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『ケーキの切れない非行少年たち』感想

内容はともかく名前だけは聞いた事のある方が多いのではないだろうか。
著者の宮口氏が犯罪に手を染めてしまった少年と対話を重ねていくという形式のもので、認知行動療法およびそれに基づくSST (行動変容アプローチ)の限界、境界知能当事者の不可視化、公教育での援助の不徹底、と切り込める基本的な論点が多く、教員(特に公立の小中、特支)、社会福祉士(特に児童分野、役所勤めのケースワーカー)、精神保健福祉士、保育士、法務教官あたりを志す学生、あるいは現職者については是非読むべきでないかと思う。
非行少年と聞くと私はどうしても一昔前の尾崎豊や金八先生の世界にでも出てきそうなワルを連想してしまうが、現実は発達障害、知的障害、知的グレーゾーンといったような、福祉的支援を必要とする、どちらかというと無気力な層が一定数を占めてくるという事実を知ると暗澹とした気分に陥ってしまう。非行少年の母数自体は減っているのに何故ここまで彼らの割合が増えているのか、という問いについてはTwitter等で飽きるほど擦られてきたものであるが、まあ障害を社会モデルで考えると答えはすぐに出てくるだろうなとは思った。
あと、氏は全体を通して一切触れていなかったが、個人的にはSSW (スクールソーシャルワーカー)の雇用(特に正規職)の拡大とかアリなのではないかと考える。現状あまりにも知名度が低すぎて、校内での支援となると教員とスクールカウンセラーのみが取り上げられがちであるが、彼らが支援側に加わることによって心理面だけでなく、より重層的なアプローチができるのではないか

#読書記録
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#ケーキの切れない非行少年たち

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