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地域工務店の次世代型ゼブラ経営 1/3

前回の投稿でゼブラ企業について触れたが、ゼブラ化はまさに地域工務店のような業態に適していると思う。というよりも、もともと地域の中小工務店はゼブラ企業であったと言っていい。今回は将来を見据えた地域工務店のゼブラ経営について考察してみたい。

住宅業界において、もともとは地元の建設業者・大工が中心となって地域の家造りを担っていて、元請けの建設業者は地域との連携を考え業者間の利害関係を調整しながら地域のなかで共存共栄を図ってきたと考えられる。それが戦後の住宅政策や経済成長などから、全国を営業エリアとする大手ハウスメーカーが台頭しローコスト住宅といわれる低価格帯の住宅が一般化し、大量生産大量消費をけん引した。国内の経済環境もあって急成長を遂げる住宅会社が躍進した。

しかし、バブル経済が崩壊するなど国内の経済成長は鈍化し、人口減少と共に住宅着工棟数は減少の一途をたどる。将来的に見てもこれまでの大量生産大量消費とは逆行しており、経済成長と人口増を背景としたビジネスモデルは見直しを図られる時代が到来している。

参考までに下図は2014年に商工中金が発表した都道府県別の住宅着工戸数(抜粋)の予測である。住宅着工戸数は、2030年前後には2010年前後と比べ46.9%減の予測となっている。ただこれは全国平均であり、沖縄県(▲8.3%)と島根県(▲88.3%)との予測にはじつに80%もの減少率の差がある。ドラッカーが『既に起こった未来』と言っているように、人口動態によって予測できる事は大きな変化はないだろう。仮に出生率が大幅に上がったとしても、生産年齢人口が増えるのには15年かかる。つまり、日本の住宅着工棟数が将来増えることは大きな災害や紛争がない限りはもうないと考えられる。

このような時代背景のなか、ハウスメーカーや工務店はまず、断熱性・耐震性・耐久性など住宅性能の強化に伴う高額化を図り単価を上げた。市場の成熟化によってより高品質な住宅が求められるのは確かであるが、住宅着工が減少するのであれば単純に単価アップによって売上を確保すると考えるだろう。ただ、それが未来永劫続くわけではない。むしろあと数年もすればもっと真剣に抜本的な経営スタイル・業態の変革を迫られるだろう。

では、それにどう対応すればよいのだろうか。『ゼブラ化』の観点から、多面的に見ていきたいと思う。

商工中金レポートP7


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