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タイ駐在員がおもうタイのアフターコロナその3(終)

その1で駐在員の減少が加速すること、その2で駐在員が減ることで衣食住やらゴルフへの影響を経て、最終回のその3ではそれ以外の諸々を書きます。

まず日本からの出張者がどうなるか。その2で書いたように駐在員が減ればその穴は短期的には出張でカバーしようと思うはず。例えば毎月タイに来て、今までタイで駐在してた業務の穴を埋めるとか。一方このコロナ騒動の中で、必ずしも現場にいなくてもできる業務がわりとあることに気付いた会社も相当あるはず。そうするとそもそも出張そのものがいらないんじゃないか、となる。そうなると例えば毎月の出張は不要で、3ヶ月に1回で十分となるかもしれない。駐在員減による出張増と、WEB会議などによる出張減を比べると、出張にはコストもかかるし、結果的には出張者そのものは減っていくんじゃないかと思う。

観光客はどうか。観光客の目的は遺跡巡り、ショッピング、食事、ゴルフ、夜遊び、リゾートでゆっくりといった辺りか。遺跡巡り、ショッピング、食事とリゾートはタイ人や他国の観光客にもニーズがあるし、観光業はタイにとっても重要だから、レストランやホテルは入れ替わりがあるにせよ、何年か後には復活するはず。ただ、やっぱり一般的な日本人がタイ旅行にお金を割けるのかが微妙と思う。

一方、一部の日本人特有のニーズはゴルフと夜遊びと思う。一部の、というのはお金がある、という意味も多分にある。ゴルフは前回書いたように、コロナ前後であまり変化はないと予想している。夜遊びは、いま一様に閉まっているバンコクやパタヤの一角がどんな感じで開くのかにかかっている。現在の軍事政権はバンコク健全化を目指しており、ひょっとしたらこれを機に夜の街の規模縮小を狙うかもしれない。でも規模を縮小してもそこに稼ぎを求める女性と、夜に魅せられたい男性のニーズはあるわけで、縮小したニーズはこっそり闇の中で満たされる可能性が高い。そうなると結果的に国のイメージや治安は悪くなるわけで、仮に縮小したとしても、壊滅させることはないんじゃないかと思う。

とうことで、夜の街はある程度は復興するであろうから、一部の観光客はゴルフとセットで引き続き来る。お金はあるところにはあるし、ゴルフや夜の街が好きな人は引き続きお金を落とすはず。

結果的に日本からの観光客には、コロナの影響はないんじゃないかと思う。もちろん街が動くまでに、ある程度の時間はかかると思うけど。

これからタイに住む人、タイで働こうとしている人、いわゆる現地採用の道を模索している人はどうか。例えばタイ語が話せるとか英語が話せるとか、スキルがあれば職には困らないはず。あるいはタイが好きであるなら、何らかの職を得て生活することはこれからも可能と思う。

ただ、2019年のタイへの直接投資額は中国が日本を抜いて1位になってたはずで、製造業を中心に日本からの投資が止まりつつある。サービス業も、例えば駐在員が減ることで日本クオリティの日本食レストランも減るかもしれない。その1でも書いたようにタイ人にも優秀な人材はいる一方で、日本人の給料はタイ人より相対的に高い。形式的に決まっている日本人の最低賃金を何らかの方法で無視して職を得た場合は、普通の日本人にとって、タイでの生活は厳しいはず。例えばタイ料理とかビールとか家賃とか、特定の生活品の物価は安いけど、全般的に言ってタイの物価はそんなに安くない。日本人向けの雇用需要が先細る中で、物価の安さだけに惹かれてタイでの生活をスタートさせることは、コロナ前も危険だったけど、コロナ後はより一層危険になると思う。

タイ人の人件費は上がり続けていて、それがタイの内需を支えていたわけだけど、コロナ前から内需は既に鈍ってきており、失業者が増えたり給料が減ってしまえば、そもそも外国人に高い給料を出す余裕はなくなる。そんな中で中国がタイ投資を加速させて、一気にタイとの距離を縮める可能性がある。コロナ直前が、日本人にとって一番いい時期だったのかもしれない。

レコード屋とかクラブとか、タイの文化はどうだろう。これが正直なところ一番わからない。もちろん今は営業してないしダメージは受けていると思うけど、戻らないかと言われれば決してそんなことはないような。タイ人のサバイ精神というか、楽しいことへのエネルギーの費やし方は本当に半端じゃないので、この期間を経て、更に面白くてエネルギッシュなアウトプットがあるんじゃないかと楽しみにしているし、楽しみにしたい。

ということで、思うがままに書いたから冗長なところもあるけど、これを書いたことで数ヶ月先や数年先のタイが楽しみになった。とりあえず今は、街が開いたらレコード屋に行きたい。

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