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"SAVE THE CATの法則"に従ってVOICEROID旅行動画のストーリーを組み立ててみた。

みなさま、いつも大変お世話になっております。
Noteではハジメマシテです。リウロンと申します。

ニコニコ動画で合成音声キャラクターを使った旅動画をメインに投稿しています。

3月末に投稿したこちらの動画
ニコニコ公式様にも取り上げて頂き、今までの動画の中で一番勢い良く再生やコメントを頂けた動画となりました!
いつも応援頂いている皆様、新しく動画に興味を持って頂けた皆様には本当に感謝です。

そんな今回の動画、あるテーマを掲げて制作した動画です。

「”SAVE THE CATの法則”に従ってVOICEROID旅行動画のストーリーを組み立ててみたら、面白い動画になるのだろうか?」

脚本を支配する法則が言語化された書籍 ”SAVE THE CATの法則”
この記事では、この書籍に従ってストーリーを組み立てた今回の動画の中身について考えていたことを交えながら分解してお話していこうと思います。

※実際に動画内で使用している合成音声エンジンは
 正確には「A.I.VOICE」「Cevio AI」「VOICEVOX」ですが、この記事内では便宜上「VOICEROID旅行」という言葉を使用致します。

1."SAVE THE CATの法則"って?

まずは今回の構成で大いに参考にさせて頂いた書籍をご紹介します。

ひとことで言うと「売れる脚本の法則をまとめた実践マニュアル」です。
”「どんな映画なの?」にうまく答えられるかどうかに全てはかかっている”
”今まで作られた映画すべてを分類できる10種類のジャンル”
”ストーリーが透けて見える主人公像”
”三幕構成じゃ足りない。脚本を構成する15のビート”

ここら辺の言葉にワクワクしたあなたは、間違いなくこの本買って損はないと思います。

2."一言(ワンライン)で言うとどんな動画?"

この書籍の中で一番最初に投げ掛けられる問いです。
今回の動画のストーリーを考えるに当たって、この一言(ワンライン)を考えるところから始めました。
そしてこのワンラインを動画に落とし込むため、ざっくりとした流れを起承転結でまとめて動画の大枠を固めに行ったのが最序盤にやったことです。

福岡編のワンライン

「旅行雑誌記事に採用されることで食事を経費で食べられることを狙って、あかりちゃんが福岡1泊2日飯テロ旅のモデルルートを紹介する動画」

福岡編の起承転結

起:福岡の好きな所を紹介して雑誌に載れば、経費で飯食えて最高ジャン!
承:お昼、観光、晩御飯と調子よく紹介!ばりうまか!
転:ゆかりの厳しい指摘。悩むあかり。人との出会いで本当の思いに気付く。
結:ゆかりさんに知って欲しい・来て欲しい思い出の地を紹介。最後のオチはプライベートのゆかりさんとばったり遭遇。

福岡入りの前日にベッドの中でここら辺を妄想していたおかげで、大体のスケジュール観と撮影素材イメージを持って旅行ができました。

3.動画構成と使える秒数

動画時間は何秒?

大まかな流れを考えて、現地での旅と食事を思い切り楽しんだ後は…楽しい楽しい脚本作りのお時間です。
※普段作っているのは”台本”ですが、今回は書籍に倣って敢えて”脚本”と呼ばせて頂きます…

いつもはアタマからセリフを考えて”台本”を作っていきますが、今回は「ブレイク・スナイダー・ビート・シート(BS2)」…
書籍内オリジナルの”脚本構成用テンプレート”に則って
動画の構成を組み立てていきます。

この脚本テンプレートは
全部で15のシーン(ビート)で構成されており
脚本総ページを110ページとした時に
それぞれのビートが脚本の何ページ目に来るべきなのかが記されています。
(各ビートは1-2行で表現できるくらいの文量が目安)

このテンプレでは脚本は全部で110ページと前提が定義されていますので
例えば動画時間を10分(600秒)とした場合、
「『オープニングイメージ・テーマ提示・登場人物の特徴や目的の提示・これから始まる物語の”きっかけ”をドッカーン!とぶち上げる!』ここまでは12/110ページで書きなさい。」という書籍に従うと
「65.5/600秒までにこれらを提示しなさい。」と導ける訳です。
※詳しい中身を知りたい方は是非書籍をご覧くださいね!!

