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【Investor's Sight #3】「いよいよ日本で出てきたんだな、という期待」 ー 武井浩三さんとの対話

株式会社Liquitousは2022年5月に、さらなる事業促進にむけた資金調達を行いました。それぞれの分野でご活躍の皆さまに出資いただき、新たなシナジーの創発も展開していきます。

出資という形で、弊社の取り組みを応援いただいている皆様にインタビュー「Investor's Sight」を行い、弊社に期待することなどを伺いました。

今回お話を伺ったのは、社会活動家、社会システムデザイナーとしてご活躍の、武井浩三さんです。

――Liquitousを知った時の印象は

まず自己紹介ですが、私は自分のことを“社会システムデザイナー”と呼んでいて、Liquitousとの接点のある活動をしています。新しい社会システムを構築するための接点を作っていく取り組みをしていて、自律分散組織のデザインを15年やっています。この組織を構造的に作る方法を考えていて、これを様々な共同体に実装するという動きがメインになっています。

Liquitousの話を聞いた時は、いよいよこういった取り組みをする団体が出てきたんだなと思いまして、公共のあり方について考える事例が海外で進んでいた中で、日本での事例が始まっていくということに期待を持ちました。

Liquitousのプラットフォームを用いて、住民のブレインストーミングであるとか、議論・対話を深めていくプロセスを電子化しようという姿勢、プロセスデザインの考え方は、ものごとを進めていくうえで補助として大きな役割を持っていくと思います。ただこういった取り組みは、アクセルを踏んでも自分達だけで進められないこともあるので、そういった部分を多面的にサポートしていきたいと感じています。

――日本はデジタル技術の普及が進んでいる一方で、それらを活用した対話への取り組みが進んでいない印象があります。

行政のあり方にとどまらず、様々なガバナンスの構築についても、開かれた状態で考えていかなければならないと思います。

日本でガバナンス構築が進んでいない原因として、中途半端に大きな国であるという点が影響しているのではないかなと思います。人口規模でみればそれなりに大きな国だといえますが、大企業と同じで仕組みをリプレースするのにはやはり大きなコストがかってしまいますよね。また政治の面でも、どうしても支持者をうまく取り込みたいといった思惑があることで、オープンな対話が進んでいないのではないかという穿った見方がありますね。

Liqlidのようなサービスは今後もっと使われていくと思っていて、自治体の中で公園の用途をどうするかといった細かなテーマに関してみんなで決めていく、カジュアルに決めていく文化が根付くべきだと考えています。日常の中で様々なことを決めていくタイミングに参加できると、皆で考えながら対話をすることができるようになると、皆でつくるプロセスを醸成していけますよね。今のままでは、住民の中でどうしても消費者意識だけが育ってしまって、ただサービスを受けるだけになってしまうのだと思います。

そもそも自治とは自ら治めるという意味ですから、しっかりとその地域の意思決定に住民が参加するという動きが重要ですよね。
自分達でつくるという動きが、その街だとか共同体への愛着を生む1番の取り組みだと思っていて、例えば駅前の再開発といったテーマでも、ただお金をかけて誰かがきれいにするというだけでなく、これからの時代はいかに皆が作るか、そのプロセスに関わるかということを意識していかなければなりません。特に都市部では、そういった意識なくしてシビックプライドといったものは育まれないでしょう。

その街に住む、その街で働くという行為は人間関係の構築を達成して、より大きな意味をもつと思うので、そこをこれからの時代に色んな手段を用いて実装していかなければならないと考えています。

私自身も、街のコミュニティをDAO化させる取り組みをしていますが、それを実現するにはこうした文脈形成のプラットフォームは絶対に必要です。行政とオフィシャルに組んで取り組みをすすめる動きもあっていいと思います。

――Liquitousの描く未来の社会のあり方について思うこと

既存の社会と、ブロックチェーン・Web3.0の取り組みがもうすぐつながると感じていて、その両者が分け隔てられたものではなく、連関をもったものとして広がっていくべきです。時には既存の現実社会の方が、デジタル技術に近づいていくことも重要でしょう。こうした意味では、Liquitousの立ち位置も非常に説得力のあるものだと思います。

今後、10年ほどかかってしまうかもしれませんが、文脈形成のデジタル化の準備は進めておく必要があるでしょうね。

プロダクトデザインという話をすると、最近のトレンドはサービス同士のUIがある程度似てきているなと思っていて、デファクト系のUIが似てきているなと感じることが多々あります。もちろんこれは、使い勝手という意味ではいいことなんだろうなと思うので、そういったデザイン面の考察は重要ですよね。
その中で全世代の方が使えるプラットフォームが出来上がっていくということが、非常に楽しみです。

武井さん、ありがとうございます!