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よく分かる インバウンド集客 #5 ~外国人旅行者に選ばれる施設になるためのノウハウとヒント~

『訪日外国人受入環境整備』(2/4)

#4 の続きです。

訪日外国人受入環境整備 あると便利な8つの手段

3、店頭多言語化

受入環境整備の一部は来店促進にも寄与します。こちらはその典型例です。下はネイルサロンの店頭の例です。#4 同様に日本語が読めない外国人の視点
で見てみましょう。右側のように見えているのではないでしょうか。

誰を集客したいか、によって表示する言語を変える工夫が必要です。岐阜にある「平安楽」様は、よく聞かれる質問を予め店頭に表示しています。集客にもつながりますし、接客中の質問回答に時間を割かずに済むという生産性向上にも役立つ有効な打ち手です。

ちなみに、こちらの「平安楽」様はトリップアドバイザーでも高評価のお店で、外国人旅行者がこぞって訪れるお店です。店主は積極的に英語を勉強していないそうですが、細かく「OK?」の確認を取ったり、注文を受けた際に最終的な料金を紙に書いて提示したり、前述の店頭多言語表示を行うなどして、後々のトラブルを減らすように心がけています。

不慣れな土地を訪れた際、自分が理解できる言葉で「Welcome」をアピールされたら、嬉しいし、何より安心できると思います。外国人差別という、悲しい現実は少なからず存在します。外国人旅行者を受け入れるにあたり、そういった表明を店頭に出すことは、こんな時代ですから特に有効で、あなたの施設のみならず、地域にも好影響を及ぼすと捉えています。

4、決済手段の拡張

いわゆる現金以外のキャッシュレス決済への対応がこれに該当します。導入に対する効果として、来店確率・購入確率・客単価アップが期待できます。また、昨今は感染症の影響で非接触が好まれる傾向もあります。

下のデータによると、世界主要国において日本のキャッシュレス決済状況は低く、訪日上位国の韓国・中国・アメリカは高い傾向にあります。つまり、消費者ニーズと受入側の対応が合致していない可能性があることを示しています。但し、このデータ自体が2018年のものなので、現在の日本において数値は上昇していると思われます。

《出典》キャッシュレス・ロードマップ2021 (一社)キャッシュレス推進協議会

主なキャッシュレス決済手段
● クレジットカード…後払い式
● デビットカード…即時払い式
● 電子マネー(例:交通系ICカード)
● スマートフォン決済・QRコード決済(例:PayPay・楽天Pay)

では、訪日外国人はどれくらいキャッシュレス決済を希望しているのでしょう。沖縄県が令和2年3月にリリースした資料を元にハイライトしました。前提として、今回の沖縄県でのキャッシュレス決済の利用について、67.8%(3人に2人程度)が「はい」と回答しています。

《出典》令和元年度 県内キャッシュレス関連調査及び Be.Okinawa Free Wi-Fi 推進委託業務 報告書
《出典》令和元年度 県内キャッシュレス関連調査及び Be.Okinawa Free Wi-Fi 推進委託業務 報告書
《出典》令和元年度 県内キャッシュレス関連調査及び Be.Okinawa Free Wi-Fi 推進委託業務 報告書

あくまで沖縄県でのデータとなりますが、上記内容を整理すると以下のようになります。

● 旅行中半数以上の人がキャッシュレス決済を利用した
● 特に中国人は8割の人が利用した
● 訪日外国人においては若い世代で利用する傾向がある
● クレジットカードはVISAが断トツ

観光庁によるデータも下に示します。現金の利用が圧倒的というのが2019年の実績でしたが、それはファクトであって、訪日外国人が真に望んでいる結果でない…かもしれません。

《出典》観光庁 訪日外国人の消費動向 2019年年次報告書|利用した決済方法

日本政府は2020年7月の閣議決定において「2025年6月までにキャッシュレス決済比率を倍増し、4割程度」という目標を掲げました。そして近年、国内ではQR決済事業者が多額の費用を投じて広告・キャンペーンを展開し、広がりを見せています。

「うちの店もキャッシュレス決済導入したよ。ほら、●●Pay」…っと、日本のQRコード決済は外国人旅行者が使えないものがありますので、その点お忘れなきようご注意ください。また、国ごとに規格が異なるサービスもあるようで、自国で使えたはずの●●payが日本の●●pay対応施設で何故か利用できない、というケースもあるようです。その場合は都度状況を見ながら、店頭にて使用可否を表記することがトラブル防止になつながります。

相手国・地域で普段から使い慣れている決済手段が、あなたの施設でも使えると分かったら…喜ばれ・選ばれ・利用されることになるでしょう。

5、免税対応

いわゆる免税店になることで、集客や来店後の購買確率向上・単価アップなどが期待できます。何故なら、外国人旅行者はお得(消費税分10%OFF!)になるからです。

訪日外国人のニーズが観光庁のデータを元にどれくらいあるかを示します。出入国制限前の2019年において消費税免税手続きの実施率は54.9%(およそ2人に1人)です。台湾・香港・中国から来た旅行者においては70~80%にその数値は上がります。

《出典》観光庁 訪日外国人の消費動向 2019年年次報告書|消費税免税手続きの実施率

上記右側グラフにおいては、どの商品カテゴリが免税購入されやすいか記載されています。これは全国籍・地域のものとなりますので、報告書のもとになっているエクセルデータを確認し、先の上位国・地域における消費税免税手続きをした上位品目をまとめてみました。

中国
1位:化粧品・香水(66.7%)2位:医薬品(36.6%)3位:菓子類(26.5%)
台湾
1位:医薬品(45.5%)2位:菓子類(29.3%)3位:化粧品・香水(29.0%)
香港
1位:衣類(34.2%)2位:化粧品・香水(33.7%)3位:医薬品(28.6%)

https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/content/001335738.xls

免税店になるには…については、国土交通省の専用サイトをご覧ください。(複雑なので私には説明できません…)


以上、8つある手段のうち3~5番目までを紹介しました。続きは次のパートで紹介します。

よく分かる インバウンド集客 #6 に続きます
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この章(訪日外国人受入環境整備)のはじめから読む場合はこちら

文|寺岡真吾(株式会社ぐるなび LIVE JAPAN企画部)

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