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ニョニャ菓子 オンデオンデ(onde-onde)を鳴門金時で作ってみました

ニョニャとはー

マレーシア(現在のシンガポールも含め)に中国から渡ってきた男性と、現地のマレー人女性との間に生まれた子孫を「プラナカン」といい、プラナカンの男性を「ババ」、女性を「ニョニャ」と呼ぶ。

ニョニャ料理は、中華と似ているものもあるけど、どこか異なるのは、マレーシアで手に入る食材や香辛料を工夫して、祖国の味を再現したかったから、とも聞きます。

10年位前、クアラルンプールから、ドライバー兼ガイド(英語と日本語が話せる)さんに連れて行ってもらったペナンの旅。「(シンガポール)チキンライスか、ニョニャ料理か、どちらにする?」と聞かれて、即座に、「ニョニャ料理!」と答えたら、意外な顔をされました。日本人にはチキンライスが人気だったようです。案内されたニョニャ料理のお店のお味は、優しい家庭料理。とてもおいしくいただいたのに、いや、だからか、なぜか、写真が一枚もない・・・。

さて。お菓子の話です。

オンデオンデは、パンダンリーフの緑色をしていることが多いけれど、今回のレシピには、紫芋を使うとありました。レシピ本の筆者は、シンガポールのプラナカンの男性。パンダンシフォンケーキや、層になったクエラピスなど、彼のレシピで作れば、いつも上手くいくので、信頼度が高いです。

レシピ本の写真は、紫色のお団子にココナツの白が映えて美しい。でも、台風で買い物に行けなかったこともあり、あるものでできるニョニャ菓子を作りたかった。鳴門金時(さつまいも)ならあるじゃないか。他の材料はそろっている。

お芋のお餅でちょっと脱線。

昔々、祖母が贔屓にしていた野菜売りのおばあさんが、和菓子のようなものも仕入れていて、「今日は、芋餅あるでよ」などと、声をかけてくれていた。男性でも操縦が大変そうな、大きな手押し車いっぱいに季節の野菜を積んで、家々を回るのだ。野菜売りのおばあさんは、「ちぎ」という秤を使っていた。天秤棒である。片方に重りを載せて、もう片方に商品を置いて。野菜や果物を載せていたのか、他の品だったのかは、ぼんやりした記憶でしかない。目盛りのようなものを操作していたと思う。天秤がゆらゆら揺れるのをジーっと見ていた子ども時代。『あれでいろんなものをはかってみたいな』。

やがて、車を引くのが無理になったおばあさんは、廃業した。息子さんのところへ行くという。おばあさんは一人暮らしだった。引っ越す前に、祖母のところへあいさつに来てくれた。「奥さん(祖母のこと)には、ほんまにお世話になりました」と涙ぐんでいた。

そう。この日のオンデオンデは、芋餅に似ている。フィリングがあんこか、ヤシ砂糖か、きなこを振りかけるか、ココナツをまぶすか、の違いだ。

オンデオンデの話に戻ります。

オンデオンデとの出会いは、マレーシア郊外の、野生のおさるがそのあたりに見えるクッキングクラス、LaZat Cooking School に参加したときでした。

オンデオンデの魅力は、団子を噛むと、中のヤシ砂糖がじわーっと出てくる、その瞬間にあります。

鳴門金時は、昨今売り出し中の、とても甘いさつまいもたちに比べると、あっさりしている。だからこそ、中のヤシ砂糖の風味が生きてくるかもしれない。

ニョニャ菓子は、あまり甘くない。見た目ではわからない味。お茶だけでなく、スープと合わせて、ちょっとした軽食にもなる。

この日は、台湾の「蜜香紅茶」を淹れました。

芋餅もそうだけど、作ったその日に食べないと、硬くなってしまう。作ってすぐが最も美味です。

マレーシアやシンガポールでは、街中やモールの、専門の小さなお店でニョニャクエが買えます。奥の緑のはパンダンリーフの色で、下層はもち米を蒸したもの。真ん中はカスタード系、手前がクエラピス。食感は日本のういろうと同じ。どれも、手間暇かけて手作りされています。

Thank you for reading!

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