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Satén japanese tea(西荻窪) #1

ここ数ヶ月、健康のために散歩に勤しんでいる。
だが問題がすぐに発生。
元来運動嫌いの飽き性で、歩くことそのものを目的に
外出するのがどうにもつまらなく、性にも合わず
ある時から行く先々の未見の喫茶店やカフェを調べては
そこを目標地兼折り返し地点に設定することを
散歩継続のモチベにする様になった。

題して「お散歩珈琲」

2㎞近く歩き切った自分へのご褒美として
美味しいコーヒーを一杯飲ませてあげるのだ。
特に好物なのは、趣と歴史のあるレトロな喫茶店で
マスターが一人で切り盛りして
ハンドドリップで丁寧に一杯ずつ珈琲を
淹れてくれる様なお店だ。

だけど今日のお散歩珈琲は珈琲じゃなく「日本茶」。
以前、やはり散歩時に店の前を通りかかった時から
気になっていた、珍しい日本茶専門のカフェ。

Satén japanese teaは、西荻窪駅・徒歩数分
向かいの高架ではせわしなく電車の往来が
あるにも関わらず、落ち着いた佇まいで
DIYのぬくもりを感じさせる様な
木製の軒下が出迎えてくれる。

私が訪ねたのは平日の午後3時頃だったが
自然光差し込む店内に入ると照明はぼんやりと薄暗く
緑茶の香ばしい香りが一面漂い、既に脳から
α波が出始める。
店内に入るとまず目に入るのが、大きなゴツゴツとした
手触りのL字型の木製カウンター。
その奥では二人の若い男性が沢山の茶道具に囲まれて
お茶淹れ作業に勤しんでいる。
L字角近くに設置されたレジ前で
まずは先に注文し、支払いを済ませるのだ。

「初めてなんですが、オススメはどれですか?」

陰キャの私が声を振り絞って訪ねると
おすすめは「抹茶ラテ」や「抹茶プリン」だと言う。
聞いておきながら
「昼飯を食べたばかりでそんな甘味を
 胃にねじ込むのは無理かもしれん」と感じて
茎茶のストレートアイスティーと
ミニモナカを注文した。

オススメとは正反対のメニュー選びに
申し訳なさを感じつつ、空いていたカウンター席に
促される。
濃緑色のベルベット地座面のハイチェアに
よっこらしょとよじ登ってお茶を待つ。

店内奥はテーブル席らしく、若い女性達で
賑わっている。
カウンター越しに店員さんとの会話を楽しむ
常連客の姿も多い。
きっと地元の人達に愛されているお店なのだろう。
私好みのレトロで落ち着いたアンティークの棚には
茶道具や茶器の雑貨も販売している。

陰キャの私は周囲の賑やかさに完全に気後れ。
気配を消してスマホばかりを見ていたせいで
自分のお茶をどの様に淹れてくれるのかを
完全に見逃してしまったが
まずは薄手のグラスになみなと注がれた
茎茶が差し出される。
ストロー越しに口に含むと
アイスとはいえ冷たすぎず、まろやかな口当たり。
苦味も甘みの調和して舌触りがいいこの感覚は
自分で丁寧に緑茶を水出しした時と
風味が似ていると感じる。

続いて厚手のミニグラスの中に小さな最中が二つ。
そのコロンとした可愛らしさは
目を楽しませてくれる。
最中を食べるのは久しぶりだが改めて
「これは餡子を楽しむお菓子だ」と痛感する。
薄手の香ばしいパリパリとした皮を噛むと
甘すぎないあんこの風味と粒が口いっぱいに広がる。
茎茶との相性は我ながらよい選択だった。

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席近くのレジではやはり飛ぶように
「抹茶プリン」が注文されていて気になり過ぎる。
来客は尽きることなく、座れずに帰る人達も多くいて
自分がたまたま運良く座れたことを知る。

30分の散歩後の体の火照りに負けて
アイスティーを頼んでしまったが
このお店の真価は実はしっかりと淹れられた
温かいお茶ではないかと後で思い至る。
きっと味わいはまた違うものになるはずだ。
再訪を誓って店を出た。

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