雨音を聴きながら
11月に入ってから、ジョージアはずっと雨続きだ。
ざーざーとアパートの屋根を打つ雨の音がひっきりなしに聞こえてくる。
天気が晴れないと心もなんだか晴れないし、最近はずっと家で仕事をしているので誰かと話す機会が少なくて暗い気持ちになってしまう。
「日本に帰りたい」
うっすら思っていたことがはっきりとした願望に変わるのを感じた。
思い立ったら居ても立っても居られなくなる性分なので、すぐにあちこちに連絡をして帰国の手はずを整える。
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日本に帰りたいと思い立ったのは、朝起きてからぼんやりとシャワーを浴びていた雨の日で、そこからちょうど1週間後には日本へと向かう飛行機に乗っていた。
雨の日とか、シャワー中とか、川辺を散歩しているときとか、なぜか水の音を聞いてぼーっとしているとき、ふと今までと違う考え方とかアイデアとかが浮かんできたりする。
だから、天気が悪くて気分が晴れなくても、雨は昔からきらいじゃない。もちろんわざわざ外出して服が濡れたり電車でだれかの傘が当たったりするのは嫌だけど。
ジョージアに住んでいるときは仕事が完全に在宅だし、始業時間も就業時間も好きに選べるので無理に外出をする必要がないのだ。
雨の日はコーヒーとか紅茶を入れて、お菓子でも焼いてソファでのんびりしていればあっという間に1日が過ぎていく。
そんなのんびりした生活が、雨の日の思いつきで急に終わりを迎えた。
わたしはいま東京の車通りが多いアパートでこのnoteの続きを書いている。
ふと下書きを見たらこの文章が序盤で止まっていたのでちゃんと書ききりたくなったのだ。
題名は「雨音を聴きながら」だけど、今日の東京は雲ひとつない快晴だったし、今聴いているのはお気に入りの曲で、外からは車の通る音が聞こえる。
10月からはコロナの影響で誰かと会う機会がめっきり減り、外にあまり出なかったジョージアの生活にちょっとだけ疲れていたはずなのに、2か月前を思い出すとなんだかやっぱり恋しい気がしてきた。
人間ないものねだりだなあとつくづく思う。
最近引っ越した家にはテレビ台もなくて、床に置きっぱなしのテレビと実家にしまい込んであったたくさんの荷物がまだ片付いていないからだろうか、部屋が「家」としてなじんでないみたいでちょっとだけそわそわする。
またジョージアの11月のように、東京も雨続きになったらふと思い立ってジョージア行きの航空券を買ってしまうような気もする。
それまでに世界の情勢が落ち着いていますように。
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