私の動画の場合は、オープニング用の曲が約55秒と決まっていましたので
55秒までに12/110ページをまとめないといけない。
つまり「動画時間は505秒(8分25秒)だ!」と決まっていきました。
「動画時間9分29秒だけど…」ってツッコミは厳禁です。俺に効く。
紹介したかったお店と広告者様紹介があったから仕方がないないネ…

「動画時間もちょうどよい感じ!後は脚本テンプレートの各ビートの中身を考える!」というところまでやって参りました。
起承転結のあらすじと、旅行で撮影した動画&写真と睨めっこしながら
「こんなシーンにしたい」
「この動画はこんなシーンで使えるな」
絵面として出力したい場面とストーリーを妄想していきます。
一番楽しいところですね!
※後の編集フェイズのために、良いと思ったシーンアイデアはこのタイミングで脚本内に一緒に書き留めておくことをオススメします。

以下にセリフ起こしの前で考えていた各ビートの内容をまとめました。
【】内は書籍内に書かれている”15のビート”の名称です。
どんなストーリーでどんな内容を入れ込むのか。
それぞれ何秒まで時間を使うのか。
書籍がある方はBS2シートを片手に
ニコニコ動画見られる方は動画を片目にご覧ください。

「さぁ、分解だ!」

(1)「きっかけ」まで 12/110ページ(0-55秒)

【テーマの提示】帰省で福岡に帰ったあかりちゃんがゆかりさんに連絡。
「福岡1泊2日飯テロ旅のとびきりなモデルルートを提案するので、記事採用が決定すれば、食事を経費で食べさせて!」
【きっかけ】福岡のおすすめスポットを紹介し尽くすことを決意。

(2)「第一ターニングポイント(サブプロット)」まで 32/110ページ(55-152秒)

【悩みの時】何を紹介しよう…?福岡でしか楽しめないものが必要だ...!!
【第一ターニングポイント】天ぷらひらおを紹介
【サブプロット】晩御飯に向けて腹ごなしに観光地を周る。

(3)「お楽しみ・ミッドポイント」まで 55/110ページ(150-253秒)

【お楽しみ】海鮮食堂すいかでの破壊力抜群な飯テロタイム。
きっちりゆかりさんにもお見舞いし、動画的なお約束も達成。
お酒も入りあかりちゃんも絶好調に!(実は見せかけの絶好調)

(4)「全てを失って・第二ターニングポイント」まで 85/110ページ(253-391秒)

【迫りくる悪い奴ら】ゆかりさん「福岡の特集なんてやり尽くしてる!」
【全てを失って】不貞腐れるあかりちゃん中洲屋台でやけ食い。
あかりちゃん「美味しいとこ紹介したつもりだったのにどうすれば…」
【心の暗闇】屋台の大将に愚痴りながら、思い出の味を楽しむあかりちゃん。
ふとした会話の中で、福岡を紹介したい本当の動機に気が付く。
【第二ターニングポイント】「ゆかりさんにも知ってほしい、来てほしい」

(5)「フィナーレ」まで 105/110ページ(391-483秒)

【フィナーレ】一つの答えを見つけたあかりちゃん。
ゆかりさんに知ってほしい、来てほしい場所が紹介するべき場所。
自身の一番の思い出の場所を紹介し、思いを伝える。

(6)「ファイナル・イメージ」まで 110/110ページ(483-505秒)

【ファイナル・イメージ】仕事で福岡出張を勝ち取ったあかりちゃん。
再び訪れた居酒屋で見知った顔に出会う。
ゆかり「ええええ?!」あかり「ああああ!!!」

※上記時間はあくまでセリフ起こし時の目安としたかっただけなので、実際に動画通りのとこもそうじゃないとこもあるのでご承知置き下さい。

【】内は書籍内に書かれている”15のビート”の名称です。
このそれぞれのビート内にどんな内容を書けばいいのかは書籍内に事細かに記されています。気になる方は是非書籍をご覧ください。

