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ローラン・プティ振付『若者と死』熊川哲也、ダーシー・バッセル出演

2020年3月19日~3月31日、ローラン・プティ振付『若者と死』熊川哲也、ダーシー・バッセル出演の全編映像が、期間限定公開された。同作品の上演を予定していた、K-BALLET COMPANY「トリプル・ビル 2020」公演が、新型コロナウイルス感染拡大の予防のために中止となったことを受けての措置。

映像作品として撮影されており、ダンサーの顔のアップや、スローモーションなどの演出効果も入っている。舞台美術には、原作のジャン・コクトーによるイラストも。

若者が若い女性への性的欲望にとらわれ、死という破滅に向かう、16分程度の作品。

男性ダンサーの海老ぞりになるポーズが繰り返され、性的欲望のシンボルになっていると思うが、温泉の宴会に登場する海の幸のようにも見え、ややおいしそう・・・?!

「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン」の英国ロイヤル・バレエの舞台上演の映画館上映の映像で司会を務めるダーシー・バッセル氏が、バリバリ現役ダンサーとして踊っている。

熊川哲也氏の均衡の取れた恐るべき身体感覚と、バッセル氏の官能性。肝心なところが触れそうで触れない、絶妙の振付から、二人の色気があふれ出す。

ポワントを床に突き刺すようにプリエする動きも、官能性と暴力性を際立たせる。性と死、生が激しくせめぎ合う。

首をつるシーンはどのように撮影したのだろうか?

死後、誘惑してきた女性は死神として現れ、骸骨の仮面を若者の顔にかぶせ、死を告げる。

女性が性的に男性を誘惑して、男性はそれに屈する形で欲望を満たし、しかし女性はファム・ファタル(運命の女)として男性を破滅させる、という古い価値観から発想されている作品ではあるが、今でも魅力的ではあるのだろう。

公演では両氏が踊る予定ではなかったのに、中止を受けて公開する動画ではこの豪華共演となったらしい。熊川氏はやはりプロデュース力も抜群だ。

作品情報

Tetsuya Kumakawa & Darcey Bussell『Le Jeune Homme et La Mort』

<プティ振付『若者と死』>
若者 熊川哲也
黄色いドレスの女 ダーシー・バッセル
振付 ローラン・プティ
台本 ジャン・コクトー

▼ダンスのレビューなどは「ダンス評.com」にもまとめています。


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