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団長が秩序の騎空団に連行された話-0309追記

このSSはグランブルーファンタジーの二次創作です。

「アーヘル……ウェルカムトゥーマイフィーストタイム……」「トゥナイト……」忙しなくエールを運ぶ給仕。約一年前に公開された準新作ロックが定番と化した、ポート・ブリーズの酒場「月蝕光」の奥まった席では、メタルの似合いそうな商人が騎空士を待っていた。

 挨拶、取材料の支払い、ドリンクの注文を済ませて席に座る。商人はこう切り出した。「おおきに。昨年もなんか似たような案件でインタビューを受けた気がしますけども、始めさせてもらいますわ」「よろしくおねがいします。まず、今回の……(騒音のために不明瞭)団団長連行事案について時系列で説明をお願いします」

 「せやね。まず……彼は〈空のコンパス〉を採用してはった。これは異世界の食品の写真をデータとして与えるとボスから宝の地図が貰えたり、直近の星晶獣出現予測を立ててくれる便利なツールなんよ」「弊騎空団もお世話になってますね」「んで、その〈空のコンパス〉に与えたデータが後々他の人の手に渡ったり、ユニークでないデータを食わせた場合に、コンパスの誘導先がズレるって仕様があるらしいんですわ」

 「ズレる、ですか。具体的には」「いやまあ、〈空のコンパス〉についてはこれ以上知らんのです、すみません。ただ、実際に起ったこととして、団長はファータ・グランデ空域の中の規制区に突っ込んでまいましたと」「ああ、それで秩序の騎空団に……」「そういうことですわ」

 「エスターニアッレーボヌヒーリヤー……」「エーサマーヌラクシティアー……」エスニックを背景に、しばしの沈黙が流れる。商人はエールを全て飲み干しているが、騎空士の方は半分も進んでいない。

 「とまあ、団長についての話はこれでおしまいですわ。進行中の案件やさかい、あまり踏み込んだ話ができんですみません」「いえいえ、大体分かりました。今回はお付き合いいただきありがとうございます」「どうも」「どうも」

 「そういえば、あの団の副団長のlirukはその時どう動いてたんです?」「寝てましたわ」「は?」「実際に航空ログを当たってみたんやけど、本当に島で寝てましたわ……」「やるせねえ……」

追加セクション

 「号外ー! 号外だよー!」エルーンの少年が配布しているのは、堅実な報道で知られるローカル紙だ。道行く島民や騎空士は例を言って受け取り、少し意外そうに、それでいて穏やかな表情で懐にしまう。

 酒場から出た肥満体の商人も号外に気づいた。「一部どうぞ!」「おおきに。チップや。〈魂の象徴商会〉をよろしく」「ありがとう!」手を振りながら見出しに目を通すと、こう書いてあった。

「件の団長釈放される-調停合意に至り処分なし-」

 「はー! いや全く、情報というものは扱いづらい飯の種ですわ」そうぼやきながら、彼は即席で手紙をしたためた。先程インタビューを受けた相手への彼なりのサポートだった。

 ともかく、この件は幕を下ろす。今後どうなるかは、ティアマト神も知らぬ、風の赴くままである。

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