見出し画像

地域工務店のアフターメンテナンスを考える

地域工務店にとってアフターメンテナンスは地域からの信頼を獲得するためにも大変重要な仕事です。工務店経営者の倫理観が最も出やすいところでもあります。多くの地域工務店経営者がアフターメンテナンスを重視する気持ちはあるものの、なかなか思うようにいかない、OB施主が満足するところまでいかないのは何故なのでしょうか。

これはズバリ、アフターが出来るほどの利益が取れていないからに他なりません。当然ですがアフターメンテナンスは人件費や体制の構築などにお金がかかりますので、その原資となる利益が必要なのです。OB施主を思う気持ちがあるのであれば適正な利益を頂戴してアフターメンテナンス体制を構築する事が長期的な信頼を得られるでしょう。至極当たり前の事なのですが、良心的な工務店経営者ほどビジネスを度外視したアフター体制を取っているようにも思えます。継続性のない状態で無理にアフターメンテナンス活動を行っても、決してOB施主が満足するレベルのアフターメンテナンス対応は出来ないでしょう。商売ですので、満足できるレベルの対応をするために適正な利益を頂戴する必要があるのです。

アフターメンテナンスに関して、お施主様から利益を頂戴するタイミングは大きく分けて2つです。
1.家を建ててもらった時
2.アフターメンテナンス対応をした時

新築時の適正粗利益は直行原価で25~30%と言われます。本来なら1棟1棟完成時にアフター用の予算をストックしておくべきなのですが、経理処理上複雑になるのでほとんどの工務店は当期建築した物件の収益のなかでアフターメンテナンスを賄う形になっています。従ってアフターに関わる人件費や無償工事費を当期に完工した建物の利益のなかから捻出する形となります。別で家守り保険などを活用してアフターメンテナンス費用を確保する事も可能です。点検代行などもあるので参考にしてください。

アフター対応時にその費用を頂戴する場合は、①新築引渡し時に有償無償の説明を明確にしておく事。②その後OB施主との友好的な関係性を継続する事で本来頂戴できるアフター代をちゃんと確保できるようにしておく事が挙げられます。②の場合は無償での保証対象となっている場合はもちろんアフター代は頂戴できませんが、度を超えた要求や説明不足による無償工事などが無いようにしておくべきでしょう。

このどちらかで少なくとも手間代は確保しておかないとアフターで収益性が低下しひどい場合は赤字になります。アフターで無償対応をすればするほど赤字が増えていくとしたら、さすがにいくら良心的な経営者でもどこかで限界が来ます。ましてや10年保証がいまや最長60年や一生涯の保証をうたうハウスメーカーや工務店がでてきてアフター・保証体制を充実させているなかにあっては、継続性が失われてしまいます。

事前準備としては年間のアフターに関わる費用を予め見積もっておく事や業者会での積み立てによるアフター費用への充当、前述の家守り保険の活用、新築時にアフターメンテナンスパックとして費用を頂戴しておく事、また施工不良が出るような無理な工事をしないなどがあると思います。これらも含めて適正な粗利率を確保しておく事が最も重要であると思います。その粗利率を確保するためにはブランディングや魅力のある家造り、そして人財育成が求められるのだと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?