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認定NPO法人Living in Peaceマガジン

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認定NPO法人Living in Peaceの、全noteを詰め込んだマガジンです!
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#育児

里親を通じた「地域で子育て」を実現したい! 全員本業持ちNPOと児童養護施設が協業して里親支援を行う理由

日本には現在、親からの虐待や経済的困窮など、さまざまな事情により実の親と離れて暮らす子どもが約45,000人存在します。そうした子どもたちを家庭で預かり、育てるための制度が「里親制度」です。 海外と比較して普及率が低いことを受け、現在日本政府が啓発に力を注いでいる里親制度。そうしたなか、2020年8月、東京都世田谷区の里親普及啓発サイト「SETA-OYA」が公開されました。 Living in Peaceは、サイトを運営している世田谷区の児童養護施設・東京育成園にアドバイ

大阪・西成区で8年――こども食堂だけでは解決できないこと

大阪市西成区。全国的に高い一人親の割合からもうかがえるように、生活に困難を抱える子育て世帯の多い地域です。  出典:西成チャイルド・ケア・センター HP そんな西成区でこども食堂「にしなり☆こども食堂」を開催されている川辺康子さん。「にしなり☆こども食堂」は2012年にスタートしてから8年間、そこに集まる子どもやその親御さんを支える居場所であり続けています。 「西成チャイルド・ケア・センター」の代表として、各地域のこども食堂をつなぐ、「こども食堂ネットワーク関西」も運営

虐待防止にも必要な視点? マンガ『コウノドリ』で「産後うつ」について考える

ドラマ化で人気を博した産科医療マンガ『コウノドリ』(鈴ノ木コウ 講談社)。毎ページ「妊産婦あるある」にひたすら共感してしまうのですが、子どもの支援を考える視点でも学びがたくさんあります。 全編は語り尽くせないので、今回の記事では、8巻「TRACK24 マタニティーブルー」について取りあげます。 ▼この子のコトがカワイイって思えないこの回は、シングルマザーによる虐待死ニュースで幕を開けます。複数の妊産婦さんのストーリーが平行して進んでいくのですが、中心になるのは産後1カ月の

「つながりの回復」を目指して。母子生活支援施設の退所世帯にギフトをお贈りしました!

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、社会の様々な場所で多様な困りごとが発生しています。とくに生活困窮世帯への影響が大きいことは、テレビなどで報じられている通りです。親の負担増が虐待等、子どもへの不適切な関わりにつながりやすいことも知られています。 そこでLiving in Peaceは、そうした生活困窮世帯の経済的困難・精神的孤立を改善すべく、「母子生活支援施設を退所した世帯」を対象に、食料品や家事代行サービスなどのギフトをお贈りしました。 ◆母子生活支援施設とは?母

子どもたちに「遊具」を!コロナ緊急支援を通して考える児童養護施設への効果的支援のありかた(後編)

新型コロナウイルス感染症の感染拡大が広まるなか、社会におけるさまざまな場所で多様な困りごとが発生しています。 そしてそれは、わたしたち認定NPO法人Living in Peace(以下、LIP)が支援をおこなっている児童養護施設(親と暮らすことのできない子どもたちが生活する、児童福祉施設)も例外ではありません。 そうした困りごとにともない、Living in Peaceは5月、国内2個所の児童養護施設を対象とした「遊具」の寄贈支援を実施しました! 後編(前編の記事はコ

子どもたちに「遊具」を!コロナ緊急支援を通して考える児童養護施設への効果的支援のありかた(前編)

新型コロナウイルス感染症の感染拡大が広まるなか、社会におけるさまざまな場所で多様な困りごとが発生しています。 そしてそれは、わたしたち認定NPO法人Living in Peace(以下、LIP)が支援をおこなっている児童養護施設(親と暮らすことのできない子どもたちが生活する、児童福祉施設)も例外ではありません。 そうした困りごとにともない、Living in Peaceは5月、国内2個所の児童養護施設を対象とした「遊具」の寄贈支援を実施しました! コロナの流行にともな

