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子どもたちのケンカ「おまえが悪い謝れ!」本当の気持ちとその後


こんにちはリスナー&講師のまさみです。最近、髪がもわもわと広がり、湿気の多い季節になったなぁと感じています。暑かったり肌寒かったり、皆さんお元気ですか?

先週、小3の息子が徒歩20分の距離を汗をびしょっりかきながら、ダッシュで帰ってきた日の出来事です。玄関に入らず、庭に駆け込み、「あれ!カマキリのかごがない!」と大声で叫びました。カマキリは前日に、お友達のお母さんが、畑で見つけたものを虫が大好きな息子のためにわざわざ届けてくださったのでした。庭の日の当たる場所にあったカマキリの虫かごが心配で、私が日陰に移動させていました。玄関に出て、「カマキリこっちに移動させたよ。」と声をかけた時、息子の後を追って走ってきたお友達2人が、「なんで走るんだよ!理由を言えよ!」と怒鳴って庭に入ってきました。

息子「カマキリが死んじゃうと思って」
Aくん「カマキリと人間とどっちが大事なんだ!」
Bくん「カマキリはお母さんが動かしていたじゃないか、走った意味がないじゃないか!ひどすぎるよ!」
息子「僕は理由を言ったよ」
Aくん「きいたけど、僕は僕が走らされた理由がききたいの、なんで僕が走らなきゃいけなかったんだよ!」
Bくん「僕はきいてない!ちゃんと説明しろよ!息子くんのせいだぞ!」

あまりの剣幕と、2対1で激しく責められている息子。説明しろと言われて、話し始めるとたたみかけるように相手の言葉が飛んでくる。私はとても動揺しました。ココロの中では「そんなに嫌なら別々に帰ればよかったじゃん!」とか、息子に対して「なんで一人で帰る!って言わなかったの?」などの私の考えや、こうすれば、ああすればの手段ばかり口に出しそうになった自分もいましたが、ぐっとこらえました。

私「Aくんは走らされたと思ってるんだね。そして、その理由が知りたいんだね。息子はカマキリが心配で、その命を守りたかったから走ったみたいだけど、Aくんはどうして走ったんだろう?」
Aくん「僕はひとりで帰るのが嫌だったから走った。カマキリなんて死んでもまたつかまえればいいでしょう?なんで僕が走らなきゃいけなかったのか理由を説明してよ!」
私「Aくんはひとりぼっちは嫌だったし、一緒に帰りたかったんだね。」
Aくん「うん」

息子には「カマキリが心配だったの?」ときくと「死んじゃうと思ったんだ。せっかくもらったばかりだし、大切に育てるって約束をしたし。」
というので、「カマリキリの命を守りたかったし、約束も守りたかったんだね。」と言いました。そして、「Aくんは一緒に帰りたかったんだって。」と言うと「うん」と答えました。

Bくんには「走った理由が知りたかったの?」と尋ねると、「僕は何もしらなかったから。それに、お母さんが(虫かごを)動かしているなら、僕らが走る意味なんてなかったじゃないか。責任をとってほしい」

息子「僕はお母さんが虫かごを動かしているのを知らなかったから」
Bくん「でも、走らされたじゃん、責任取ってよ。ひどすぎるよ」
私「Bくんは、なんで理由もわからないのに、走ってきたの?」
Bくん「僕はAくんと遊びたかったから」

私は、「BくんはAくんと遊びたくて、でもAくんが走っているからついてきたんだね。息子が走った理由はカマキリの命を守りたかったんだって。」と伝えました。そこまで伝えても、おさまらないAくんとBくん。「今、みんなの気持ちを聴いたけど、まだ言いたいことがあるかな?」と尋ねると、「もう全部言った。」と全員。「じゃあ、遅くなっちゃうし、お家の人も心配するから、そろそろ帰ろうね。」と促し、家に入りました。

