ぬいぐるみ語り(9)

以前、なんかのついでだと思うのだが、小さめのクマ(同型で何色かバリエーションあり)が実家から送られてきたことがある。理由はもう忘れたが、実家母が子どもたちにと送ってくれたのかもしれない。

だが、問題があった。その時点でうちの子たちはみなそこそこの年齢になっていて、しかもぬいぐるみが好きなのは子どもたちではなく、実家母の息子かつ子どもたちの親である自分だけだったということであった。

確か10体くらいいた気がする。こんなにどうすんの、と思わなくもないが、しばらくは牧場よろしく固めて置いていた。ほとんど捨て猫を拾ってきた家のような状況。かわいいけどうちのにはならんやつだよなあと。
欲しそうな人に譲ったりなんだりして、減らしにかかった。それぞれ行きたい家、行きたい人を選んだようで、あらかた新しい家に行くことはできた。はずだ。

同時に来たのはくまのプーさん。これも何体か。だからさあ。ぬいぐるみ好きだけどなんでもいいってわけじゃないんだよなあ。実家父母は確かディズニーのほうが好きだったはずだ。余談だが、自分が小さい頃、親はミッキーマウスの絵のついたデニムとジージャンを子(=僕のことだが)に着せようとしたが、ミッキーマウスはそんなに……なのとデニムのゴワゴワした感触が好きになれず、ほとんど着ないままサイズアウトしたことがある。

プーさんも自分はそれほど思い入れがないため、何体もあってもなあ、ということで配った。たぶん他のぬいぐるみよりは扱いは雑だったと思う。すまん。これもまたほとんどが引き取ってもらえた。

家に残っているのは、だから精鋭とも言えるし、誰にも好かれなかった子たちとも言えるし、もしかしたらおじさんのぬいぐるみとして家に残ることを自分で選択したとも言える。顧みられることはあまりないのにいじらしい。

おじさんもその辺はなんとなく気を遣っているようで、ほったらかしておくことはせず、数多いるぬいぐるみたちと一緒の棚に置いておくことにした。置いた位置にないときがあって、これ、なんか悪巧みを働いてるんじゃないか。あまり悪さすると箱にしまわれちゃうぞ。

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