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たまたま読んだ本07:「激変する世界で君だけの未来をつくる4つのルール」Z世代にピッタリ? 中高生向けだけじゃない、親世代も必読かも

激変する世界で君だけの未来をつくる4つのルール

子供向けの本だろうと思い、手に取った。
ところが、なかなか的を得ている。
この本に書いていることは、
これからの激変の時代に、若い中高生、いわゆるZ世代の人たちに向けて、人生の生き方を指南してくれている。訳だが、
よく読んでみると、これから先の時代だけでなく、
過去においてもそうだったような気がする。
人間が社会的動物の人として生きて行く上での必要な要素ともいえるかもしれない。
果たして、これらの内容にZ世代はどう反応するのだろう。
Z世代が、共感できるところも多いような気がするのだが。

確かに、社会は過去に比べ大きく変化した。
人間関係もその在り方が変わりつつあるが、
基本的なものはそれほど変わっていないようにも思える。

著者は、いろいろな職を渡り歩き、現在14職目で、
シンガポールやバリ島をベースに活動するだけに、
より人間の本質に迫って、この社会での生き方を伝える。

同書で、現在は、自分で自分を決める時代になった。
もはや会社は、働く人を守ってはくれない。
個人の雇用が保障されないどころか、
会社自体が生き残り続ける保証もない。と、様変わりした社会を指摘する。

そして、これからの社会を生きていくためには、
だれかにとって"意味"のある内面をともなった人間でいなければならない。自分のことだけを考えていればいいはずはなく、
自分で自分を「だれかにとって意味のある存在」に
していかなければならないと大事なことを伝える。

これからの社会を生き抜くための新しいル-ルを次の4つに分けて紹介する。
ルール1は、GIVE 与える人になろう
ルール2は、OPINION  自分の意見を育てよう
ルール3は、PARTY 頼り頼られる仲間をつくろう
ルール4は、DIVERSITY ちがいを楽しもう

個別に見ると、
ルール1 GIVE 与える人になろう では、
他者に何かを与える行為のGIVEは、人間関係の土台になる、
とても大切なルールだと喝破する。

そう、これが基本だ。
利他のことである。前投稿の「1位思考」でも書いたが、
人の生きる原則は「至誠」と「利他」である。
古くさく思う人もいるかもしれないが、
人が人として生きて行くための変わらない原則だ。
人のために誠を尽くす気持ちが伴った行動が共感を呼び、
信頼を勝ち取るのである。
人を利用して、
自己中心で生きて経済的にいわゆる成功する人もいるかもしれないが、
心底心許す仲間はどれほどいることやら。
騙し騙される疑心暗鬼の世界で生きることになるのでは。

著者は、さらに自分が贈りたいものではなく、
相手が欲しいものを贈ることで、相手の視点に立ち、相手を喜ばせ、
自分の視野も広げることにもなるとその効果を語る。

そして、ギブは、自分の知っていることや自分のできること、
自分が持っているモノで行えばよく、
相手の喜びそうな情報に印をつけて教えるなどなどで、
まず自分からギブし、ギブの量をこなしていけば、ギブが上手になり、
新しい視野も広まり、信頼と評判は貯まっていくと解説する。
そう、人は、自分のことを想ってくれるちょっとしたことがうれしいのだ。
よくやりがちな自分の知識自慢をするのではなく、
相手が知りたいことを伝えることが大事。ここがキモ。

ルール2 OPINION  自分の意見を育てよう では、
急に自分の意見をと言われても返答に困る人が多い。
著者は、あなたが生きていて、今なにを感じ、なにを考えているのか。
そのすべてが「意見」で、「自分を知る」ことは、
「自分の意見を知る」ことなのだと教える。
自分を知るには、最近イラっとしたことを考えると、
その裏に自分にとって大切なことが分かり、
自分にとって幸せを感じる好きなことは、努力が娯楽になり、
没頭すれば、人より得意なことができるようになると勇気づけてくれる。
あなたの意見には価値がある。
つまり、周りの人にとって役に立つこと、
友だちから「ありがとう」と感謝されることが「価値」だと諭す。

