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怒りの涙

ここ数年は怒るということもあまりなく、怒りで泣いてしまうことはないのですが、過去を振り返ると子供のころから強い怒りを感じると首を絞めつけられたような感覚になり、泣いてしまう自分がいたことに気づきました。

この気付きのきっかけはネットで見たある言葉

「強い怒りの感情を感じたときに泣いてしまう人は幼いころに自分の感情を表現できない環境にいた可能性が高い」

あっ、これ私だ。

赤ちゃんが生まれた時に泣くのは肺が正しく機能していると知らせるためのサインだと言われています。泣くことが自然な呼吸に戻すためのプロセスだということです。
また、赤ちゃんは泣くことで回りの大人に必要なものを訴えます。言葉を覚えていくと次第に泣くことで表現する回数が少なくなっていきます。子供のころは強く何かを訴えたいときに泣いたりしますが、集団生活を始まり、社会に出ていくと「泣くことで訴える」ということがいつしか「恥」や「迷惑」になってしまいます。幼稚園、小学校低学年だとこの恥ずかしい迷惑という感情は泣いている本人ではなく、周りの大人が感じてしまうのです。

子供のころに泣いている時に言われたことないですか?「恥ずかしいから止めなさい」「周りに迷惑だから止めなさい」って。本能で生きている子供は体が反応するままに泣いているだけです。なのに、恥ずかしいからとか迷惑だからとかって言われると自分は自然と溢れでてくる感情を表に出してはいけない思い、感情に蓋をする癖がついてしまいます。

私は幼いころから感受性が豊かな子供でした。私が泣くと親だけではなく、親戚や友達に「厄介者」の目で見らていた記憶は何十年経った今でもあります。得に母親は世間体を気にする人だったため家以外の場所で泣くと「恥ずかしいから止めなさい」「周りに迷惑でしょ!」と必死に泣くことを止めようとしました。家では私の鳴き声を抑えつけるように母自身も大声を出すことが多々ありました。あと、近所迷惑で
しょ!とも言われました。(子供ながら母親の怒鳴り声のほうが近所迷惑だと思ってま
したけどね、それを何回か母に言って余計に叱れた記憶があります。)

親戚には「この子は泣いたら思い通りになると思っている」と言われた記憶があります。友達には泣くことはぶりっ子だ!と言われました。

いずれにしても泣くことは悪という周りから言われてきたのです。

悲しくて、辛い時にはあまり泣かないのになぜか怒りを感じてしまうと泣いてしまう私。

人間は感情を強く動かされた時に泣きます。泣くと、オキシトシンや内因性オピオイドなど、痛みを和らげるためのホルモンが体内で分泌されます。感情的な涙にはストレスホルモンが多く含まれていて、泣くことでストレスレベルが下がると言われています。

泣くことを抑えるようになった私は次第に怒りを抑えるようになりました。でも無理に怒りに蓋をしたせいで逆にずっと怒りとともに生きていたんですよね。表に出すことはあまりなかったですが、出す時は爆発レベルなのでこれで沢山の人を傷つけてきたと思います。

怒りは人間にとってとても複雑で不快な感情です。ただでさえ複雑で不快な感情なのにそれを表現できないから私にとって怒りは余計に複雑で不快な感情になっていくのです。

冒頭にも書きましたが、私は怒りを感じると泣くタイプです。そしてこの怒りの涙は私が内面のバランスが崩しているサインなんです。それは私が自分の感情とどう向き合っていいのかが分からないサインでもあり、また感じている感情を周りどう伝えて伝えていいのかが分からないサインでもあります。いろんな感情がこみ上げてくるのに感情を抑える癖がついていて、泣くことが恥ずかしいというメンタルだから自分では処理出来ない量の感情に押しつぶされるんですよね。

そのせいで些細なことでも引きずってしまったり、何もないのに感情的になったり。心が感じていることに対して身体のリアクションが合わなくなっていくんです。

赤ちゃんが何か訴える時に泣くように、大人が怒りで泣くときは自分自身、もしくは周りに自分が今感じている苦しさや不快感を訴えているだけなんです。

言葉に出来ない苦しさ、不快感を涙で訴えるです。だから強い怒りを感じて泣くことは普通のことなのです。もちろん、それが頻繁に起こる場合は感情のコントロールを見失っているサインかもしれませんので要注意です。また、怒りを感じて泣く時はどうしてその怒りを感じたのかも重要です。誰かに傷つけらたというケースであれば、怒りからの涙はごく普通のこですが、例えば、電車が遅れた怒りで泣くとか、自分の思い通りに物事が進まずに怒りで泣いている場合は内省するべきポイントが別にあるかもしれません。

怒りで泣くことで自分自身の崩れた感情のバランスを整えることができます。崩れたバランスを整えたあとに自分がどうして怒りを感じたのかを冷静に紐解いていくとそこで泣いた本当の理由に気づくことが出来ます。

