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#83 えんとつ町のプペル

この映画をご覧になるご予定がある方は読むのをお控え下さい。

 キングコング西野亮廣さんの絵本が原作の映画「えんとつ町のプペル」を観てきました。「山崎怜奈の誰かに話したかったこと。(TFM)」に西野さんがゲストで出演なさった回を聴いて以降、観てみたかった映画です。公開から1週間程経ってしまいましたが昨日やっと見ることができました。

概要

 このお話はどんな話かざっくりと紹介すると、『えんとつの煙で空が見えない‘えんとつ町’に住む’ルビッチ’という少年が、まだ見ぬホシというものを信じ奮闘する物語』です。
 えんとつ町のプペルの絵本はWebで無料公開されています。映画と異なる部分もありますがそちらもぜひご覧下さい。

西野亮廣「大ヒット中の絵本『えんとつ町のプペル』を全ページ無料公開します(キンコン西野)」新R25, 2017年1月19日更新(最終閲覧日:2021年1月3日)
https://r25.jp/article/581356883170827173

夢を笑う

 物語の始まりに、この映画の主人公ルビッチの父親’ブルーノ’が紙芝居をするシーンが描かれる。「この空の向こうにはホシというものがある」という話だ。始めは面白がられていたが次第に嘘つき呼ばわりされるようになっていく。父親の影響を受けてルビッチ自身もホシというものを信じるようになり、後にルビッチ自身も白い眼を向けられてしまうことになる。
 YouTubeのミュージックビデオや漫才動画のコメント欄で「僕の夢は漫才師になることです。」「こんな風にかっこいいミュージシャンになるのが夢です。」というのを見かけることがある。そのコメントの返信が「応援してます!」「僕も同じです!」という風に温かいものだととても安心する。ただ、時にはひどいコメントを残す人もいる。ある程度趣味嗜好が似た人が集まっているので風当たりが優しいのだと思う。
 いかなる理由があろうとも夢は卑下や嘲笑の対象になるべきではないしなっていいはずがない。

異端を嫌う

 この物語には「異端審問官」という組織が登場する。読んで字のごとく’異端’を取り締まる組織だ。(カトリック教の教えに反する者、または他教を排除する異端審問に関わる捜査員のことを異端審問官という。)えんとつ町の住人の反応も観ていて普通に胸糞悪い。これは見てる人の多くが感じていると思うが、ここは「空気を読むことが何よりも正しい」という空気が流れている国、日本。この映画に限らず、良い皮肉すぎて返す言葉がありません。

アントニオ

 こいつに関しては最後まで好きになれなかった。以上。

誰も悪くない

 さすがに誰も悪くないは言い過ぎでした。とりあえず異端審問官たちは一貫してわかりやすい「悪」です。
 では、僕が言いたい「誰も悪くない」について。少しネタバレになりますが、えんとつ町がふさぎ込んだ理由は通貨にあります。食料などはやがて腐り価値がなくなるのに対してお金だけが腐らないという点に目をつけ、腐る通貨’エル’を開発しましたが、他国のお金持ちの反感を買いエルを廃止されます。ただ、エルは画期的な発明であったため、外交をすべて断ちエルを通貨としたえんとつ町を築き上げます。そして過去を隠蔽し、外のことを知ろうとすることを「異端」として取り締まるようになります。
 「歴史を隠蔽する」という類でいうとONE PIECEの世界政府や進撃の巨人の中央政府などが浮かびます。(僕がONE PIECEと進撃の巨人しかちゃんと漫画を読んでないだけです。)空白の100年にあった出来事を隠蔽する世界政府と、壁の外に人類が存在することを隠蔽する中央政府。どちらも自分に都合の悪い出来事を歴史から抹消し自身の悪事をもみ消すことが目的ですが、えんとつ町のプペルの動機は「エルという理想の通貨を使うこと」であるため、ONE PIECEや進撃の巨人に似た動機は読み取れません。この動機が少しずつずれていき、誰も悪くないまま勘違いが勘違いをよび続け、いつしか悪と呼べるものに行き着いてしまった、という意味での「誰も悪くない」でした。「誰も悪くなかった」にしたほうが適切だったかもしれません。(後天的な’悪’という意味で。)

傍観者

 映画の終盤、ストーリーを通じてひたすらに対ルビッチであり傍観者であり続けたえんとつ町の住人達が一斉にルビッチ側に”寝返る”シーンがあります。これもきっかけになったのはルビッチの母親’ローラ’の行動でした。空気を読むという空気にひたすら胸糞悪いです。

エンドロール

 この映画を見る前、なんとなく事前知識なしで観たいと思っていたので、原作も読まず、関係する動画も観ませんでした。唯一入れていたといえばこの映画のED曲だけでした。キングコングのお二人が歌っている「えんとつ町のプぺル」と、ロザリーナさんという方が歌っている「えんとつ町のプぺル」、両方聴きました。僕は音楽をなんとな~くの聴き心地で好き嫌いに分けてしまい、「詞が好き」が先行することがあまりありません。なんとなく好きで曲をしがんでいるうちにだんだん歌詞の良さに気づきます。今回この映画のエンドロールを観たとき、自分がこの曲をいかになんとなくで聴いていたのかがあからさまに感じてしまいました。エンドロールの時の「えんとつ町のプぺル」の歌詞がビンビンに頭に入ってきて、心なしか聴きながら体が乗り出していたと思います。

関連動画

 今日この映画が公開された時の試写会?の動画を観たのですが、自分が映画のメッセージをちゃんと受け取れていたら良いな、と思いました。

 ここまで読んだ方の中でまだ映画を観ていないという人もいると思いますが、ぜひ見てもらいたいなと思います。

「紳士淑女の皆々様、 寄ってらっしゃい 観てらっしゃい」


おしまい

誤字脱字は気づいたタイミングで直します。
読んでいただきありがとうございます。

観終わってすぐ書いたメモも貼っておきます。

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