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ベトナムでのマーケティング事例4:韓国系フレンチスタイルベーカリチェーン

「ベトナムでのマーケティング事例」をハード・ソフトの視点で論じてみる。

ハードとソフトとは、下記の2つである。

1 ハード(物理的世界)
2 ソフト(心理的世界)

 一般的に、「ハード」(物理的世界)で問題を解決する。ただし、ビジネスでの成否は「ソフト」(心理的世界)を理解し、もう一つブレイクダウンした視点ができるかにどうかにかかっていると言っても過言ではない。つまり、生活者ニーズの理解である。

第4回目になりました。
今回は、「韓国系フレンチスタイルベーカリチェーン」を紹介したい。

ベトナムでは、フランス統治以降、パンはベトナムの食文化に浸透し、バゲットサンドのバインミーは朝食やおやつとして気軽に食べられている。韓国系フレンチスタイルベーカリチェーンは、この歴史的背景を理解した上で、上位中間層向けのポジショニングで活発である。

多くのライバル店に比べ多様なメニューを徹底的に揃え、特にベトナム固有のカフェダーやカフェスアダーなどの練乳入りコーヒーのほか、ベトナムで好まれるソーセージや肉入りのパンを開発・商品化(ハード視点)している。加えて、モダンかつシックでプレミアムというコンセプトの下、原材料も高品質、インテリアやサービスも格上で、狙い通りベトナム人上位中間層が求めるニーズ(ソフト視点)に対応しており、「ベトナム生活者」の動向をきちんと把握している。

日本人が経営する海外での飲食業関連企業の多くは、自分らの商品に能力過信し、シーズベース文化が強い傾向のため、なかなかニーズベースポジショニングを実施することが難しく、現地日本人向けのサービスになりがちである(もちろん、わざとそのニッチ市場にフォーカスする戦略は否定はしない)。一方で、このような韓国企業は「韓国の強み」を前面に出すことをせず、ニーズベースでベトナム生活者ニーズから商品をつくりあげていく経営スタイルである。

実際、欧米系や韓国系の飲食業関連企業は多く調査を実施しているが、日系企業はほとんど消費者調査をしていないのが現実である。まだまだ、「経験と勘」の経営スタイルなのである。

ちなみに、「女性の日」が多いベトナムでは、このようなベーカリーチェーンでケーキを購入する企業も多く、B to C市場だけではなく、B to B市場としての広がりもあり、まだまだ拡大していくことが想定される。


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