4.台本作成といらないセリフ

セリフは再生時間を見て調整

「3.動画構成と使える秒数」まででビート毎の内容と時間を決めました。
後はそれに従ってセリフを考え台本を作成。
合成音声ソフトを使ってお話してもらいます。
「〇〇文字しゃべらせたら大体何分になるなー」的な感覚はありましたが、いちいち文字数気にしてセリフ考えるのは途方もない作業になると第六感が告げていたので、最初は勘でセリフを書き殴りました。
A.I.Voiceには選択したセリフの再生時間を見られる機能がありまして、今回のチャレンジの中でこれが大いに役立ちました。

測りたい行をまとめて選択→「再生時間」で再生時間が表示されます。(「音声保存」の右隣)

設定時間に対し再生時間がオーバーしてしまう場合はセリフ見直しです!
各ビートで伝えたいことは伝えて、いらない情報・セリフはカット!
普段であれば、なぁなぁに残ってしまうセリフもこの時間制約があったからこそ、無駄を浮き彫りにしてスリムな言い回しにできたところもあるかもしれません。

5.あとは編集

[音声→BGM&絵面→ディテール]の順でチェックしていく

4.までで音声素材までゲットできました。
これで動画を作るための素材は準備完了です。
あとは脚本作りの中で妄想していたストーリー・シーンを具現化するだけ。

ここからは記事のテーマから逸れるので多くは語りませんが、一点だけ。
BGMはストーリーを伝えるために慎重に選択すべき要素だと考えています。
タイムラインに音声を置き、動画・画像を置き、BGMを置き、チェック。
少しでも違和感があれば、色々と試行錯誤して
自分が納得できる落としどころを見つけ
視聴中はストーリーに集中してもらえるよう心がけました。

なんとなく雰囲気に合わん→BGM変えよう。新しい曲探そう。
BGMの切れ目が変だ→違う曲はどうだろう。セリフ変更?再生速度変える?

実際、今回は不思議と曲の展開や切れ目がハマってくれた部分も多く、そういった所に助けられてもいました(曲にも”ビート”がある??)
そんな感じで音声・BGMと背景・立ち絵を配置、字幕・アニメアイコン・SE等でディテールを整えたら動画は完成です。

実際やってみてどうだったのか

良かったこと

・自分の表現したいことを妄想して、書き出して組み立てる作業がメチャクチャ楽しかった。
”伝えたいこと””どこが無駄か”を時間制約のおかげで強制的に意識。結果的に本題をダレることなくまとめることができた。
・過去一のスピードで多くの人に見て頂いて、コメントや広告を頂けた。(本当に嬉しい)
・こうやって初Noteのネタにすることができた。(エヘヘ)(鼻の下をこする顏)

悪かったこと

・時間がかかる。
 (台本前に構成を考える必要アリ、時間制約でセリフ修正が何度か発生)
脚本考える時点で筆を投げちゃう可能性アリ。
 
大まかな起承転結や、(こんな構成が良いかな…)みたいなアイデアやとっかかりがないとまとまりきらないことがあるかも。

ざっとこんな感じです。
今回の手法は「ストーリーを考えるのが好き」な方にはとことんハマる方法かと思います。
逆に言えば「動画表現・撮影技法・映像の美しさを突き詰めたい。」
「キャラ同士の日常的な会話をメインにしたい。」
「サクッとおすすめスポットを紹介したい。」
といった方には、時間がかかるだけでお勧めしにくい方法です。

妄想好き・お話を考えるのが好きで動画作りを始めた自分としては、編集途中に音声とBGMを配置しただけでもとてもワクワクして「これはいい動画になるゾ!」と楽しみながら制作ができました。

「自分の考えたお話を見て欲しい!」というモチベーションで動画制作をされている方には心からお勧めしたい方法です。

まとめ

・VOICEROID旅行動画にも”SAVE THE CATの法則”手法は応用できる!
・「自分の考えたお話を見て欲しい!」方にはお勧めの手法b
・動画制作の動機によって、今回の手法は向き不向きがある。

こんな感じにまとめることができるかなと思います。
この内容を踏まえてもう一度動画を見て頂けると
「コイツこんなこと考えてたんか」と一動画で二度美味しい?かもです。
手前味噌ではありますが、今一度動画をご覧頂けますと幸いです。

あとこの本はホントにオススメです!
脚本作りだけでなく、映画見る時の新たな視点を得られたりもします!

ということで今回の記事はここまでです。
なんと5,000文字超え…!!書いたなー!
初Noteで拙い点も多かったかと思いますが
ここまでお読み頂きありがとうございました!



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