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つまらないオンライン授業2

全国で先生方はオンライン授業にチャレンジ中だ。生徒は匿名性が保たれるので、授業に厳しい評価をする。初めてのオンライン授業づくりは時間がかかる。

教員にとってのハードル
動画撮影に不慣れ
マイクやパソコンなど機材が必要
自宅で作成しなければいけない
動画向けに教材の加工や編集が必要
目の前に生徒がいない
単調で我ながらつまらない

双方向の教室コミュニケーションをオンラインでできる環境が整っている学校は限られている。双方向が無理でも、動画配信なら簡単にできる。カメラ付きのパソコンもタブレットも手に入りやすい。スマホでもいい。授業を撮影して生徒に届ければいい。授業をしない管理職の校長もそう考える。

教科書やノート、スケッチブックを撮影して、解説音声を入れる。
黒板を撮影して、チョークで書きながら解説する。
誰もいない教室で後ろから撮影して、いつも通り授業をする。

これらの方法では、落語のように練られた話か、見応えのある身体表現やパフォーマンスがないと、視聴者の集中力を保ち、学習効果を見出すのは困難だ。

YouTubeに動画を投稿すると、視聴回数だけでなく、分析ツールで視聴者維持率というグラフが示される。たいていの場合、左端から始まる折れ線グラフは急落して、地を這う。つまり、視聴者は最後まで見ない。大事なところだけ見て済ますか、見なくてもできるなら宿題だけをやる。
いつもの教室授業でも、全員出席だからといって、全員が話を聞いているとは限らない。YouTube動画だと、どの部分だけ視聴していて、最後まで視聴している割合も数値で確認できる。教員にとってはシビアだ。

動画は各自で繰り返し再生できるので、教員は繰り返し言う必要はない。
何も映像に変化がないまま、話だけをすると、視聴者の集中力は途切れる。
パソコンで編集した動画でも、見る側はスマホかもしれない。黒板と同じように文字情報を配置すると、情報量が多くなり見づらい。
イヤホンで聴くことがを前提にして、録音したり音の編集や加工もしなければ、雑音やブレス、ノイズで視聴者は集中できない。マイクの性能や録音環境も気にしたい。
白い画面に黒い文字、赤いアンダーラインという配色がベストとは限らない。映像に合わせてふさわしい配色を選ぶ必要がある。
動画に気になる余計なものが映り込めば、ノイズと同じで授業の妨げになる。背景や撮影場所にも気を配りたい。

教室ライブ授業と授業動画配信の違い
記録に残る。生徒以外も見るかもしれない。保護者や家族がリビングのテレビで見ているかもしれない。先生方は授業参観日に似た気分で動画づくりを行う。ちょっと硬くなり、面白さよりも間違いのないことを優先してしまう。

動画視聴は疲れる
いつもの教室授業と同じ長さの動画を見せるのは間違いだ。同じことを繰り返す必要はないし、一時停止ができるから余計な間はいらない。15分が上限ではないだろうか。教室とは逆で、聴覚より視覚の方がよく伝わる。文字情報以外の要素を映像に入れることが大事だ。

授業がつまらないのは、動画にしたからではない。
いつもの授業を動画にすると中身が濃縮される。まずい授業は動画にしてもまずい。動画にしたからまずくなったわけではない。教室ではまずさが濃縮されず、ごまかせていた。授業を真面目に受けていなくても、先生をごまかすことができた。だから授業がまずくても気づいていなかっただけである。お互いにごまかせていたから、生徒はつまらない授業を辛抱して受けていたのである。動画授業はごまかせない。授業スキルがない先生の動画はつまらない。決して、動画の編集能力やパソコンのスキルではない。


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