この観点からも怒りで泣くことは健全なのです。

でも大人になるとどうしても涙を抑えないといけなかったり、感情も抑えないといけないことも多々あると思います。

泣いて安全な場所、泣いても後々恥ずかしい感情や惨めだという感情をいだかない場所にいない場合、怒りで泣くことをコントロールすることも大切かもしれません。
せっかく泣いてすっきりしたいのに、泣くことによりネガティブな感情を抱くなら泣くこと以外で感情と向き合ることが必要になりますよね。自分の感情を表出すのが安全じゃない場合、または日頃から怒りで泣くことが多くてそれをうまくコントロールしたい場合にお勧めなのが、こちら

① 書く。
今抱いている感情を書くことで感情の奥を新に発見することが出来ます。また書くことで自分がどのような場面で感情的になりやすいのかも見えてくると思います。

② 体を動かす。
感情が大きく動いているのを感じたら体を動かすことも効果的です。立ち上がる、座る、腕を回す、指を回すという小さな動きから歩く、走る、などの大きな動きまで。私たちの心と身体は繋がっています。なので感情を抑えると筋肉は緊張するのです。怒りを感じた時には筋肉が緊張し、体が硬直します。そのため、軽く体
を動かすことで筋肉の緊張を解していくことが感情を解すことに繋がるという説があります。

③ 深呼吸をする。
先ほど書いたように、私たちの心と身体は繋がっています。深呼吸をすることで怒りの影響で上がった心拍数を落ち着かせ、筋肉の緊張を和らげ、マインドを怒りから自分自身に戻すことが出来ます。

④ 水分補給。水分補給で神経のバランスを整えることができます。ストレスを感じて口や喉が渇くという経験はありませんか?これは緊張やストレスで私たちの交感神経の動きが乱れて、唾液の質に影響が出て、口の中のべたつきや喉の渇きを感じるようになるからなんです。そのため、正しい水分補給でストレスを和らげることができると言われています。

繰り返しますが、怒りで泣くことは健全なことです。でもやはり怒りで泣くことは心が身体を通してあなたに大切なことを伝えたいというサインでもあります。

泣くことを恥ずかしがらずに、そこにあるサインに気づいて自分自身と向き合うチャンスに変えることが大切だと思います。

私は自分と向き合うことを本格的に始めた3年半前から怒りを抑えることを辞めました。怒りを隠すことを辞めて、怒っている自分を認めることにしたのです。感情を抱くことは人間にとっては当たり前のこと。その当たり前の感情に向きあうことで過去から蓄積してきた怒りも癒していったのかもしれません。そして過去の怒りが癒されていくと今、怒りを感じることが少なくなっていたのです。

それと、もしあなたが親という立場ならできる限りあなたが抱いている感情をお子さんとシェアしてみてください。これはもちろん、冷静な立場で。子供は親の感情を読み取る力に優れています。親が実際に感じている感情と別の行動を示すとそれを見て育った子供は親が示している感情と動きが合わないことに違和感を抱きながら次第に正しい感情表現が出来なくなるとも言われています。

例えば、怒っているのにお子さんに「怒っていない」と嘘つきながら無理して笑顔を作る。実はこれ、子どもには親が無理して笑顔作っているとバレバレなんです。怒っているのに無理して笑顔を作る…これって親が感じている感情と表に出す感情が矛盾していますよね?子どもはこの矛盾を察知できるのです。それ見て育ったお子さんは「怒り」と向き合うことではなく、「怒り」を抑える、感情を抑えることを自然を学んでいくのです。

私も親です。そして子どもたちが小さい時には何度もこの間違ったメッセージを送っていたと思います。それは私自身が感情を抑えること癖になってしまったから。表情や身体からは抑えてきれていない怒りが出ていたと思います。そして私自身の怒りのポイントも矛盾していたと思います。辛い時も悲しい時も子どもの前では無理して「大丈夫」ということが親として当たり前だと思ってきました。でもね、親の私も一人の人間。大丈夫じゃないのに、大丈夫と言っている私に子どもたちは違和感を感じてきたと思います。そのため、子どもたちも感情を抑えるようになってしまいました。嫌なループですよね。自分も苦しかったはずなのに、子どもにも同じような我慢をさせてしまうなんて。

今でも子どもの前では泣きません。でもちゃんと「こういうことがあったらから悲しい」とか「こういうことがあったから怒っている」とか内容は具体的には話しませんが、感情は伝えるようにしています。
また、子どもたちが私の前で泣いた時は必ずハグをします。ママがいるから安心して泣きなさいと伝えています。感情を出し切りなさいと。こうやって子どもたちに寄り添うことで私自身が子どものころに感情を表に出せなかった過去を癒しているのかもしれません。

あなたは怒りをどう表現していますか?また怒りはあなたに何を伝えようとしていますか?

怒りに蓋をするのではなく、自分の怒りを他者にぶつけるのではなく、自分自身と向き合うツールとしと使って見ることを恐れないでください。

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