ぬいぐるみ語り(4)

ぬいぐるみ語り、どうしても思い入れのあるものから先に書いてしまう(そりゃそうだろう)から、あとの方になってネタ切れになる気がしてならない。
今回は今までのものよりは実は思い入れが少ない。
なぜかうちに来ることになったものの話。

何年前の話だったか、東京の表参道のあたりを歩いていたらDELLのポップアップショップがあるのを見つけた。そのときちょうどInstagramに写真を投稿してその画面を見せるとクマのぬいぐるみがもらえる、というキャンペーンをやっていた。
別にやらなくてもよかったのかもしれないが、単純にDELLのPCは嫌いではなかったので、祭に乗っかるような、それくらいの軽い気持ちで行ってきた。

大きなクマのオブジェがあって、それを撮ってInstagramに投稿するという手順。きっと、想定ではキラキラしたお姉さんあたりが自撮りでそれをやってくれることを期待していたのではないか、きゃりーぱみゅぱみゅみたいな(つけまつけるとかあのあたりのアー写にありそうな感じ)お嬢さんだったら良かったのかもしれない、という気がするが、残念ながらこちらは人生にくたびれきったおじさんである。オブジェだけ撮って、それでも目一杯キラキラさせて投稿した。
そして受け取ったのが画像のクマ氏である。
家人も同じようにして受け取っていたので、同じのが二つある。

おじさんの家に来ることはおそらく考えてもいなかったのだろう、なんだか納得のいかない顔をしている。先住のぬいぐるみたちともイマイチコミュニケーションが取れていない気がする(脳内では)。
なので、家の中では別の棚の近くにいてもらっている。そこにはスヌーピーたちがわらわらといるのだが、彼らとは比較的上手くやれているようだ。スヌーピーたちもおじさんの家に来たことをうっすら後悔しているのかもしれないけれど、いちおうつきあいは長いからなあ。

もしかして、ピンクのパーカーが気に入らないのでは、という気がするのだが「それはそれで似合ってるんだけどなあ」と言うと「……じゃあ着てる」みたいな会話にしかならないので、真意はわからない(ぬいぐるみなのでわかるわけもない)。

いままで、うっすらと「合意形成がはかれたものだけ、お迎えする」というルールを持ってはいた。かわいいからといってお迎えしても大事にはしないなという、DELLのクマ氏のことがあってから、このルールがきちんと決まった気がする。

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