独身男性も里親になれる? 話題のマンガ『人の息子』を読んで

独身男性が、里親として男の子を育てる、というお話。 と、知って読み始めましたが、『人の息子』ってなんだかキツいタイトルだな、というのが読む前の感想でした。 でも、内容はとても優しくて温かみがある、というのが読んだ後の感想です。 主人公の「旭」は、元保育士の漫画家で30歳独身。 保育士だった頃、旭は「高嶺(たかね)」君という少年の面倒を見ていました。ある日、高嶺君のお母さんは高嶺君を保育園に預けたまま行方不明になってしまいます。高嶺君は置き去りにされたのです。  後日

「そんなことをしてどうするの?」子どもにとって「遊び」とは何か

昨年は「子どもの権利条約」が国連で採択されて30年の節目でした。 その第31条では「子どもの遊ぶ権利の保障」が次のように定められています。 第31条 1.締約国は、休息及び余暇についての児童の権利並びに児童がその年齢に適した遊び及びレクリエーションの活動を行い並びに文化的な生活及び芸術に自由に参加する権利を認める。 2.締約国は、児童が文化的及び芸術的な生活に十分に参加する権利を尊重しかつ促進するものとし、文化的及び芸術的な活動並びにレクリエーション及び余暇の活動のための

【参加者募集】地域の子どもたちを支える大人になるための、人材育成プログラムを開催します!

認定NPO法人Living in Peaceはこの度、子ども達が孤立しない仕組みを作る活動を行っている認定NPO法人PIECESさんと共同し、奈良県を中心とした人材育成プログラムを開催することにいたしました。 つきましては、プログラム参加者の方を広く募集させていただきたいと思います! 参加費は無料ですので、以下の要項をお読みいただき、ぜひお気軽に申し込みください! 開催背景認定NPO法人Living in Peace はこれまで、奈良県大和高田市で実施している子ども食堂事

児童虐待 親にもケアを―家庭を安全・安心な場にするために必要なこと

緊急事態宣言のもと「ステイホーム」が推奨される中で、児童虐待の増加を懸念する声があげられています。 なぜステイホームで児童虐待の増加が懸念されているのか? 予防するためにはどのような策がとりうるのか? 米国と日本を中心に、長年のあいだ児童虐待防止や「虐待にいたってしまった親のケア」に取り組まれてきた一般社団法人MYTREE代表、森田ゆりさんにお話をうかがいました。 ◆ステイホームで児童虐待は増えるのか―森田さんはMYTREEの活動を通じて、長年のあいだ「虐待にいたって

「トラウマ インフォームド ケア」とは? コロナの時代に必要となる「心のケア」を考える

終わりの見えない自粛要請が続くなか、社会全体がトラウマティックな反応に覆われはじめています。感染者へのバッシングや、外出自粛をきっかけとした児童虐待の増加などを耳にし、心を痛めている方も少なくないでしょう。 こうした状況の生むストレスやトラウマ反応と、わたしたちはいかに向き合っていくべきなのか? 今の社会において必要となる「トラウマケア」とは? 昨年出版された書籍『トラウマインフォームドケア “問題行動”を捉えなおす援助の視点』(日本評論社)が大きく話題となっている臨床心

【活動報告】レトルト食品の無料配達を行っています!

こんにちは! 認定NPO法人Living in Peace です! Living in Peaceが運営している奈良県大和高田市の子ども食堂「りっぷキッチン永和町」では、新型コロナウイルス感染拡大に伴う休校でお困りの方に少しでもお力になれればと、テイクアウトランチやレトルト食品の配布を行っておりました。 しかし、大和高田市内で新型コロナウイルス感染者が出たことや、配布することにも感染リスクがあることから、残念ながら配布を一旦終了させていただいておりました。 その後、感染

「家族かどうか」は、どうでもよいと思った-90年代半ば、東中野で行われていた共同保育の物語

「怖かったのかもしれないですね、子どもに対する自分の影響力が大きくなりすぎることが」 まだ今ほど「家族の多様性」が語られていなかった90年代半ば、1人のシングルマザーが東中野で行なっていた共同保育の試み、「沈没家族」をご存知でしょうか? 当時23歳だった加納穂子(ほこ)さんが、「共同保育人募集」のチラシを配るところから始まった、母子3組と多数の若者が共同生活を送りながら子育てを行う試み、「沈没家族」。 2017年には「沈没家族」で育てられた当事者である加納土さん(穂