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Day 11. 本当の値段を考える

今日はエネルギーについて勉強した。エネルギーの中でも、「再生不可能エネルギー(non-renewable energy)」について。聴き慣れない言葉だけど、つまり石油、石炭、天然ガス、原子力といったわたしたちが主に使っているエネルギーのことだ。一方で「再生可能エネルギー」とは、太陽光や水力、風力などを指す。

毎日使うものだけど

わたしたちが日々料理をするにもスマホを使うにも必要な、電気やガスとそれを生み出すエネルギー。これは自然に湧いてくるものじゃなくて、自然の力を使って生み出している。自然の力というのは、太古からの堆積物からなる限りあるものと、自然界に常に存在し実質限りのないものがある。そして前者が「再生不可能エネルギー」にあたる。世界全体で見れば、まだこうした化石燃料に頼っているのが現状だ。具体的には、全世界のエネルギー消費の8割以上が化石燃料由来(石油、石炭、天然ガス)。でも、化石燃料は環境の面でたくさんの課題を抱えている。この資源をわたしたちはいつまで使い続けることができるだろうか。

石油にまつわるトレードオフ

石油は英語で"oil”という。オイルって、あまりにど直球な名前だなと思う("petroleum"と言ったりもするけど)。日本語では「石」という言葉が入っているけど、その名の通り石から取れる油だ。これは動物の死骸が何億年もかけて化学反応を起こして液体になったものと言われている。石油と天然ガスは岩の層の隙間に入り込んでいるので、掘削して取り出しエネルギー源として活用している。

石油はOECD各国やロシアなどに多く埋蔵していて、効率よく掘削し燃料化・エネルギー化する技術や、各国に運ぶインフラも発達している。
しかし一方で、石油掘削時の水質汚染や輸送時の海洋流出、燃焼時のCO2排出などが問題になっている。
それに、今回のパンデミックでも顕著だったように、市場価格が国際的な需要に大きく左右されるというデメリットもある。「いらない」と急に言われても、もう数十年単位で掘削や精製、運搬などの契約しているからそんなすぐに蛇口は閉められない。ついにはその価値は0円を割り込んで、最終的に廃棄物みたいな扱いになっていた。
冷静に考えて、石油が0円以下で取引されるなんておかしな話だ。わたしたちみんなの有限な資源をコントロールしているのは、市場という実態のないお化けなんだな。

「本当の値段」を考える

製品の直接的なコストに環境・健康負荷を含めたコストを"full-cost pricing"という。さっきの石油の例でいうと、環境に与える害がどれくらいかを数値化してコストとして金額に換算したものを、市場価格に上乗せすることになる。すると、石油の金額は今の数倍に膨らむはずだ。それが石油の「本当の値段」だ。
「でも、そんなことをしたら誰も石油を買わなくなるんじゃない?」つまり、そういうことなんだ。現状ではいかに環境・健康負荷のコストが蔑ろにされて経済が動いているかがよくわかる。「本当の値段」システムが導入されたら、世の中の消費動態はどう変わっていくだろうか。

今回のパンデミックでは、飛行機燃料やガソリンの使用量がぐっと下がった結果、石油の市場価格が底をついた。将来的に化石由来の燃料が規制されていけばこれと同じことが起きうる。そしてそれはそう遠くない未来だろう。それまでに各産業は石油燃料セクターの縮小や撤退の道筋を十分立てておかなきゃいけない。じっさい、シェルなど多くのグローバル企業が再生可能エネルギーへの転換を迫られている。手痛い打撃を受けることをリアルに想像できるからだろう、逆説的にこうした企業がビジネスサイドのサステナビリティを牽引しているという構図がある(グリーンウォッシングだと叩かれながらも)。

これからのエネルギーを考える

ところで、「クリーンなエネルギー」といわれている原子力も、再生不可エネルギーの一つだ。原子力のトレードオフを考えてみると、そのメリットとデメリットは果たして釣り合っているだろうか。

原子力に限らず、わたしたちは自分たちが必要とするエネルギーの出どころを真剣に考えなきゃいけない時代になってきた。環境・社会面のリスクが顕著になる一方でエネルギー需要は右肩上がりの今、エネルギーをどう調達するか、どう持続的に使うかというテーマは、どんどんと切実な問題になってきている。

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