見出し画像

【ココロ】辻褄の合わない痛み、複数のケガ、いつもどこか痛い

これは、子どもに限った話ではありません。ほぼどの世代にも共通して起こります。

特に中学生のスポーツチームで仕事をしていると、必ずと言っていいほど「辻褄の合わない体調不調、ケガ、痛みや違和感」「あちこちに痛み(ケガ)がある」「いつもどこか痛い」に遭遇します。

大人たちはこう言います。
「甘えているんですよ。」

トレーナーである私はそんなことは絶対に言いません。
なぜなら、子どもたちは真剣に悩んでいるからです。こういった子どもたちほど、より向き合わなくてはいけません。


辻褄の合わない不調とは

例えば、太ももの内側が痛いとします。
トレーナーはそれが太ももの内側に損傷があるかどうかを確かめるために、色々な姿勢を取ってもらい、わざと太ももの内側に負荷をかけます。
子どもたちには細かい説明はしません。「痛みがあったら言ってね。」とだけ伝えます。

子どもたちは素直に痛みのある時に「痛い」と伝えてきます。
それが時々、明らかに辻褄が合わない時があります。同じテスト方法なのに痛みが出る場合と出ない場合があったりします。

私が経験した中で1番わかりやすい結果だったのは、痛みの確認作業を行なっている時はどの動作でも「痛い」と言っていたのに、チームで行うトレーニング中は全く痛みを感じない。そして、練習(実践競技)になると再び痛みが出るというものでした。

コーチや周囲の大人たちは頭を捻ります。でも甘えだとは思いません。なぜならほとんどの子たちが嫌がるトレーニングをちゃんとやるからです。

あちこちに痛み(ケガ)があるとは

足首をねんざしている
膝に痛みがある
腰痛がある
首が痛い

これらが同時に発症しても、カラダのつながりから考えると関連性があるように見えるためおかしいと感じる人はあまりいません。ですが、フィジカルのリハビリ指導をしてもほとんど改善されません。

コーチや周囲の大人たちも困り果ててしまいます。どこの病院へ連れていくべきだろう。評判の良い接骨院へ行ってみようか、と。

複数のケガを抱えているのが中学生であるということが大問題です。ただの複数のケガと捉えてしまうと、カラダだけでなくココロも壊れてしまう可能性があります。

話は少しそれますが、成長期の腰痛は異常です。大人のそれと一緒にしてはいけません。腰痛のメカニズムはまたどこかで詳しくお話をしますが、カラダが機能していない結果起こるのが腰痛です。「成長期=機能向上させている時期」であるはずなのに、機能していないは異常事態と捉える必要があります。

いつもどこかが痛いとは

股関節が何かおかしいと訴えてきた
リハビリをして改善した
足首をねんざした
リハビリをして改善した
腰が痛いと言い出した
リハビリをして改善した
また股関節がおかしいと言い出した・・・

特徴として、リハビリをすると結構早く改善します。ですが、すぐに別な部位の不調を訴える・・・その繰り返し。エンドレスです。

こういったケースでよく「甘えている」という言葉が使われます。
ですが、エンドレスで不調を持ち続けないといけない理由が、切実な理由が、その子にはあるのです。

成人したアスリートの話です。私への相談は「不調を改善する」ことがほとんどでした。だからいつも連絡をしてくる時は不調を訴えていました。試合の内容を聞くと好調なのにどうして不調だと思うのだろう?と疑問に思っていたのですが、ある時気づきました。「不調がなくても連絡してきて構いませんよ。良いことの報告をしたければそれをしてください。」すると、そのアスリートの不調は止まりました。


痛みや不調がある利点

痛みや不調はない方が健康だし、良いに決まっている!
表面上は誰だってそう思います。

ですが一度は思ったことがありませんか?
「仕事に行きたくない!熱出ないかな〜熱が出たら休めるのにな〜」
と。
熱を言い訳に、仕事を休むことができます。
仕事がはかどらなかったのは熱のせいだと言い訳ができます。
仕事でミスをしたのは熱のせいだと言い訳ができます。

「痛みがあるから上手にできないの。」
「ケガしてたから試合に出られなかったの。」
「違和感があるから思うように体が動かなかったの。だからミスをしたの。」

子どもたちは無意識に「言い訳」を作っています。

なぜ?
なぜ言い訳をするのでしょうか?

