エンプティーチェア
「リトルるりは自殺願望があるのかも。」
「るりちゃんどうや?」ってMさんから聞かれて、
るりちゃんが話し始めた。
「夢の中でリトルるりがリストカットするの。めっちゃ怖くて。」
「るりちゃん、リストカットって本当に死にたくてするんやと思う?」
「う〜ん、人に関心を持ってもらいたくて?」
「せや、るりの右側*1は、
は相当見てほしいんやな。」
「人に注目されるの好きじゃないよ。」
「右側は見て欲しがってるで。」
「リトルルリとどう関わっていいかがわからなくて。
リトルるりの方が口が経つから言い負かされたり、無視されてしまって。」
「エンプティーチェアーがええんちゃう。」
「エンプティーチェア?」
「その子のために椅子を作ってあげるねん。」
「ぬいぐるみを座らせてあげたらいい?」
「それでもええー。」
「ぬいぐるみか〜、ちっちゃい時ぬいぐるみ大好きで、いつも持って歩いてました。
一緒に遊んだり、寝る前にお話ししたり。」
「そうなんや〜。」
「なんのぬいぐるみにしようかな〜。」
「なぁ〜んでもええで、好きなぬいぐるみ選び。」
るりちゃんとmさんのやりとりが、ソフィーの世界のソフィーと哲学者との手紙のやりとりみたい!
わたし的にはるりちゃんを困らせようなんて全然考えてなかった。
るりちゃんに気づいてもらうために、
わたしのことを思い出してもらうために、
あの手この手使ってみただけのこと。
*1 右側とは、これまで踏み入れたことのない未知の世界、あるいは未知の経験のこと。
*2 エンプティーチェアー:心理療法の一つ。