iDeCoは差押禁止財産という話について
iDeCoのメリットとして挙げられることのひとつに、差押が禁止されているから財産が守られてるといったことを時々目にします。
これを、利点として前もって強調されることに少し違和感を感じるのは私だけでしょうか?
自己破産などはどうしようもない事情から起こりうることだとは思います。
そして、公的年金や生活に欠くことのできない財産等は、その後の生活再建のベースとなるものなので差押えが禁止されていることもわかります。
ただ、もしiDeCoで掛金2万円を25年毎月積み立てて年利5%で運用できたとしたら、運用益含め1200万円に近い口座になりますが、仮に受給開始前のその時点で何らかの原因で借金が返せず、自己破産せざるを得ない場合でも、そのiDeCoで積み立てたお金は守られますから安心してくださいということですよね。
うーん・・主体をどちら側に置くのかで感じ方が変わるのかもしれません。
公的年金やiDeCoは銀行等に振り込まれたらその時点で年金ではなくなるので、預金の払戻請求権については差押えをすることが可能になります。
ただ、うえの場合、その受給時には既に自己破産で債務がなくなってしまっているということですよね。
うーん・・・。
ちなみに差押禁止の例外としては税金の滞納処分があります。
私自身、公務員時代に、預金、保険、給与の差押だけでなく、家宅捜索・財産差押、公売、換価処分などをしていたことがあります。
関係ないですが、税金の滞納処分(捜索や差押えなど)に裁判所の令状って必要ないんです。
考えてみればものすごく強い公権力ですよね。
こうした自身の経歴が考え方に影響してしまっているのかもしれませんが、「iDeCoは差押えされません」と聞いても、債権者側の視点に立ってみると、どうなんだろうという・・・。
だって、正直なところ、預貯金やNISAと何が違うのってなりません?
これについては、iDeCoの性格はあくまで老後の生活の基盤となる年金ですとか、本来的自由財産云々とか、結局法制度がそうである以上、そういうものなのだということだし、そして、そうである以上、iDeCoという制度を説明するうえでこれについて紹介するのも当然なんだということも理解はできます。
でも前もってメリットとして推し出されると、なんだか自分の老後のための積み立てを確保して債務を履行しなかったことが、あたかも一種の財テクであるかのように、私には聞こえてしまうのです。
誤解のないようにお伝えしておきますが、
iDeCoは、積み立て時には掛金の所得控除があるし、非課税で運用できて、払出し時にはちょっとしたテクニックは必要とはしますが退職所得控除や公的年金控除が適用されるなど、とても優れた制度だと思っています。
FPとしても是非NISAやこのiDeCoをうまく使って長期投資で資産を形成していってほしいとも思っています。
細かいことをうだうだと書いてみましたが、つまるところ、きっと私は、こうしたiDeCo本来のメリットと差押禁止財産であることを同列で並べることに対してモヤモヤしてしまうのでしょう。
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