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社会保険はどこへ行くのか

非常に前回から空いてしまい非常に猛省しています。発信が長続きしないのが僕の悪い癖です。こういうのちゃんとできる人が羨ましい。

日本の社会保険

よくご質問受けるのが社会保険の仕組みです。
社会保険っていっても定義色々ありまして行政が提供している公的保険という観点でいえば「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」「労働者災害補償保険」「介護保険」「国民健康保険」「国民年金」などなどございます。
仕事上使う定義としては「社会保険」=「健康保険」+「厚生年金」ってことでよく説明しているところです。
落とし穴としては直前まで「国民健康保険(国保)」に加入していて、就職や会社設立によって「社会保険」に加入すると国保は自動的に脱退となりません。お住まいの役所で脱退の手続きをご自分でなさっていただくことになります。これを忘れて2重加入って結構ありえます。ただ、手続をきちんとすれば払い過ぎた保険料は還付されるのでご安心を。
ただ、関係している役所の種類が多すぎる気はしますね。
厚生労働省管轄でも社会保険は日本年金機構・年金事務所。雇用保険は公共職業安定所。労災は労働基準監督署。国保・介護保険の所轄や国民年金の窓口は市区町村役所。これに税金関係も絡むと‥うーんしんどい。
こういう情報を行政全体で紐付けできたらいいのになあ。マイナンバー君は何しに日本へ?

クラウドの限界

皆様ご存知の通り小規模から中小企業まで対応できる会計クラウドや人事労務クラウドが国内を席巻しています。これにより士業はオワコンなど言われて久しいですが、僕はあまり手続業務が得手ではなくまあ自動でやってくれるならいいかなとは思っていました。これが間違いでした。
確かに電子・紙問わず手続に対するハードルは非常に下がっています。内容を自動で記載してくれますしね。
ただ、前提条件として社内に一定の知識を持っている人が必要なんです。
報酬が2段階以上上がった場合の「月額変更届」はいつ届出すればいいのでしょうか?そもそもこれを提出することを知っていますか?それを算定するため含める賃金額は?
社保と雇用の提出書類の種類だけで20種類くらいはあるんではないでしょうか、僕も把握してません。
名前も非常にわかりにくいです。社会保険加入書類の正式名称が「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届/厚生年金保険 70歳以上被用者該当届」ってなんだよ!

アップデートされない価値観

社会経済情勢の変化やライフスタイル・価値観の変化により一つの会社で労働人生を送る概念は数ある選択肢のうちの一つとなっています。
見逃されていますが社会保険関係法令は時代に取り残されています。特に顕著なのが「健康保険法」や「厚生年金保険法」です。

大部分の収入が個人事業収入であるフリーランスの方は原則国保に加入しています。この方が事業を切り分け会社を作り、その会社の収益の範囲内で役員報酬を発生させ社会保険に加入することができます。これは他会社の役員となった場合も同様です。社会保険保険料の仕組としては今回で言えば役員報酬の多寡によって決定します。個人事業でいくら稼いでいようが関係ありません。このスキームはマイクロ法人設立で勧めているコンサルさんもいらっしゃいます。

社会保障の理念として負担は総収入に基づき賦課されるべきというのは自論でございますが、合法としてこのような方法を取れるのであればもちろんこちらの方がいいでしょう。
これは今だに誰も副業をしないしメインの収入は給与収入だと思い続け、フリーランスという業態を無視し続けている行政が良くないです。

保険料の価値

よく採用に関して「社会保険完備」という文言をよく見かけました。
現状この文言の価値は著しく落ちていると感じます。

雇用保険料はここ五年で2倍くらいまで上がっています。2019年くらいまでは雇用保険料が余りまくって保険料を下げるなどの噂もありましたが、コロナ渦の雇用調整金で全て吐き出してしまいました。

一方社会保険料については槍玉に挙げられることが多いですが、上がったり下がったりしています。数円〜数十円ですけど。
社会保険料が批判される最大の問題点は「年金がもらえるのか」です。

これを解決しない限り社会保険料逃れは存在し続けるでしょう。
自分が生きている間にもらえるか確約の無い年金制度に毎月数万円突っ込むなら上手い事回避して自分の選定した先に投資した方がいいと考えるのが人情です。年金制度はその信用性を担保できていません。

どこへ向かうのか

2025年秋を目処に社会保険の扶養を含め大きく動きがありそうだと仰ってる方々がいらっしゃいます。現在、社保の扶養認定収入(130万円)を超えても要件次第で扶養継続できる制度の期限が同時期までであり、ここから締め付けが始まるかもしれません。

政府はもう扶養制度は無理だと思っているでしょう。現在一定の規模の会社まで義務化されている社保加入のルールを全事業者に適用し社会保険の維持を狙うかもしれません。アルバイトやパートタイマーで回している会社さんの経営は逼迫するかもしれません。もはやビジネスモデルの変更も検討する必要があるでしょう。

人件費のルールは色々あります。労働基準法然り最低賃金法もそうですね。
これらは事業者が日本国内で事業を行い、市場で競争をするにあたり当然遵守するべきルールであってこの前提が崩れるとまともに遵守する企業は勝てなくなってしいます。なのでルールは全事業者が守らなければなりませんし、上手くやるのはルールの範囲内で行うべきです。

ただ、政府に関してはルールを周知するだけでなく、守らない事業者にはそれ相応の対応を。守っている事業者には社会保障の向かう先や目指している場所を指し示して、少しでも安心して日本で事業もらうよう施策をうって欲しいですね。(あと外国人の電子申請の氏名・読み仮名とか非常に煩雑なんですがなんとかなりませんか。手書やエクセル出力の方が楽ですよ。)



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