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一生忘れられないマラソン大会

息子の体調不良が続く中、
さらに追い討ちを立てるように迫ってくる学校行事
『マラソン大会』

息子はとてもマラソン大会を嫌がっていました。
・思うように走れない
・走ると胸が苦しくなってしまう
・持続して走ることができない
・周りの友達と比べてしまい、走る事が嫌だ
そんな事を言っていました。

私はこの息子の発言を精神的な物と思い込んでいたので、嫌でも逃げずに走り切れるよう助言する。
みんなと比べる必要はなく、自分の目標を立てて
それに向かって頑張ろう!
毎日グランドを一周するだけでもいいから練習頑張ってみよう!
などと言ってとにかく嫌な事から逃げ出すような事がないように、嫌でもやり切る達成感や満足感を感じて欲しいなどと思い声をかけていました。

しかし息子のやる気スイッチが押されるは事なく、
マラソン大会の練習が嫌だというのが理由で
学校へ行きたくないと言い出すのです。

ため息の毎日。
嘔吐に続いて次はこれかと。

そんなこんなで着々と迫るマラソン大会。
本番に備え、
『試走』
という名の、本番と同じコースを走る日の前夜、
息子は私に
「明日走りたくない…」
神妙な面持ちである。

「う〜ん…それでもそれが理由で休む訳にはいかないじゃん。頑張って練習してきたし、歩いてもいいから頑張ろう!」

走るのは息子、そんな事分かってても嫌なものは嫌!
言葉で言うのは簡単だよな…
そう思っていました。

「ママ、一緒に走って欲しい。」
ひらめいたように言う息子。
「一緒に走ったら頑張れる?」
「うん‼︎‼︎‼︎」

最高にキラついた顔で言うではありませんか。
「よし!じゃー一緒に走るか!」
そんなこんなで試走を一緒に母も走る事に。

試走の日、スタート地点からすぐ下ってくる坂の下で私は息子を待ち構えました。
スタートを伝えるピストルの音がしたので
私は軽くストレッチをして息子を待つ。

しかし、
クラスの子が次々と下ってくるのに息子がちっとも来ない。
さっきスタートしたよな?
もしかしたら直前でどうしても嫌になって辞めた?
息子以外の子ども達が全て走って来たのにそれでもまだ来ない息子。
しばらくすると
もう死にそうな顔をして走ってくる息子。

「えぇーーーー!まだスタートして間もないのに?」

そんな息子の姿は、去年までの息子とは別人すぎて
さすがの私もショックすぎて言葉を失いました。

息子の走るスピードは
私が早歩きしてもついていけるくらいのスピード。
息が上がり、苦しそうで、今にも倒れそうな息子。
私はそんな息子に
「頑張れ!」
なんて安易な言葉をかけることもできず、
苦しそうな息子に、少し歩いて息を整えよう!
と見ていられず休憩を入れさせた。
マラソンをあれだけ嫌がっていた理由も
すぐに分かってしまうほどの切ない姿。

スタート時から1人置いてかれる不安。
みんなのスピードについていけないもどかしさ。
走りたくても思うように言う事をきかない体と足。

それでも息子は必死に走り
それを黙って後ろから付いていく事しかできない私は
いろんな想いが込み上げてしまい涙が溢れ出そうでした。

なぜこんな風になってしまったんだろう。

体を動かす事も走る事も好きだった息子。
逆上がりも自転車の補助輪外す時も
一瞬でできてしまってた息子。

なのにこんなに苦しそうに
走る姿も見違えるほどしんどそうで

そりゃー嫌だったよな。
悲しかったよな。
みんなと自分を比べちゃうよな。
みんなの姿が見えない中、1人ポツンと取り残されて
走らないといけない孤独感。
孤独感に襲われながら、体も心も苦しくて
ただただ辛かったろうに…

しんどかったな!
辛かったな!
今日よく走ったな!

苦しそうな息子を見て
もう走らなくていいよ!
と今すぐにでも抱きしめて走るのを止めたい気持ちを抑え、
最後まで走り切る事を一緒に目標として決めたので
何度も走るのが苦しくて歩いてしまいながらも
走る事を辞めずにグランドまで走り切りました。

みんなからだいぶ遅れて1人グランドへ戻った時は、
もうみんなゴールし終えてだいぶ経つのに
まだゴールしていない息子を待っていてくれました。
息子の姿を見て、
「がんばれーーーー‼︎」
と大きな声で応援してくれました。
途中で私も一緒に走る所を見かけた担任の先生も
「僕も一緒に走ります」
と言って最後ゴールまで一緒に走ってくれた先生。

感謝感謝でした。

この数日後のマラソン大会本番も、
もちろん息子と一緒に走りました。

この時のマラソン大会での出来事は
一緒忘れる事はないでしょう。

小学校卒業式の時、
最後に息子へ送って下さった担任の先生の言葉は
「あなたの頑張って走ったマラソン大会での姿は
 忘れる事ができません!」
声を震わせてそんな言葉を言って下さいました。

走り切れた息子の第一声は
達成感と満足感いっぱいの笑顔で
「ママ、ありがとう‼︎」
でした(涙)

「こちらこそ一緒に走れて嬉しかったよ!」
そう言いながら頑張りきった息子にハグをしながらたくさんたくさん褒めました。



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