ぬいぐるみ語り(13)

最初に紹介したクマ氏を覚えているだろうか。神戸で一目惚れして買ってきたやつ。まだ家にぬいぐるみがそんなになかった頃、一人では寂しかろうと小さめのクマのぬいぐるみを買って渡した。ミッフィちゃんにおける黄色いクマのぬいぐるみみたいなもんである。
いちおうはおじさんが自分でも納得のいく物を買ったのだけど、どれにするかは殆どクマ氏が決めたようなもんだった。膝に置いてしっくりくる物。ずっと可愛がってくれそうなもの。家で留守番していても寂しくない物。そんな基準で選んだ気がする。

(無粋なのを承知で書くが、普通そんなことを考えて選んだりはしないと思うんだ。全ておじさんの脳内で繰り広げられたことであって、他の人が見聞きしたら「こいつ頭おかしいだろ」となることは容易に想像できる。なので、こんな話をするのはここが初めてだ)

だいたいセットで置くことが多い。掃除をしても配置換えをしてもそばに置いておくルールだ。寂しくても悲しくてもそれはその人だけのもので、誰かがどうにかできるものではないのだから、自分でなんとかしなくてはいけない。そういうことだ。

クマ氏に友だちができたからか、自分は少しクマ氏の心配をすることが減った。理由はわからない。そうすることでおじさんはその辺にいるおじさんと同じになっていったのかもしれない。まあ、結局数が増えてるんだから同じなわけはないのだけど。

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