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不安な患者は迷探偵?!

 甲状腺乳頭がんの告知を受けてから、早くも8ヶ月が経とうとしています。この病気と関わってから、一番どーんと落ち込んだ日は、今でもよく覚えています。それは、がん告知の日でも手術の日でもなく、細胞診を行った日。

 通常の超音波での検査を終え「もう少し詳しく調べてみましょう」ということになり、細胞診をすることになりました。細胞診とはその名の通り、患部に針をさして細胞を取り、それを検査して、悪性か良性かを判断するというものです。針は注射針ほどの太さで痛みもわずか、と事前に説明されました。

 さてさて、細胞診の日。いくら負担は少ないとはいえ、人生で初めての検査でドキドキ。首に針を刺すので「針を刺している時はゴクンと飲み込まないでくださいね。」と言われ「急に飲み込みたくなったらどうしよう…」とまたドキドキ。横を向いているので、音しか聞こえなくてドキドキ。

 そんな状態で、首に針を刺されながら先生と看護師さんがやりとりをしていた言葉を、私は聞き逃しませんでした!「…5...aかな…」「これしんじゅんかな?」

えええ、なになに、今5aっていった?それよく言う「ステージ」ってやつ?え、5って相当数字が大きいんじゃないの?なに、もう私末期なの?がんなの?死んじゃうの?しんじゅんってなに?「浸潤」?しみだしてるってこと?それはまずいんじゃないの?転移?それ転移ってこと?がんでその上5で転移してるんじゃ、もう私死んじゃうんじゃないの?

この気持ちが針をさされている数秒の間に頭を駆け巡りました。そして検査後、「はい~検査終わりました~それでは後日主治医の○○先生から結果を聞いてくださいね(ニッコリ)」

なになに、今のニッコリ?!大丈夫、心配ないですよ、のニッコリ?!そうだよね、結果が悪かったら、あんなニッコリで送り出してくれるはずないもんね。きっと深刻な顔しかできないよ。きっと大丈夫だったんだよね?!ね?ね?その「ニッコリ」だよね?先生?!

そして帰宅後、「もう死んじゃうのかな?」という気持ちと「きっと大丈夫」という気持ちの間で揺れ動くことになりました…

今思えば、5aっていう数字はステージではないし(実際はステージ1でした)そもそも、細胞の中身を検査しようとしているわけで、針を刺した時点でいいも悪いもわかるはずはないのですが、初めての経験で不安もたくさんあって、耳に入るものすべてに過剰反応していたな~と思います。不安なあまり、どんな些細なことにも意味づけをした時間だったように思います。あの時の自分に「ちょっと落ち着こう!」と美味しいお茶でも出してあげたい気持ちでいっぱいです。

今後の人生で同じような状況になった時、また同じように自分の中の迷探偵(笑)が暴走するとは思うのですが、「ねえねえ、あなた前も勝手に判断して勝手に不安になってたよ~。あなたそういう癖があるよ~その推理しても、あんまりいいことないよ~」と自分に言ってあげようと思います。(笑)ご機嫌に生活をするためには、自分の考え方の癖を知ることも大事だな~と感じました。

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