それは誰かから怒られることを回避するためです。

誰から?
「褒められたいのなら、もっと練習をして上手になればいいのに。」

もし本当に褒めてくれるならね。そうするでしょう。褒められたら嬉しいに決まっています。

ですが、彼らは上手になる努力をやめてしまいました。
なぜならどんなに練習をしても、どんなに活躍をしても褒めてなんてくれないと知っているからです。
でももしかしたら、万が一、「痛いのにがんばったね」なんて言ってもらえるかもしれない!

こんな子たちからケガ、痛み、違和感や不調を取り上げてしまったらどうなるでしょうか。おそらく、競技ができなくなるほどの大きなケガをするでしょう。
ケガや不調は、彼らが必死に自分を守る盾なのです。

冒頭で紹介をした「トレーニングだけ痛みが出ない」には理由があります。
運動が嫌いなわけではない。競技で怒られることだけ回避したい。友達と一緒も楽しい。だから競技ではなく、みんなと一緒にできるトレーニングはやりたい。やりたいから痛みは出ない。
*運動そのものが嫌いでやりたくないと思っている子はトレーニングでも痛みが出ます。好きで行うものには痛みが出ません。


痛みや不調はストレスの現れ

複数のケガ、いつもどこかに痛みがあるのは、何かしらストレスを抱えているサインです。
家庭、学校、チーム、塾などなど。

原因を探る必要はないと、私は思っています。
原因を知ったところで他人が解決できないことかもしれないし、他人が介入することで複雑化させてしまうこともあります。
ですから周囲の大人たちは「あなたの味方ですよ」ということを示してほしいと思います。何かあれば相談できる、何かあれば味方になっていくれる存在を知っているだけでホッとするものです。

ある時、練習が始まる前に「本多さん、今日は私を診てください」と半ば強引に話かけて来た子がいました。いつもとは明らかに違うので「わかった。1番最初に診ようね。」と約束をしました。話をしてみると家庭に何かあると感じました。そしてそれに強いストレスを感じている。コーチに確認をすると、やはり家庭でトラブルがあったようでした。中学生のココロはそれを受け止めることができず、カラダに症状が出ていたのでした。その後、コーチたちのサポートで元気にスポーツを続け、体の不調を訴えることは無くなりました。

私は子どもたちから、いつでも相談できる存在であるように心がけています。私から無理やり話を聞き出したりしませんが、何やらモジモジしている子には積極的に話しかけるようにしています。
複数のケガを同時に発症していた子に、できるだけ早い対応が必要だと感じた時は「ちょっとお話しようか?言いたくないことは何も言わなくていいからね」と私から話をしたこともあります。話をした、というより、話を聞いただけでしたが問題は解決しました。勝手に解決していました。順序立てて話をすると、冷静に物事を見ることができて自己完結できてしまうことがあります。

大人になってから「相談にのってやるよ。話してみな。」と言われたことがあります。私を心配して親切で言ってくれたのかもしれませんが、その時の私は「はぁ?のってやる?のってくださらなくて結構ですけど?」と心の中で感情的につぶやいていました。
相談する相手は自分で決めます。自分で選びます。それはあなたではありません。

私が最も尊敬している方に相談をしようと思ってDMを送ったことがあります。
「こちらのDMはあまり使用していないので、再度メールを送ってくれますか?」とすぐに返事が来ました。
できるだけ簡潔に、私が何を問題として捉えているのか、自分がどうしたいのかを伝えなくては!と文章を書いているうちに、全てが解決してしまいました。
↑この文章でもわかる通り「何が問題で」「自分がどうしたいかがわかれば」、、、ねぇ。。
「そんなものですよ。頭の中が整理されると自分で解決できてしまうものです」とお返事が来て「なるほど!」私に頭を整理させてくれたのか!この方に相談をして正解だった!


