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★移民・難民に関するニュース『新バイデン政権と移民の大移動』

最近さらに寒さが厳しくなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。
今回から始まるこのシリーズでは、みなさんに難民問題に興味を持ってもらうべく、世界、日本の難民ニュースをお届けいたします。
第一弾は、政権交代で話題のアメリカに注目しました!

2021年1月18日 BBC JAPAN
グアテマラ当局、アメリカ目指す移民数千人

2021年1月20日、アメリカ合衆国はトランプ政権からバイデン政権に政権交代しました。新政権が発足すれば、移民が入国しやすくなると期待した南米ホンジュラス等から、グアテマラに人々が大量入国(約7000人!)しており、グアテマラ政府当局と衝突しています。

トランプ前大統領は、就任中、移民に対し様々な強硬政策をとりました。

トランプ政権の移民政策
2018年 不寛容政策(すべての違法な入国者を起訴する)
2019年7月 不法移民に対する大規模な強制送還実施 積極運用
(アメリカより強制退去させられ、メキシコに待機させられる場合が多い)
2019年8月 合法移民の永住権を制限
(生活保護などの公的扶助を受けている移民に対して、永住権申請を却下できるようになる)
など

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(米国UNHCR ホームページより)

第三国定住(※)の受け入れもトランプ大統領就任後、2018年から大幅に減少しています。

(※第三国定住とは難民が最初に保護を求めた国から、彼らを受け入れることに同意した第三国へと移ること)

これに対し、バイデン大統領は、トランプ氏が行った移民政策の変更をほぼ全て元に戻すとしています。
中南米からの難民申請について「人道的で秩序ある対応を行う」と述べており、トランプ政権の移民規制をバイデン氏が就任初日に撤廃に着手していると各報道機関が報道しています。

_移民の多くは、母国に蔓延(まんえん)する暴力や貧困から逃れるためアメリカを目指すと話す。昨年11月に中米を襲った2回の巨大ハリケーンで、現地の状況はさらに悪化している。___BBC JAPANより

移民達は簡単に、アメリカに入国できるものなのでしょうか。

難民として入国するためには入国する前に「難民申請」をします。すでにアメリカの境界もしくは、国内までたどり着いている場合、「亡命者保護」認定の申請をします。
申請が許可されれば、就労が許可され永住権が取得できますが、どちらの申請もトランプ政権の政策により、第三国のメキシコなどで審査待機をしなければ、自国に強制送還されるようになりました。

※1951年の「難民の地位に関する条約」において、難民とは、「人種、宗教、国籍、政治的意見やまたは特定の社会集団に属するなどの理由で、自国にいると迫害を受けるかあるいは迫害を受けるおそれがあるために他国に逃れた」と定義されています。この記事では亡命者も難民として扱います。

・アメリカの難民申請の手順

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※米国UNHCR ホームページを参考に作成

通常、難民申請してから許可が降りるまで、一年から三年かかると言われていますが、コロナ禍で難民申請の審査が滞っており、更に時間がかかっています。
難民申請の審査を待つ人々や亡命保護申請をしていて、アメリカからメキシコに強制的に退去、待機させられている人々が、メキシコとアメリカの国境マタモロスという街に、子ども数百人を含む、2000人以上でキャンプ生活を強いられています。
マタモロスはギャングの抗争や移民の誘拐等が多発している、アメリカ国務省がシリアやアフガニスタンと並ぶ危険地帯としている場所です。

移民たちの中には、一年半以上もキャンプで立ち往生している人もおり、多くの人が、申請認定が降りるのを不安の中、ひたすら待っているそうです。
貧困や暴力から逃れ、幸せを求めてアメリカを目指したとしても、目的地の手前で、いつ終わるか分からない不安と恐怖に怯えています。

バイデン氏も、政権がかわったからといって急にアメリカに入国できるようになるわけではないと述べています。移民の集団が新たにメキシコにたどり着いたとしても、現段階ではアメリカに入国出来る保証はありません。

まずは、申請待ちの状態からメキシコに送還された人々、難民申請待ちの人々たちから安全に生活できるように整えていく必要があります。

バイデン大統領は、トランプ前大統領の残した移民政策とどう向き合い、移民の保護をどうしていくのか、大きな課題となるでしょう。

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最後まで読んで頂きありがとうございます。また別の記事でアメリカの移民政策を追っていきたいと思います。


次回は、また別の観点から難民関連のニュースを発信していきますので、第二弾をお楽しみに!★

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執筆:里見 春佳(Living in Peace)

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