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楽しんでくるから、ごめんねは言わないよ。

夕方に子どもたちとお風呂に入りながら、こんな会話をしていた。

「マミー、お出かけするの?」
「そうだよ。お友達とディナー。良いでしょ」
「お出かけするときはね、おしゃれするんだよ」
「おぉ、たしかにそうだね」
「だからね、ドレスを着た方がいいよ」
「そっか。ジーンズはやめようかな」

出会ったばかりで意気投合したお友達二人と、一緒に夜ご飯を食べに行く約束をしていた夜。

小学生の子供がいる方。8か月の子供がいる方。そして二児の母の私。そんな三人が集まるために『19時以降の集合なら可能、でも21時半には寝たい』というルールが設けられ、無事日程が決まったのだ。

わいわいお風呂に入ったら、いつも通りの時間に夫と子供たちのご飯をテーブルに並べていく。そもそも我が家は夜ご飯が早いから、集合時間的には家族のご飯を見届けられる作戦。

「マミーは何で食べないの?」
「おでかけするからだよ」
「カレー食べるんでしょ?」
「そうだよ。インドカレー屋さんにいくからね」
「この前みたいに、ナン持ってきてくれる?」
「お、それは面白いアイディアだね」

少し前に会社の用事で出かけたとき、翌朝カウンターに置いてあったナンに大喜びした息子。残り物を持って帰ってきただけなんだけど。

そういうハッピーって忘れないもんだよね。今回は事前にオーダーされてしまった。

騒がしく食べる長男。あんまり食べてくれない次男。もくもくと、でもこの後のワンオペに向けて精神統一していそうな夫。

みんなが食べ終わって、夫がお皿を片付けてくれて、さて、そろそろ出発の時間。みんなはあと15分くらい遊んで、歯磨きして寝る流れ。

「ではー、私はお出かけするね。みんなで仲良く寝てね」
「はーい。マミー、楽しんできてねー。」
「ありがとねー」
「Have a nice dinner!」
「ありがとねー、いってきまーす」

お出かけするときはジーンズじゃなくて、ドレスが良いよという息子のアドバイスのもと、ワンピースを着ていくことにした。

知り合ったばかりだけどすぐに仲良くなれたお友達と、美味しいカレーを食べながら、お喋りに花を咲かせる。

今やっていること、これからやりたいこと、興味があること、人生のパッションだのなんだの、みんなマシンガントーク。口をそろえて「やりたいことが多すぎて忙しい」って言ってた。本当に、私たち似たもの同士。

すごく楽しい時間を過ごして、最後にナンを一つだけ注文。残ったカレーとともに、出来立てで良い香りのするナンを車に乗せて、帰路につく。

そう、母ちゃんたちは、猛烈にしゃべって、そして次の授乳時間までに帰宅しなきゃいけないのです。そして夜通し寝れるわけじゃないから、早くベッドに入らないと。

文字通り英語のシャワーというマシンガントークを繰り広げた後、短い運転の中で気持ちを切り替える。

帰宅したら、薄暗いリビングに7か月児をゆさゆさしている夫がいた。

「おかえりー」
「あら、起きちゃったんだね」
「さっきミルク飲んで、ぼちぼち眠いかなーってしてるとこ」
「さっと歯磨きしてパジャマに着替えてくるね」
「はーい、それまでゆさゆさしとくわ」

赤ちゃんとともにベッドに転がって、授乳タイム。先ほどまでの楽しかった余韻を感じながら、日常に戻っていく感じ。

そう、そんな時に気が付いた。私「ごめんね」って言わなくなったな。

改めて考えると「ごめんね」と言ってもおかしくないシーンが何度もあった。なぜだろうか、自分の親がそうだったからなのかな。

自分だけ出かけるのごめんね
一人だけお外ごはんでごめんね
夜寝るときにいないのごめんね
子どもの相手お願いしてごめんね
夜間ゆさゆさ担当させてごめんね
ごめんね ごめんね ごめんね

でもね、この日はまったく「ごめんね」が出てこなかった。だって、全然悪いことをしているワケじゃないんだもん。

お母さんをしている時間帯もあるし、働いている時間帯もある。それと同じくらい、友達と過ごす時間もあるのは当たり前のこと。

「ごめんね」と繰り返し繰り返し言われながら出ていくよりも、「楽しんできてねー」「楽しんでくるねー」と出ていく方が、よっぽどポジティブだよね。

そんなことを思った夜でした。

でね、翌朝。まだ家族みんな寝ているときに、早起きしてしまった長男。暗い部屋の中で、ゆさゆさと起こされた。

「ねぇねぇ、マミー。朝だよ。ナンある?」

早起きしちゃうくらい楽しみだったらしい。朝から、ナンを食べようか。

サポートありがとうございます。私のところで止めるのではなく、別の方へのサポートという形で「幸せの輪」をつなげていきたいと思います。