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Day 10. 手を止めず、考えることも止めない
今日は「地質と鉱物資源(Geology and Mineral Resources)」についてお勉強した。
ところで、鉱物は英語でミネラルという。カタカナでミネラルといわれるとなんか身体に必須な元素みたいなイメージが先行するけど、"mine(採鉱する)"と似ていることからもわかる通り、原義は「鉱物」に関連していて、"minerale"というラテン語起源の言葉だ。つまり、ラテン語が発達したときにはすでに鉱物という概念があったということだ。ギリシアのアテネ、ローマ帝国では大規模な鉱業が行われており、もっと遡ると先史時代から人は地表を掘っては鉱物を発掘していたらしい。
そんな人間の歴史との関連が深い鉱業と、それが現代において環境に与えている影響を与えているのかを見ていこう。
埋蔵量はたくさんあっても使えない
実は、鉱物は比較的資源量は豊富にある。だけど、それをどう掘り出すか、またはどう活用するかが問題だ。
例えば石炭は数十年もの間「あと150年くらいしか持たない」と言われて続けている。新しい資源埋蔵地が見つかったり技術が発展したりして、なんだかんだ残余年数が伸びているのだ。でも、石炭の活用シーンを思い浮かべればわかる通り、それは燃料として使われている。石炭は生分解されきらなかった植物が数千万年以上堆積してできた、いわば「植物化石」である。(ここまでさらっと書いたけど実は知らないことだらけだったので、ひそかにwikipediaや子供向けの科学の説明ページを別タブで開いている。)
さて、植物化石ともいえる石炭の主成分は炭素(C)なので、燃焼時にはもりもりとCO2を空気中に排出する。主要な温室効果ガスであるCO2を減らすためにグローバルな取り組みが始まっている時代に、CO2もりもり燃料はウェルカムではない。これは石油や天然ガスにも同じことが言える。
こうした資源は「座礁資産(Stranded Assets)」と呼ばれている。座礁しちゃった資産とはすなわち、もう動かすことができない資産のことだ。気候変動問題が深刻化する中で各国のCO2排出量削減目標が設定されている。CO2もりもり燃料から、太陽光や風力などの再生可能エネルギーへのシフトが必要な時代になってきたのだ。そうなると、かつて(今も)一世を風靡している石炭・石油・天然ガスは持っていても意味のない資産になってしまう。近い将来、市場価値がガタッと下がる可能性があるのだ。
とはいえ鉱物に頼るわたしたち
大規模鉱業というのは、ダイナミックな産業である。土を重機でガッと掘り出して、時にはドカンと爆薬を使って、地表に大きな穴を開ける。そしてその地層から欲しい鉱物をこれまたクレーンやトラックなどを使って取り出す。
こう言われると、環境に悪そうな感じがものすごい。現代は掘削開始前から十分調査したり閉山後のメンテナンスも含めて管理を行なっているとはいえ、じっさい鉱業が及ぼす環境への影響は大きい。例えば土壌侵食、森林破壊、生物多様性の喪失、土壌や地下水や地表水の化学物質による汚染など。
もりもり鉱業を行なっている国は中国、アメリカ、オーストラリアなどである一方で、採掘地は世界中に広がっている。アジアやアフリカなど、小規模に人の手によって掘削作業が行われている地域もまだ多くある。特にレアメタルの採掘は、その劣悪な労働環境や児童労働が大きな人権問題になっている。
レアメタルの功罪
例えば、電子機器やEV車の充電式電池として活用されているリチウムイオン電池。この主原料はレアメタルの一種であるコバルトだ。この世界で引っ張りだこの資源の半数を産出しているコンゴ民主共和国では、およそ20%が手掘りで採掘されているという。どんな様子で採掘がなされているか一度見てみてほしい。
採掘時に汚染される水は人間含めて多くの生物に影響を与える。また、劣悪な環境で働く子どもたちの人権はあってないようなものだ。
これはとても都合が悪い真実だ。というのは、日本がこうしたレアメタルの輸入に頼っている主要な国の一つだからだ。個人にできる第一歩としては、レアメタルが詰まった使用済みの電子機器を適切にリサイクルすることだ。わたしの手元にも過去のiPhoneやらなんやらの使っていない端末がたくさんある。こうした電子廃棄物の山は「都市鉱山」と呼ばれて、潜在的な資源ソースとして注目を浴びている。
新しい素材を求めて
すぐに採掘の手は止められなくとも、思考停止はしちゃいけない。世界では現在活用している鉱物に変わる代替素材の開発がなされている。「問題はたくさんあるけど、この製品はこの金属がなきゃ作れない」というジレンマを解決するには、
① 製品そのものの生産をやめる
② その金属でしか作れないという固定概念をこわして、新しい素材を探す
超ざっくり、以上二つの方法がある。
例えばこれをスマートフォンに置き換えたとき、すぐさま製品の生産を停止することは難しい。何ならわたしも首肯しかねる。でも、二つ目の方法がある。簡単なことではないけど、不可能ではない。
たくさんの不都合を抱えながら、トレードオフばかりの課題を天秤にかけてはときに失敗しつつ、わたしたちは技術発展をし続けている。この事実は、必ずしもポジティブじゃないけど、ネガティブでもない。結局のところ、この先も生き延びていくためにはその場その場で最適解を見つけて進むほかないのだ。
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