たまには

長い文章を書いてみようと思った。
140字目いっぱい使い切って投稿することの快感は煩わしさに代わり、
お金を払えば140字以上投稿できるようになった。
お金を払わなくても、沢山文字を書いてインター・ネッツの海に放り投げられる術を知っているのに、どうして140字に拘っていたのだろうか。

Twitterを休んでいる間、雷獣というYouTuberにハマった。そのメンバーであるベテランちは短歌をやっていて、BRUTUSに寄稿するというので買ってみた。もちろん、並んでいる短歌は味わい深いものであったが、インタビュー記事に心惹かれる内容があった。

大岡信賞を受賞した現代詩作家 荒川洋治さんより
「『易々と伝わる』あるいは『伝わりすぎる』ことは、ことばにできない領域や、本来見るべきものを切り捨てているあかしでもある」
※引用は朝日新聞の記事より

「エモい」が市民権を得て久しい。もう誰も、エモいを馬鹿にしていない。どこか寂しい感じというか、エモいにまとめきれない、行き場を失った感情に想いを馳せることがある。この感性を抱えていることが、もう受け入れられなくなっていくのだろうな、と思っていた矢先に、この荒川さんの言葉に出会った。ここ数年抱えていた胸のつっかえが取れた気分だった。自分の思考を支えることばを、大切にしていきたい。

銀杏BOYZの、「ナイトライダー」という曲がある。
https://www.youtube.com/watch?v=p7VEepMyd7g

2007年リリースの光に収録された、結構マイナーな曲だが、何故か中学生の頃に繰り返し聴いていた。お年玉で買ったCDコンポに、TSUTAYAでレンタルしてきたCDを突っ込んで。5段式で、BUMP OF CHICHENや、GreeeeN、YUIが並んでいた。異色の銀杏BOYZだった。
この曲を聴くと、蒸し暑い自分の部屋や、無駄に音質のいいCDコンポの音、窓縁に腰を掛けて「絶対あかんけどこれで煙草吸ったらうまいんやろうな」と思ったこと、いろんな情景が思い出されて、ふとあの頃に戻ったような気持ちになる。

ここで「エモい」と言えたら楽になるのだけど、どうにか、こうにか、「エモい」を使わずに、生活を送っていきたい。



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