分かり合えない残念さと疲労感。責め立てられる言葉の数々に、なんとも言えない気持ちを抱えて家に入りました。息子は手を洗いながら、泣いていました。私は、自分のココロと向き合って、なんでこんなに残念に感じているのかを探ってみました。すると、「カマキリの命を守りたかった息子の気持ちにお友達が共感してくれなかった」がありました。ひとりひとり大切なものは違うから、同じように感じるのは難しいことだけど、「それが大切だったんだね。」と一度受け止め欲しかったんだな。でした。泣いている息子の気持ちの整理をするために、悲しい気持ちを感情のカードで表現してみました。息子が選んだのは上の画像のカードでした。

「僕、少し休む」と言って、30分ほどテレビを観ていました。そして、テレビを消して、「どうしよう。僕やっぱりココロがもやもやする」と言いました。「あのね、僕はAくんに『カマキリを日の当たる暑いところにおいてきちゃったから、心配だから急いで帰るね。』って言ったんだ。理由も言ったのに、なんであんなに怒るんだろう。」「ちゃんと理由を説明してたんだね。」「それにね、僕はついてきてってお願いしてないんだ。走ってきたのはAくんが選んだことなのに、僕を悪者にしないで欲しい。あぁ、僕はこれを言いたいんだ。僕を悪者にしないでよ!って思ってるんだ。」「Aくんが走ったのは、Aくんが自分で選んだことなのに、あなたに責任を取れといわれて嫌だったんだね。」「そう。僕、やっぱりこれを伝えたい。お母さん、電話で話したい。」

私が電話をする前に、息子に一言伝えたのは、「なにか相手に伝えたいことがある時は、先に相手がどんなことを言いたいか聴いてごらん。ママはいつも何かあなたに言いたいことがある時は、先にあなたの気持ちを聴いていると思うんだけど・・・(ちょっと自信もないところもありつつあせる)。」すると息子は「あっ!そうだね。そうしてみる。」と言いました。

夕方Aくんに電話をすると(息子がスピーカーフォンで話したので丸聞こえ)
息子「あのさ、今日の帰りのことなんだけど」
Aくん「あれはもう終わったことだろう」
息子「Aくんはもう、もやもやしてないの?」
Aくん「ぼくはもう終わったことだから、もやもやしてない。」
息子「あのさ、僕は一緒に走ってって頼んでないよね」
Aくん「うん」
息子「じゃあさ、なんでAくんは走ったの?」
Aくん「それはさっき言った」
息子「一緒に帰りたかったんだよね」
Aくん「そう。で、なんで電話かけてきたの?」
息子「僕はAくんと仲直りがしたかったんだ」
Aくん「そうだったんだ。うん。いいよ。」
息子「じゃあまた明日ね。」
Aくん「うん。また明日。」

電話を切った後、息子が「こんな仲直りができるなんて・・・・。」
と呆然としていました。私自身は、と言うと、電話の後で、怒鳴って怒っていたAくんが、本当に望んでいたことは何だったんだろう。と考える余裕が出てきました。

カマキリを必死に思う息子に腹を立てていたAくんは、「本当はゆっくり歩いて一緒におしゃべりをしながら帰る帰り道をとても楽しみにしていたのかもしれないな。」「自分のことを大切にして欲しいという気持ちがあったのかもしれないな。」と想像することができました。喧嘩の時は、私の中に息子をかばいたい気持ちがありすぎて、Aくんの気持ちに最後まで寄り添うことができなかったんだな。「僕はひとりで帰るのが嫌だったから走った」という言葉の奥の、本当はどうしたかったかという望み まで寄り添うことができなった、という気づきがありました。


どっちが悪いとか、どっちが正しい、間違ってるとかじゃなくて、無理やり「ごめんなさい」を言わせる、のでもなく、聴きあうことができるような社会になるといいなと思います。子どもたちの喧嘩に、親が口出しをしてしまった私のかかわりが、適切だったのかどうかはわからないけれど、責任をとれ!おまえのせいだ!あやまれ!だけではない、喧嘩の終わりを自分たちで出来るようになっていって欲しいなと思います。きっともう少し時間がかかるだろうなとは思うけど(苦笑)そして私はまだまだ修行が必要だな。と思いつつ、これからも自分自身にも子どもにも聴くを実践し続けたいなと思っています。
(2021年6月15日の記事より)

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