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人生とは、なぜこんなにも辛いのか。これは私だけが持つ疑問なのだろうか。
この丸くて青くて美しいはずの、私から見たら平面でグレーで荒んでいる球体に存在する80億4500万人の生命体はみな、必ずといっていいほどやってくる「今日」という名の24時間をどのようにして生きているのだろう。80億4500万、それがどれだけの規模かもわからないこの数字は史上最多なのだそうだ。UNFPA国連人口基金第5代事務局長のナタリア・カネムさんは声明文にて、「問題は、人口が多すぎるか、少なすぎるかではありません。望む数の子どもを希望する間隔で生めるという基本的人権を、すべての人が行使できているかどうかです。」と述べた。冒頭で"問題は”と述べているということは、80億4500万人という人口は多くて問題である、と言っているのと同じだよなぁ、という思考が働いてしまう私はやはり捻くれている、いやどこか大事なところが車にぶつかられた電柱のようにひん曲がっているのだと思う。

最近は腹が立つことが増えた。家にいても外にいても、電車に乗っても会社にいても、携帯をいじっていても、もはや何もしていなくても。腹が立たないときといえば、寝ているときぐらいだ。ゴミ出しをしたかと思えば、分別がきちんとできていないと回収してもらえない。排気ガスをガンガンに出しながら地域を巡回しているのに、地球に優しくないという理由で差し戻されるのは不可解な出来事だ。指定の曜日の直前に出さなければいけないのにも腹が立つ。火曜日が燃えるゴミの日なら、燃えるゴミ袋だけを持って行ったらいいのに、燃えないゴミ袋を入れていると「曜日を守って出しましょう」と張り紙が貼られる。守ってはいるよな、といつも思う。一歩外に出れば人間の姿形をした妖怪とでも呼ぶべき、中身が水分約70%でできている物体たちがウロウロしている。ただ歩いているだけなのに、頭の先からつま先までをすれ違いざまに丁寧にチェックするジロジロ妖怪。この妖怪を見たときはいつも、いつか肩に雪のようにフケが乗っていると教えてあげようと誓っている。駅までかけっこ大競争をして何人ぶつかり稽古ができるかチャレンジをしている、タイムにも人にもアタック妖怪は、主に平日の朝によく発生する。すっ飛ばされて怪我をしたと訴えればお金がもらえるのだろうか。妖怪相手では無理か。電車に乗れば我先に降りようとする順番など知る由もないもはや人の道を外れた妖怪がいるし、仕事をすれば理不尽で解読不明な指示を出すシゴデキナイ上司妖怪がいる。いわゆるシゴデキと呼ばれる人々だ。スマホで流行りのダンスが繰り広げられているアプリを開けば、匂わせだの住所が何処だのビジュがどうだの、他人の干渉大好きヒマヒマ妖怪が量産されているし、何もせず海をぼーっと眺めていれば、有意義に休みを謳歌している風妖怪がそこに誕生している。

「人生はどうしてこんなにも辛いのか」この壮大な問いを目の前の壮大な海に先ほどからぶつけているにもかかわらず、ザパーンとこちらに来ては向こうに引いていくだけで大胆に無視されている。裏を返せば、人生が楽しくてたまらなくて、今日という24時間よまだ終わらないでくれ!と毎日思うことができたら、どこを見ても虹色に見えるメガネをかけたときくらい鮮やかな日々なのだろうか。そんなのは、そうなってみないとわからない。わかる訳がない。自分を取り囲む妖怪のことやあれやこれやを考えては疲れて眠りに落ち、そしてまた新しい24時間の最初の1秒と夢の中で挨拶を交わす。それが23歳独身シャカイジンの、なんともつまらない日常だ。


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