私は「デザイナーを超えていきたいな」と思っているんです。LIVE DESIGN Schoolの参加者のみなさん、リードデザイナーのみなさんを見ていて、枠を超えて本当に何でも自分でやっているなと思ったんですよね。新しい働き方をLDSで見ている気がしています。そして意外に私もそっちタイプだなと思い始めて。いろいろ手を動かして、デザイナーという肩書きを失くした自分で生きたい、 と思いますね。 

(聞き手|運営局 田渕)


地域で必要とされる「広義のデザイン」について、各地のデザイナー陣と参加者とが学び合う場として始まったLIVE DESIGN School。デザイナーはもちろん、行政職員 / 地域おこし協力隊 / 学生 / 経営者 / ディレクター / ディベロッパー / コンサルタント / 編集者 / イラストレーター / 理学療法士 / 八百屋 / 販売員 / 印刷業 / 百姓 など、多様な方にご参加いただいています。詳細は 公式HP から!

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