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Princeと藤井風(Fujii Kaze)①

「私たちは毎日、何かしら新しいものに出会いながら暮らしている。それは人だったり、音楽だったり、本だったり、映画だったり、文房具だったり、料理だったり、お店だったり、道端の花だったり、種類は無数に存在するし、計画した結果として出会うものもあれば、本当に偶発的に出会うものもあって。でも全ての出会いが感動的なわけでもないし、逆に次の日もそのことが気になって仕方がない出会いは、実はとっても少ないんじゃないかなと思う。だから、もし貴方が次の日もその次の日も気になって仕方がないものに出会えたら、それは貴方の人生においてものすごく素敵なことが始まったってことなんだって言える。別に隣の人が同じように感じてなくても構わないんだよ。共感してくれる人がいたらもちろん嬉しいけれど、仮に共感者が見つからなかったとしても、貴方にとって特別なのであればそれで充分なのだ、だってほら、昨日よりワクワクしたり、胸が揺さぶられたり、笑っちゃったり、感動したりしているでしょう。」

先週、YouTubeでMVのおすすめプレイリストを特に気にとめることもなく流しっぱなしにしてた時、下のこのMVが流れてきて、身支度をしていた私の動きが完全に止まって、文字通り目と耳が釘付けになった。一瞬で持って行かれたとはまさにこのこと。

最後まで聞いて、また最初に戻って再生。「うわー なんかわからんけど音楽も雰囲気も声も歌詞もすごく好き」と、アーティスト名を確認。

藤井風 (Fujii Kaze)

初めて目にした名前。とにかく秒でチャンネルへ移動。そこには、底なし沼が大きく口を開けて待っていた。

因みに私はピアノがうまいアーティストにとことん弱い。普段Spotifyでは洋楽を聴くことがほとんど。作詞作曲をして、色恋のことだけでなく自分の伝えたいものを持っているアーティストが特に好き。いろんな解釈ができる幅のある歌詞を書けるアーティストのことはもっともっと知りたくなって探究心が止まらなくなる(難しい歌詞というのとはちょっと違う)。音楽のジャンルの好みは。。。なんだろう。多分どちらかというとブラックミュージック寄りか。(因みに私にとっての音楽家としての絶対的存在はPrinceだ。ギラギラしてた80年代の天才的な楽曲ももちろん大好きだけれど、人生の大きな試練を乗り越えた後の2000年代の楽曲がもしかしたら一番好きかもしれない。『Art Official Age』『Rainbow Children』『One Nite Alone...』『Musicology』は棺に入れてほしいアルバム。)

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私のこれまでの音楽的嗜好の延長線上にあるものと、今までにない全く新しいものとが混ざり合ったところに藤井風くんの音楽があった。新旧の洋楽をカバーしたプレイリストEnglish Coversがもうさ、珠玉の演奏とアレンジと歌声とおちゃめの大渋滞だった。

一体何歳なの?は?23歳?それでなんでThe DooBie Brothersをこんなに歌いこなせてんの?このピアノアレンジどうなってんの?え、「何なんw」てなんなん?え、ハイヤーセルフ?

約1時間後、Spotifyに行ってデビューアルバム『HELP EVER HURT NEVER』を再生。鬼リピートする羽目に。(リモートワークでよかったとこの日ほど思ったことはない。)

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数時間後にはTower Recordsへデビューアルバム初回盤CDを発注。風くん本人による歌詞の英語訳が載った歌詞カードと、English Coversを収録した特別ディスクがどうしても欲しかった。

CDが届くまで、またYouTubeに戻る。「もうええわ」のご本人による解説動画で風くんが楽曲に込めたメッセージを説明していた。

 "A man will be released from the cycle of birth and death only when he gives up body attachment." 「人は身体への執着を手放した時に 初めて 生死のサイクルから解放される」

この一節をとても信じているという。調べたら、インドの聖者サティヤ・サイ・ババによる言葉だった。そして、アルバムタイトルの『Help Ever Hurt Never』も、サイ・ババがいつも言っていた金言、"Love all, serve all. Help ever, hurt never." (全てを愛し、全てに奉仕しなさい。常に助け、決して傷つけない。)からの引用だと知る。(風くんのプライベートレーベル名はHEHN RECORDS。Help Ever Hurt Neverのアブリビエーションだよね?)

だから風くんの歌詞の多くは、こんなに優しく心に入ってくるんだなと思った。きっと彼は、精神の浄化をいつも心がけようとしている。より善いひとであろうとしている。みんなの心に平穏が訪れるようになるには、様々な執着から解き放たれることはとても必要で、でもそれは簡単なことではないから、みんなが少しでもそれに気がついて日々を優しく過ごせるようにと、アルバルにはそんな祈りが込められている気がした。

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「ミュージシャンは、今社会に伝えていかなければいけないことを、みんなが聞きたい形に昇華させて発信していかなければならないんだ。それがミュージシャンの使命だ。」

Princeは晩年、バンドメンバーにこういうことをよく言っていたそうだ。

楽曲のタイプも声の感じも見た目も全然違うけれど、風くんの存在は、そういう深いところでとてもPrince(特に晩年の。「Art Official Age」はその冴えたるもの。)に繋がる感じがして、さらにハートがガッチリ掴まれてしまった。あと、ピアノの腕、ジャンルの引き出しの広さ、10代の頃は1日に何時間もピアノの前に座って演奏しまくってたところ、高校では音楽を専門的に学ぶことを選択していたところ、信仰心が厚いところ、ユーモアのセンス、色気が半端ないところ、指がきれいなところ、ベジタリアンなところ、女子が放っておけない感じなどなども似ている。タイプは全く違うのに、本当に不思議。

もし私が、あの日の朝、YouTubeが『優しさ』を映し出すときトイレに行ってしまっていたら、部屋に服を取りに行ってしまっていたら、この出会いは訪れていなかった。そう考えると、今この瞬間も『HELP EVER HURT NEVER』をヘビロテしている状況に、運命的なものを感じずにいられない。

リモートワークありがとう。YouTubeありがとう。Princeありがとう。

藤井風くんありがとう。


#音楽 #アーティスト #Prince #藤井風 #FujiiKaze  








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