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映画「SHE SAID/シー・セッド その名を暴け」 感想

本記事は、【2023.1.25】にsuzuka Twitterに投稿された映画「SHE SAID/シー・セッド その名を暴け」のネタバレ感想または考察を再掲したものです。

公開日:2023年1月13日(日本)
監督:マリア・シュラーダー
原作:ジョディ・カンター/ミーガン・トゥー
  『その名を暴け-#MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い-』

SHE SAID

SHE SAIDの感想をつらつら書いていたら、とてもヘブンの文字数制限を超えたためTwitter寄稿にしました。
後半は映画とさして関係ないことをとりとめもなく長く書いてしまいました。映画を見て、性産業従事者としての『性的合意』のことを考えました。

以下、いきなりネタバレを含みます。
(ネタバレもクソも当時の大ニュースなので経緯と結果はみなさんご存知かと思いますが、、、)

当時の#MeToo運動を知っているため、見に行く前は、「ルサンチマンとミサンドリーが強めの映画だったら凹んじゃうかもな」と心配していたけど、観に行って『ルサンチマンに踏み込まずによくぞここまで』と感動しました。物語や台詞だけでなく、映像としても楽しめました。
史実映画ではありがちなんですが、カメラパンに合わせて実際のテープが流れたり(廊下のパンシーンは、あんまりにもあんまりなホラー演出でちょっと笑っちゃったよ)(全然笑えない暴言テープ流れてるから不得意な人は注意してね)
産後うつの描写では、『構造的に差別されていることから来る不安感とストレスがあるが、差別が内面化されているため「女性のうつ」として閉じ込められている」という閉塞感を室内と窓の映像で表現したり、、
あそこが1番胸が苦しくなりました。生きていくの、キッツいな(笑顔で)

今回は性搾取、性加害、それを"支える"法構造にフォーカスした映画でしたが、こういう映画を見ると、わたし自身が性産業従事者であることをどうしても考えました。なので以下は映画から脱線し、自分の話をします。


まず、わたしは現在大変幸せな立ち位置に居ます(法的/社会的な後ろ盾はないのでマジでどうにかしてくれよ、とは思っています、が、もう半ば諦めてもいる)
わたしはデリバリーヘルスで働いています。デリバリーヘルスというのは、性的なサービスを提供するサービス業であり、わたしの解釈ではそのサービスの中には『顧客の期待する女性ジェンダーロールの引き受け』も微量に含まれています (わたしの場合は微量ですが、この割合は人による)(ちゃんと引き受けるつもりがあったら写メ日記に映画の感想文を2000字も"寄稿"しないよ、「面白くて元気と性欲出た」って書くよ)(背筋割るめう"とか言わないよ)

わたしは、お金をもらって、、、『あなた/男性にご奉仕できて楽しい』『エッチ好き』(サービス上当然の役割)『お料理も好き』『地図は読めない』(性役割)などの役割を引き受けています。金額に関しても『この業務に関してこの程度貰えればその役割を引き受けてもいい』と了承した上でその仕事をしています。
皆さんも仕事選ぶ時『必要なお金がもらえて、ある程度楽しく/楽しくはないが続けられる』というラインで選ぶのではないかと思います。
(誤解なきよう書くと、現実に、おかげさまで仕事はとても楽しいです。毎日愉快)

でも、この『役割の引き受け』は『役割の引き受け』に対してお金貰っているからできることです。

例えば、普通の仕事をしていたら、同じ賃金と業務内容のはずなのに、身体的に女性だというだけでこの役割までも余分に引き受けなくてはならないのは、苦しく不平等だなと思います。もちろん、わたしには見えないだけで、"男性"が押し付けられるジェンダーロールもあるかと思いますが、(この点に関してはディズニーの『ミラベルと魔法だらけの家』が身体的タフさへの期待を扱っていてショックを受けました)

いずれにせよ、自身が金銭の対価に提供してもいい、という範疇外のことを要求されるのは、苦しいことです。

さらに言えば、お金を貰っても、わたしは出来ない(提供したくない)ことが沢山あります。

わたしは、デリバリーヘルスの業務内で、『この身体はわたしの身体であって、あなたが自由にできることはひとつもなく、全ての性的な行為にはあくまで合意が必要、あなたにあるのはわたしの提供したいサービスを享受する権利』というスタンスを崩したくありません。

以前よりTwitter及びDMでサービス内容の問い合わせをされる度『現地での合意による』としか言えないと答えてきました。それで今日の予約を失ったとしても、この一線を崩したら、おしまいだ、と思っています。

キスをすること、身体に触れる/触れられること、オーラルセックス全般(指を膣に挿入すること、男性器に触れること、口で性器を刺激することなど挿入を伴わない性接触)そのどれも相手を身体/精神的に傷つけうる行為です。性的サービスの授受に合意していたとしても、本来ひとつひとつに現地での相互合意が必要です。なので、はじめて会う人には、可能な限り言語で聞くようにしています。
『脱がせてもいいですか』
『触ってもいいですか』
『されて嫌なことはありませんか』
『舐めてもいいですか』
合意がないと、目の前にいる人を、傷つけてしまうかもしれないから(話は脱線しますが、個人的な性癖的にも、合意をとったほうが興奮します、コンセサスはエロティックでしょう)言わなくてもわかる関係には、回数を重ねてなっていけばいいと思っています。

性犯罪のニュースなどが流れると、『風俗があると性犯罪者が減る』などと言う人が居ますが、まったくもって賛同しかねます。『性犯罪』というのは上記の合意形成に問題があるケースです。風俗利用にあたっても、合意形成は必要、少なくともわたしにとってはとても大切なことです。

映画館の帰り道でずっとこんなことを考えていました。気づいたら6キロ散歩していました。数年前になりますが、会社員をしていた頃、自分の身体と、それらに要求されることの折り合いがうまくつかず、そのことにかなり苦しみました。今の仕事についてかなり楽になりました。
わたしは今のわたしも、仕事も、とても好きです。なので、可能な限りここでこの姿勢を守っていきたいです。


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