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授業スキル2

授業中はほとんど何かを解説している。生徒からの質問に答えて解説することもあるが、たいていは用意してきた説明が主だろう。解説で重要なことは、ねらいを明らかにすることだ。授業の「ねらい」については、別の記事を読んでほしい。今回は授業スキルを取り上げる。

マップと部品

話を聞くには集中力がいる。生徒の集中力は限られている。話すより聞く方が集中力は必要だ。示された順序で、音声で理解しなければならない。頭に入りやすくする工夫があった方がいい。全体像や現在地を最初に伝えたい。ねらいを伝えるのと同じ場合もあるが、詳細は置いておいて大まかに概略を冒頭で伝える。

民主政治の基本を理解してほしい。
民主政治はいくつかの発明、アイデアでできている。
現在使われている考え方は、歴史とともにだんだん加えられて、たくさんある。
民主政治はいろいろなアイデアの集合だ。
国によって使っているアイデアには、強弱や濃淡がある。
1つずつ時代を経てアイデアを足してきて今に至る。

話の広がりを伝える。これから積んでいくのか、並べていくのか、重ねていくのか。授業がどう進むのかを伝える。大事なことを先に見せる勇気がいる。テレビ番組では、よくやっているが、CM前に次の展開をチラッと見せる。最後まで行かないとわからない説明は、不親切だ。最初から見出しや目次として、伝えることで重要度がわかる。もちろん冒頭だけでは全部はわからないが、後半の予告編を前半に混ぜて話すつもりで、段取りを考えたい。プレゼンの指南書にもよく載っている方法だ。

部品がいくつあるのかをあらかじめ数えておく

伝える内容の個数を把握して話すことが大事だ。たくさんあるようなら、厳選するか、まとまりをつくるべきだ。数を伝えることも重要だ。生徒が話を思い出す際に役立つ。ポイントは3つ!と言うのがいい。3つじゃない場合は、今日は3つだけ、と言おう。組み立てるのに必要な部品の数を授業者は把握して、今日はどの部品を扱うか、既に与えた部品は使えるようになっているか、を考えて授業を計画する。学習のまとまりを単元という。授業者は自分で単元を編集して授業をする。教科書の単元に縛られる必要はない。単元の中にも、もっと細かな部品がある場合もある。
生徒に部品の大きさや細かさを伝えることが、わかりやすさにつながる。車体、エンジン、車軸、燃料タンク、車輪というように同列に並ぶ大きな部品なのか、エンジンの中の小さな部品の話をしているのか、その区別ができないまま解説を聞いている生徒がいるなら最悪だ。マップを見せて現在地を教えてあげよう。

民主政治には、社会契約、民主主義、権力分立、人権という4つの部品がある。
権力分立を徹底している国もある。
投票や選挙は民主主義の方法だ。
代表者を通じて行動するという考えの元が、社会契約だ。

すべてを話しや音声で伝えるのは、不親切

マップや部品は、適宜確認して、振り返る必要がある。学習途中では見失いやすい。リスト化したり、概念図や矢印などで関連やまとまりを示すのがいい。最小限でも板書があった方がいい。手元で参照できる資料やノートがあった方が学習しやすい。

民主主義は、国政の話しだけではない。企業経営や組織運営にも関係する。民主主義という見方・考え方を学んで、身近なところで知識を生涯にわたって活用してほしい。会社で重大な決定をするとき、その決定に関わる人間は、どのように選ばれているのか、その決定の影響を受ける人間は、異議を唱えられるのか、など知識は、構造や枠組みを理解して、必要に応じて使われて価値がある。(アナロジーと言います。)

限られた授業時間を有意義に有効に活用するために、マップと部品を意識して授業計画を立ててみてください。



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