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鶏舞(とりまい)

1.鶏舞とは

小学生の頃、習っていました。

私は、東北の出身です。

青森県、岩手県の旧南部藩領内と、岩手県、宮城県の旧伊達藩領内に伝わる舞で、子どもの頃は、ただやらされているという感覚でしたが、

大人になったら、その価値を知り、驚きました

私たちは、鶏舞(とりまい)と呼び、またなぜか女の児童しか舞うことができませんでした娘神楽とも呼ばれていました。

私の育った地域は、本当に山と田んぼしかないようなところで、小学校は1学年1クラス、私の学年は13人(男5人、女8人)でした。

小学校までは、歩いて片道2km、小学生の足で40分かかりました

6年生の時には、隣の小学校と統合になりましたが、今はその小学校も町の中心にある小学校と合併されています。

皆、呼び捨てで呼び合い、それぞれの親や兄弟のことも知っている、地域ぐるみで子どもを守ってくれるようなところがありました。

とりまいは、鶏舞(けいばい)とも呼ばれ、鶏冠風の鳥兜(とりかぶと)をかぶって舞います

とても躍動感のある激しい舞で、小学生の体力を以ってしても、息は切れ、身体は火を吹いたように熱くなり、汗が吹き出す。

身体の深部を沸き立たせるような太鼓の音。鐘の音は、あちらの世界への通路をひらく

溢れ出す色彩とリズムの氾濫。力強い舞。足で地べたを踏み鳴らす。意識は飛び、身体はどこかに持って行かれる

頭は鳥兜の紐で縛り付けられ、頭痛がするくらい。身体は衣装の紐でキツく縛り上げられている。

動きの激しさに、衣装の紐は解ける。小手に付いている鈴が取れてしまうことも。

20分弱踊り切り、最後に地べたにひれ伏した時には、切れた息で身体が大きくなったり小さくなったりすることをその熱と音の渦の中でただ感じている…。

今調べたら、とても驚きました。

山伏たちの手で伝承された修験道に基づく舞踊」で、

「もとは悪霊を踏み鎮める呪法の反閇(へんばい。陰陽家の秘法の一つ)から出た芸」だそうです。

🔻世界大百科事典における鶏舞についての説明は、こちら

2. 20歳、ドイツでのNGO活動で披露

20歳の時、私はドイツでのNGO活動に参加しました

"20世紀の反人種差別主義〜DialogとMonolog"をテーマに、  

世界中から集まった若者と共に、演劇を作りドイツ国内を公演して回りました。  

わたしは、そこでその鶏舞を披露しました。  

劇中での役は、そのまま"Japanese Traditional Dancer"となりました。  

御神楽に対する主にヨーロッパ・アメリカの参加者達の反応は凄く、  スタンディング・オベーションでした。  

私は、とても驚きました

自分にとっては、慣れ親しんだ、というか小学生の頃に習わされていた郷土芸能くらいの認識でしたので…。

今では私の故郷では、鶏舞を教えてくれる先生も高齢で教えることができなくなり、女の子達への舞踊の伝承は数年前に途絶えてしまったようです

3. 中沢新一先生との出会い

日本の持つ唯一無二性とは、芸能と職人の世界である、とは私の尊敬する中沢新一先生のご本で学ばせていただきました。

中沢先生は思想家、宗教や文化人類学の研究者としてとても著名な方ですが、

私の修士論文の査読をしていただいた方でもあります。

修験道や、東北地方の人間の持つ精神性についてのご研究、またチベットでヨガを修行されてきた方でもあり、女性なるもの、その存在の真実についても、

査読指導やご本を通して、私の飢えにも似た知識欲を満たしてくれる方でした

院生時代の話は、また別のところでご紹介させていただきたいと思います。

鶏舞についても、もう少し具体的にご紹介できると良いなぁと思っていますが…。

ということで、今日は、私が子どもの頃に習っていた東北地方に伝わる鶏舞についてのお話でした。

お読みいただき、ありがとうございました!

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