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よく分かる インバウンド集客 #3 ~外国人旅行者に選ばれる施設になるためのノウハウとヒント~

認知されなければないに等しく、選ばれようがない

集客に方程式はあるのか?

ユーザーの消費行動や購買行動を体系立てる上で『AIDMA』『AISAS』という考え方があります。最近は『AISCEAS』『AIDCAS』『DECAX』というものもあるようですので、興味ある方はお調べください。

施設におけるインバウンド集客について語るとき、もう少しぴったりくるものないかなーと考え、まとめたのが次の『集客の基本的なフレーム』です。

それぞれのフェーズについて、順を追って説明します。

店舗・施設の『認知』

このフレーム、最大のポイントはまず『認知』から始まることです。皆さんは旅行先でこんな経験をしたこと、ありませんか?

●旅行先の観光案内所や宿でパンフレットを見て・訪れてみる
●フリーペーパーで見つけた飲食店で食事する
●よさそうなお店を見かけて立ち寄る

これらいずれも『認知』から始まっているのです。パンフレット・リーフレット・店頭看板・ファサード・Web・SNS・紹介…何でも構いません。私たちは「あるということを認知し、興味関心を持ったから訪れている」という事実を理解することが大事です。別の言い方をすると、あるということを認知しなければ、興味関心を持つこともできず、選択肢に入らないわけです。

あなたの施設はどれくらい認知されているのか?

新潟で講演する機会があり、それに際し世界一のガイドブック『Lonely Planet』で新潟がどれくらいの情報量で紹介されているのか調べてみました。なんと962ページあるガイドブックのうち新潟県パートは12ページ、ガイドブック全体の1.2%でした。新潟市ではなく佐渡島も含んだ新潟県全体で、です。

2022年にLonely Planet Japan 17が発売されました

では、その12ページにはどのような施設が紹介されているでしょう。ページをめくり、掲載されている施設を全てまとめました。それが以下です。

もし、あなたが外国人旅行者で新潟を訪れる際、このガイドブックでしか予習をしてこなかったとしたら…。あなたが認知するのは上記リストに掲載されている施設のみ、です。このリストの中からあなた自身の関心度合いが高い施設を選び、巡る旅行計画を立てることでしょう。

…と、少し驚いた方もいるかもしれませんが、大丈夫です。観光庁によると訪日外国人旅行者の出発前に役立った旅行情報源として、旅行ガイドブックは全体の1割程度です。Lonely Planetはそのうちの一部でしょう。ただ、「なーんだ、よかったよかった」と思うのか「2019年 3,188万人×11.3%=360万人だから結構いるな…」と捉えるかはあなた次第です。自分の施設がどういったチャネルでどれくらい知ってもらえているのか、施設名のWeb検索ボリュームを確認しながら実態把握することは、インバウンド集客の最初の一歩です。

《出典》観光庁 訪日外国人消費動向調査(2019年年次報告書)

改めてお伝えしますが認知されなければないに等しく、選ばれようがない です。逆をいうと、あなたの施設は認知されたからこそ今日もお客様がいらっしゃっているのです。


『興味・関心』

そして次に『興味・関心』を持ってもらうことが大事です。興味関心を持ってもらえないと『検討・判断』に至りません。では、どのような情報を提供すると外国人旅行者が『興味・関心』を持ってくれるのでしょうか?(★)

『検討・判断』

このフェーズにおいては、A店とB店どちらの施設にしようかなといった『比較』が含まれることもあります。しかし、この段階においてもっと厄介なのは『来店を阻害する要因』だと私は考えています。

突然出てきた『来店を阻害する要因』

皆さん、ある場所に行こうと思っていたのに、こんな理由で行くのを断念したことありませんか?

●遠い・不便(乗り継ぎが多い)
●暑い・寒い・天気が悪い
●だるい・疲れた・足が痛い
●具合が悪い・発熱
●会話するのが億劫
●ネガティブな情報を耳にした・納得感が足りない
●家族の賛同が得られない・子供がぐずる
●面倒くさい・考えたくない・なんとなく…

上記は一例ですが、心理的・身体的な様々な理由や言い訳が『検討・判断』フェーズに現れます。そして残念ながら、その阻害要因があなたの施設への来店を邪魔しているのです。「そんなこと云われても…どうにもできないじゃない!」とお叱りの声が聞こえて来るようですが、果たして本当にそうでしょうか。無論どうしようもないものはどうしようもないですし、全てを解消することはできません。ただ、工夫次第で来店確率を高めることはできると私は考えます。そして、今日もこういった『来店を阻害する要因』を乗り越えて、あなたの施設にお客様がいらっしゃっているのです(★)

『来店』『消費』

さて、なんやかんやで『来店』さえしていただけたらこちらのもの…となる業態もあればそうでない業態もあります。例えば、飲食店・美容室・ネイルサロン・着付け体験施設などは満席でない限り【来店=売上】となります。一方、小売店や商業施設・土産店などは異なります。来店して店内をぐるりと回って何も買わずに出ていけば、売上は立ちません。では、来店者に消費をしてもらうために、店内においてどのような工夫が有効なのでしょうか?(★)

『口コミ・紹介』

消費(サービス利用や購入等)をしていただいたお客様をそのまま帰してしまうのは、ちょっぴりもったいないことです。もちろん、良い接客やサービスが自国に帰った際の友人・知人・家族への紹介につながることは間違いありません。しかしせっかくならば口コミを書いてもらい、同郷の人への認知を高めたいものです。ここにも口コミ投稿を促進するテクニックがあります(★)


上記(★)は後述させていただきます。後述が多く、やや目次のような記事になってしまいました…。

『集客の基本的なフレーム』は来店前のプロモーションと、来店後の訪日外国人受入環境整備に分けることができます。

インバウンド集客において先に準備しないといけないのは、訪日外国人受入環境整備です。まず受け皿を整えないと良い接客ができず、良い接客ができない場合、悪意ある口コミが広がる恐れがあります。

ということで次のパートでは訪日外国人受入環境整備について記述します。


よく分かる インバウンド集客 #4 に続きます
はじめから読む場合はこちら

文|寺岡真吾(株式会社ぐるなび LIVE JAPAN企画部)


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