それは日常になった

 着物をワードローブの一つとして組み入れてから数年、襦袢を1枚、単衣の長着を3枚誂えるくらいにはなった。単にサイズがないのと古着では欲しいと思うものがなくなってきたからというのもある。
 正絹のものは古着とはいえ、やはりどうしても気を遣ってしまう。雨だったりとか、汗とか、手入れに手間がかかるのはやはり日常着には「自分には」面倒な気がするのだ。
 デニムとか、木綿、麻のものを着るようになってその辺は解消されたように思う。大量生産的な作りの木綿なんか本当にツナギ着て出歩くのとなんら変わりない扱いになっている。

「今日は何かあるんですか」
「何か習ってらっしゃる?」
「日曜的によく着るんですか?」
はよく言われる言葉だ。
「なにもないけど、今日はこれかなと思って」
と返す。ジャージかスーツかTシャツチノパンか着物か、くらいの選択肢にすぎない。なんなら女性がワンピース羽織って「これでいいや」となるのとなんら変わりない。そういうと大抵の人は納得してくれる。

 とは言っても、どんなものを着た、帯はこれにした、羽織紐は新しくした、そういうのを見せるのは楽しい。所謂「自己肯定感爆上げ」である。
そしてそうやって「今日はこんなものを着た」とInstagramに上げて、いつか興味を持った人が何か羽織るようになったらそれはそれで楽しいのではないか。

 出かける場所も増えた。美術館、水族館のような場所から、イオンモール、近所のスーパーまで。なにも変わることはない。よく行く本屋でも、もはやなにも言われない。たまに洋服で行った時の方が「洋服着てる!」と言われる始末だったりする。

 文学フリマをはじめ、本のイベントは和装で行くことがほとんどになった。そのために書生さんスタイルやりたいと思ったわけで、結果的に覚えてもらえることが増えたからだ。(逆にいうと、人目につかずにささっと行って済ませたい時は洋服だと本当にバレなくなった)

 ちなみに飲食。貴重な飲み会はもちろん、ラーメンもジャンクフードも気にしない。さすがに飲食物をこぼすのは嫌なので膝に手拭いをかけるくらい。焼肉は……さすがに洋服でも気を使うからなあ。

 ワードローブに加わったと言ってもいつもそういう格好になるわけではなく、TPOに合わせる必要は、もちろんある。めんどくさいなと思う時だってある。着替えすんのもめんどくさいというときにはどう考えても単衣のあれ着よう、とはならない。
その辺は洋服のどれを選ぶかというのと変わらないと思う。

 ひさしぶりに書いたが、次はどのあたりの話をしようか。リクエストがあればコメントなりなんなりお願いします。
 次はあつらえの話とかしましょうか。

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