見出し画像

Day 7. 生態系をお金に換算すること

地球に住んでる割に地球のことをほとんど知らない私は、目隠しをして綱渡りをしているようなものかもしれない。
幸せに暮らしていただけなのに、どこからともなくウイルスや害虫がはびこったり、激しい台風や森林火災が襲ってきたり。
ふだん暮らしているうちはそんなこと気づく由もないけれど、非常時には無知であることの危うさを痛感する。私は生きるための食べ物も寝床も、自分一人じゃこしらえられない。こんなんじゃ生きていけないじゃないか。
何でもDIYできちゃう百姓に憧れたりするけれど、今の社会システムや豊かさも諦めきれない。そんな往生際の悪い現代人が、地球の仕組みの手がかりを得るべく今日も"Living in the Environment"を開くのである。

Chapter10: 生物多様性の維持:生態系とそのシステムを守る

第九章に引き続き、第十章も生物多様性のお話。今度は生態系(ecosystem)が焦点だ。

10.1 What are the major threats to forest ecosystems?
10.2 How can we manage and sustain forests?
10.3 How can we manage and sustain grasslands?
10.4 How can we sustain terrestrial biodiversity and ecosystem services?

森の生態系は、経済的にもシステム的にもものすごく価値がある。森林の木々はCO2を吸収し、地球の温度を適切に保ってくれる。それに、燃料や紙などの原料だけでなく私たちに癒しももたらしてくれる。
そんな森林の破壊が進んでいるって話は、もう耳にタコができるくらい聞かされている話だ。この耳タコな事実の内訳を、ちょっとだけ時間をかけて紐解いてみよう。

多くの生物の住処であり潤沢な資源を提供してくれる森林は、年々面積が小さくなっている。ちなみに今は陸地面積の約3割が森林だ。熱帯林はそのうちたったの3%ほどだけど、そこに地球上の生物の半分以上が住んでいるというから驚きである。

森林破壊はなぜ起こってるの?

森林破壊が進んでいるのは、椰子などのプランテーションのための森林伐採や森林火災が主な原因とされている。
森林火災と言うと昨年のオーストラリアの大規模な被害が記憶に新しい。森林火災自体は珍しいものではなくて、湿度や気温、落雷などによって定期的に起こるものだ。しかし延焼を防ぐ古い木が減ったり温暖化が進んでいるので、森林火災の頻度は高まり被害も甚大になってきているのだ。

また、温暖化に伴う木の害虫の繁栄も森林破壊の理由の一つとされる。アメリカとカナダの松を食い荒らしている松食い虫がその例だ。最近アフリカで大量発生しているバッタも温暖化に伴い繁栄をきわめている種である。集団で移動し、行く先々の植物を食い荒らして回っている。ただでさえパンデミックで大変な状況なのに、食料不足に見舞われるなんて泣き面に蜂すぎる。

生態系の価値

生態系が年間でもたらしてくれるサービスに値札をつけるとしたら、125兆ドルに値するという。日本円で言うと1京3500兆円くらいだろうか。見たことない桁が出てきてあまりピンとこない。めっちゃ価値があるってことはわかった。
わたしたちの代わりに自然がもりもり働いてくれていると思えば、これくらいの対価が発生するって言う考えなんだろう。
例えば私たちが汚水の濾過をしようと思ったら、複雑なフィルターや薬剤をこしらえなきゃいけない。何万リットルも必要になるとしたら気の遠くなる話だ。それを自然の森や土壌は無料で!やってのけてくれる。生態系、維持しておくだけの価値がありそうじゃない?

ただ結局、生態系をお金に換算するのも自然が無料で面倒な仕事を引き受けてくれてると考えるのも、きわめて人間中心的な考え方だ。そもそもお金っていうものは人間界でしか通用しないし、よく考えたらただの紙っぺらだ。こんなものを信用して世界を動かしてるなんて、他の生物からしたら「変なやつらだな」って思われる話である。そもそも、自然の生態系とその仕組みは人間のためだけにあるものじゃない。人間は自然の中に生きているだけだ。

お金がわかりやすい指標ならば

とはいえね、生態系はお金に換算したらいいと思う。それで伝わるべき人にその大切さが伝わるなら。
大事なことは、伝えたい人と同じ言語で話さないと伝わらない。一方的に自然の大切さや倫理観を訴えても、ピンと来ない人には来ないのである。問題は、そうした人が生態系を維持するための鍵を握っていると言うことだ。
そういうわけで、ビジネスや経済効果を重視する要人たちには森林や生態系のもつ潜在的な価値を金額換算して伝えることが一番効果的なのかもしれない。

科学がいくらもっともらしい顔をして正論を語ったところで、それを聞こうとする人が全人類の2割くらいしかいなかったら、残念ながら変革は訪れない。だって2割のうち行動するひとは1割いるかいないかぐらいだろうから。
だから、伝えたいことは伝わるようにデザインしてあげる必要がある。そこにはどんな計略や自己矛盾があろうと、アウトプットの質がよければまあ割となんでも良いんじゃないかと思っている。

明日は第十二章を勉強していきます。

サポートありがとうございます。お金を使ったり体を張ったりする取材の費用に使わせてもらいます☺