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ベトナムでのマーケティング事例1: 公共政策(日本人通りの信号機設置)での失敗事例

「ベトナムでのマーケティング事例」をハードとソフトの視点で論じてみたい。

ハードとソフトとは、下記の2つである。

1 ハード(物理的世界)
2 ソフト(心理的世界)

一般的に、「ハード」(物理的世界)で問題を解決する。ただし、ビジネスでの成否は「ソフト」(心理的世界)を理解し、もう一つブレイクダウンした視点ができるかにどうかにかかっていると言っても過言ではない。つまり、生活者ニーズの理解である。
 
 本日は、誰にでもわかりやすい「公共政策(日本人通りの信号機設置)での失敗事例」を紹介したい。

ベトナムのホーチミンには、日本人街(レタントン通り)がある。多くの日本人向けレストランや繁華街が多く、日本人駐在員の憩いの場である。しかし、2014年ぐらいから日本人の交通事故がこの場所で多くなり、2015年にホーチミン日本商工会は、「信号機」(ハード)を設置するという解決策で、日本人の交通事故を防ごうと考えた。日本人としては妥当な判断であった。 しかし、結果として事故が増えてしまったのである。

期待とは逆効果となる結果となってしまった。

なぜならば、日本人の信号に対する認識(ソフト)とベトナム人の信号に対する認識(ソフト)に大きく齟齬があったのである。日本人は歩行者側の信号が青色であれば、車道を確認しなくても、車やバイクは止まってくれるという認識であるし、生真面目に信号機の色に合わせて行動をする人が多い。また、点滅型信号機に慣れている日本人が多いが、ベトナムの信号機は同じ型ではないし、信号機の設置場所も課題が多い。日本人が考えている一般的な「信号機」への認識とは全く違うのである。

つまり、ソフトの部分である「認識」の違いを把握して、ハードの実践内容を決めないと失敗してしまうのである。今回のケースでは、解決が急務であったのであれば、日本人側に対しての日本語の告知看板(「ここは日本ではありません。自動車・バイクを確認しながら歩きましょう!!」)を置いたほうがよかったのかもしれません。

ハード視点ファーストでは、解決案としては間違っていなくても、「時と場合」によって間違った方向へ進んでしまうのである。

あっ、東京オリンピック2020は、ハード視点ファーストですね。

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