親が目標を決めていないか

中学生で起こるこういった問題は、親やコーチ(周囲の大人)が子の目標を勝手に決めていることが原因であることが多いように思います。

子の目標を決めている、というより、大人の目標を子に押し付けているといった方が正解かもしれません。

ちなみにこういった親に悪意はありません。ですから自分が原因かもしれないなんて決して思いません。子をサポートするために一生懸命だからです。
痛みがあるから病院へ連れて行き、治療院へ連れて行き、質の良いシューズを購入し、インソールを入れる。
もちろん私にも相談をしてきます。
「どうしてあんなにケガが多いのでしょうか?」
私はケガについてはリハビリを促し、そして必ずその子の良いところ、できているところを伝えます。根気のいる“作業”ですが、それを繰り返すことで我が子の良いところに目を向けてもらえるようにします。

一生懸命すぎて見えなくなってしまうことがあります。
もしお子さんに複数のケガ、理不尽な痛み、長期の不調などが見られたら、一度、自分自身を含めて見つめ直して見てください。そしてぜひお子さんと話し合いをして、お子さんがどうなりたいかを聞いてみてください。

保護者向け講座を行なった時のこと。遅れて参加したお父さんが、横柄な態度で腕をくみ足を開いて座っていました。講座が終わった途端に「甘やかすなんて。自分の子どもに舐めなれたらダメなんですよ。」と言って部屋を出て行きました。そのお父さんのお子さんは、とても大人しく、自分の意見を全く言わない(言えない)子で、いつもオドオドしていました。お父さんにココロを支配されていたのでしょう。

今日何ができた?明日何をする?

心理学?では有名なフレーズのようです。
私は親になった経験がありませんので、我が子への対応方法はわかりません。

「今日何をした?明日何をする?」と子に聞くことで、子が冷静に「今日自分は何をしたのか?何ができたのか?そして明日は何をしようか?」と言葉にして、思考を未来に向けることができます。

私はこのフレーズを自分にも、大人のクライアントたちにも時々使います。
今日できたことの確認を、そして明日自分は何をすべきか確認ができるからです。それを繰り返すことでこの思考が定着します。


子どもだけではなく、周囲の大人も同時にメンタル・トレーニングをすることが必要

小中学生に向けての講座には、必ず保護者と指導者の参加もお願いしています。その理由はすでにわかってもらえると思います。

これまでに行った講座の中でいろいろなことがありました。
体育館で座って行った時には、コーチたちは話を聞く気がなく「どうぞ子どもたちに教えてやってください」と言う態度。
また一部の保護者が輪を作って座談会を始めてこちらの話を全く聞かなかったことがあります。
一方子どもたちと残りの保護者は真剣に取り組んでくれていました。休憩時間にある1人の子がこっそり私に質問をしてきました。それに答えていると自然に他の子どもたちが集まってきて一緒に話を聞いていました。そして自分の意見を言いあったり、説明しあったり、休憩時間とは思えない貴重な時間でした。
せっかくの中学生の素晴らしい一面!それを目撃した大人は私だけ。なんともったいないことなのでしょうか。こんなに素晴らしい子たちだと、どうして知ろうとしないのでしょうか。

大人たちが中心になって盛り上げてくれたこともあります。
午前中に指導者と保護者向けにメンタル・トレーニングついての講座を行い、午後から子どもたちへのフィジカル指導を行なった時のことです。
フィジカル・トレーニング中、子どもたちに「すごいね!」「もっとできるんじゃない?!」「さすがだね!」と大きな声援が飛び交っていました。
実は、特に顧問の先生が素晴らしい方で、先生が積極的に子どもたちに声をかけ、そしてその姿をみて、保護者たちも一緒になって盛り上げる。やる気のなさそうな子や、恥ずかしそうにしている子も徐々にニコニコ笑顔になりだし、トレーニングを楽しくこなしていました。

子どもたちの能力を引き出すのも潰してしまうのも大人です。

私は引き出してあげることができる大人になりたいです。

⭐️⭐️⭐️💫💫⭐️⭐️⭐️
株式会社りとるジム
カラダとココロのメンテナンス
www.littlegym.jp

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?