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白木蓮のやさしさ

3月になると公園や近所の家の庭先にふっくらと大きな花を咲かせる、ハクモクレンが好きだ。

散歩をしている途中、通勤の途中、ふっと視界にはいるどっしりとした木と優しく、春を包み込んでいるような大きな花を見ると晴れやかな気持ちになる。

ハクモクレンを知ったのは、まだ保育園に通っていたころだった。

保育園からの帰り道、母が漕ぐ自転車の後ろに乗っているときに、公園の前を通りかかると「白木蓮がきれいに咲いてるよ」と教えてくれた。

まだ5歳だったわたしはまず「もくれん」という響きが好きになり、そして母の言葉で上を向いた瞬間に目にはいった、街頭に照らされて咲いていた白い花の、温かさとやわらかさに心を奪われた。

木蓮には鮮やかなピンク色をした種類もあるが、真っ白過ぎないゆるやかな白(少しだけ黄色がかっている)の白木蓮が特別好きになった。

それ以降、どんなに最悪な日を過ごしていても、朝眠たいなか駅に早足で向かっているときも白木蓮を見つけると「よし、今日もがんばろう」とか「毎日がんばっててえらい!」とか、肯定的で前向きな気持ちになれる。

花を枝いっぱいに咲かせる時期が3月~4月の春にかけてというのもみそかもしれない。

春はたいてい、進学や就職など新しい環境に切り替わる時期で、気づかないうちに疲れていたりする。

そんなときは白木蓮の美しいやさしさを感じて、1日を晴れやかに過ごそうと思う。


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