葬列

その日見た風景は葬式のようだった。色濃く縁取られた看板に並ぶ人、最期を見届けようとするなにか。
列は長くなり、短くなり、これを途切れることのない、というのだろう。

人々は互いを知らぬまま、互いの記憶を埋めるように、それぞれの言葉を地面に落とす。
思い出はすぐに色褪せて、そう遠くない先には唇の端も記憶から消える。
彼らはなにもなかったような顔をして、次の場所で同じことを繰り返す。
共通の言葉を持たぬ者は、消え残ったおりを渡され、それがなにかわからずに持ちつづける。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?