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銀河鉄道の夜 宮沢賢治
先月、日本の不条理演劇の第一人者であった別役実が肺炎で亡くなられた。享年82歳となった。昨年の古井由吉といい、偉大な作家が亡くなっていく。
童話作家でもあった別役だが、アニメーション映画「銀河鉄道の夜」(1985)の脚本を務めた。ますむらひろしの原案により、ジョバンニやカムパネルラは猫として描かれており、細野晴臣の音楽と共に細やかに表現された。
「銀河鉄道の夜」の初稿は宮沢賢治によって1924年に執筆され、1933年の死の直前まで推敲された。今広く読まれているものは第四次稿にあたる。
彼の作品について、どうして岩手の辺境からこのような作家が生まれてきたのかとか、鉱物的、化学的な知識が詩的な文体に融合しているとか、そういったことを述べるつもりはない。ただし賢治の描写は、やはり詩人のものである。水晶や透明な水や青白い竜胆。あらゆるものは死の直感を与え、コントラストのようにその息づかいを響かせている。銀河鉄道は我々を遠くへと運び、その先もただどこまでも遠い。
別役の急逝から既にひと月経った。まだそれがそこにあるうちに、今一度ふれてみてはどうだろうか。
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