ルール3 PARTY 頼り頼られる仲間をつくろう では、
僕たちは、だれかに頼らなければ生きていくことができず、
同時にだれかに頼ってもらえる存在でありたいとも思っている。
つまり、お互いに頼り合える「仲間」が必要だと指摘する。
その方法として、仲間になりたい(=信頼関係を築きたい)と思える相手を
見つけたら、その人にギブをし、
見返りを求めないギプを積み重ねていくことが、
「頼りになるいちばん簡単な方法」だと伝授する。
また、長く持続的な関係は、お互いにNGを言い合うこと。
「ここまではできる」「これ以上はできない」というNGを
はっきりさせておくことが、ポイントだという。
自立とは一人で生きることではなく、
みんなで補いあえる複数のグループに所属してみて、
自分にとって心地のよい居場所を探していくことだと教える。
社会意識が欠如した、
付きあって害にしかならない悪友からは離れるのがいいかも。

ルール4 DIVERSITY ちがいを楽しもう では、
お互いのちがいを認め合って、お互いを尊重する。
苦手を補い合い、得意を活かし合う。
千差万別な人の力をかけ合わせることで強いチームが生まれる。
似たものどうしで集まるよりも、より多様な人たちとつながり合ってこそ、「頼り頼られる」関係性の良さを最大限に発揮することができると
強調する。さすが、外国での生活を経験している著者ならではの知見だ。

「みんな一緒」よりも「みんなちがう」集団のほうが強い。
言い換えるなら、個人は「みんなと一緒」であるよりも
「みんなとちがう」人間であるほうが価値がある、ということでもあり、
相手も正しいし、自分も正しいとは、違いが認識できてこその達観だろう。

ちがう価値観を理解することは、自分の視野が広がることに直結し、
なにより、ちがう価値観を理解した経験があれば、
ちがう考えを持つ人と出会ったとき、
その出会いを「おもしろい!」と前向きに捉えて、
ちがいを楽しむことができるようになると違いの楽しみを勧める。

また、利他に関しても、「自己中心的利他」を推奨する。
他者の幸せのために動くこと。自分が楽しいからやる、
自分にとって得があるからやる。
そんな自己中心的な気持ちから生まれた行動が、
知らぬ間に「だれかのため」にもなっている。
まず自分ありきでよいわけだ。
最後に、
これからやってくる未知の世界は
「自分が知っているのとちがう世界」というだけのこと。
「ちがいを楽しむ」ことができれば、あらゆる変化も恐れずに、
「知らない」に満ちた世界を楽しむことができると激励してくれる。

違いを認め合い、心地よい仲間、頼り頼られる関係から、
自分のしたいことで人の役に立つことができる。
その関係は、不変ではなく、時代や環境に応じて更新されていく。
まずは自分から始めよう。住む世界が変わるかも。


激変する世界で君だけの未来をつくる4つのルール

出版社名:大和書房
発行年月日:2023/03/11
ページ数:192ページ
定価:1,540円

著者プロフィール
尾原和啓(おばら かずひろ)
1970年生まれのIT批評家。灘高等学校、京都大学を経て、京都大学大学院工学研究科応用システム専攻人工知能論講座修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタートし、NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援、リクルート(2回)、ケイ・ラボラトリー(現:KLab、取締役)、コーポレイトディレクション、サイバード、電子金券開発、オプト、Google、楽天(執行役員)の事業企画、投資、新規事業に従事。
経済産業省対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザー等を歴任。 現職は14職目。シンガポール、バリ島をベースに人・事業を紡ぐカタリストでもある。ボランティアで「TEDカンファレンス」の日本オーディション、「Burning Japan」に参加するなど、西海岸文化事情にも詳しい。
著書に『プロセスエコノミー』、『モチベーション革命』(幻冬舎) 、『どこでも誰とでも働ける』(ダイヤモンド社)など。小学生の頃は友だちがおらず、本や漫画ばかり読んでいた。趣味は各国の市場・屋台めぐり。高校生の子どもがいる。


トップの写真は、ひまわり。

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