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カウントダウン「LEGEND GAME 2024」#63 呉念庭編

呉 念庭(ウー・ネンティン)

内野手・外野手 右投げ・左打ち 1993年6月7日生まれ
ライオンズ在籍:2016~23年
通算成績:試合 打数 安打 打率.
背番号:39(16~23年)
当日在籍:TEAM SEIBU

父親の呉復連(ウー・フーリエン)さんは、84年ロサンゼルス五輪で銅メダルを獲得した内野手で、引退後も台湾プロ野球チームの監督、代表チームのコーチを歴任した、台湾球界を代表する国民的英雄だ。

日本の社会人野球のスリーボンド、トヨタ自動車でもプレーしており、88年には熊谷組の補強選手として、都市対抗野球に出場している。元ライオンズの郭泰源とは学生時代からのつき合いで、渡辺久信GMが台湾プロ野球に在籍していたときには、同じチームでプレーしていた。

こうした日本と縁の深い父親の影響もあって、呉念庭自身も子どもの頃から、将来は日本で野球をすることを夢見ていた。中学時代の夏休みには日本に遠征に来て、斎藤佑樹と田中将大が投げ合った、早稲田実業高と駒大苫小牧高の決勝戦を、甲子園で観戦していたそうだ。

15歳で来日すると、福岡ソフトバンクホークス入りした李杜軒(リー・トゥーシエン)をはじめ、台湾から多くの野球留学生を受け入れてきた岡山県共生高へ入学。3年夏の県大会では1番ショートで通算11打数7安打したのだが、作陽高の壁に阻まれ、甲子園出場はならなかった。

鹿児島の第一工業大では、1年から内野のポジションを獲得する。4年間全国大会の出場はなく、知名度は高くなかったが、50m5・8秒の俊足と広角に打ち分けるバッティングが評価され、15年ドラフト会議からライオンズから7位で指名される。この年ライオンズが指名した10選手のうち8人が投手で、野手は呉と愛斗(4位/現・千葉ロッテマリーンズ)のふたりだけだった。また8位では、第一工業大の同級生、國場翼も指名された。

中島裕之(現・宏之)がアメリカに移籍して以来、ショートが固定できずにいた時期で、16年も外崎修汰に始まり、鬼崎裕司、金子侑司、永江恭平と、代わる代わる起用されたが、レギュラーをつかむ選手が現れない。そんななか、2軍で3割以上の打率をキープしていた呉にチャンスがやってくる。

8月上旬からスタメンに固定されると、8月31日の福岡ソフトバンクホークス戦の第2打席では、中田賢一相手に10球連続でファウルを打つなど、最後はレフトフライに倒れたが、粘りに粘って18球を投げさせた。1打席で18球は、01年3月28日の松井稼頭央と並ぶ、球団最多タイ記録だった。

こうした選球眼の良さを活かしてコンスタントに出塁、シーズン最終戦まで先発起用されて、3年間不在だったショートのレギュラーが、ついに現れた…かに思われた。

ところが翌年に、源田壮亮が入団。1年目から全試合フルイニング出場と、一気にショートのレギュラーを獲得する。呉の出番は年々減少。出場機会を求めて、ファーストや外野にも挑戦したが、入団4年目の19年は、初めて1軍出場ゼロに終わる。

そのままフェードアウトしていてもおかしくなかったが、21年シーズン開幕直後の3月31日、左足を負傷した山川穂高に代わり急遽1軍に呼ばれると、北海道日本ハムファイターズの伊藤大海から、プロ6年目の初ホームラン。「あの1本で運命が変わった」と、そこから4試合で13打数6安打8打点。バットを寝かせて構える打撃フォームから、再三勝負強さを見せつけると、スタンドからの「ウーイング」は、日に日に音量を増していった。

この前年に、大学の同級生の國場が引退しており、内心期するものがあったのかもしれない。山川をはじめ、栗山巧、外崎修汰、木村文紀と、故障者が続出して、42年ぶりの最下位に沈むなか、チーム最多の130試合に出場、10本塁打と、大きく飛躍した。

それ以降も、22年9月6日の千葉ロッテマリーンズ戦では、3番森友哉、4番山川に続いてホームラン。球団史上4度目となるクリーンナップ3者連続ホームランを締めくくる。8月28日のオリックスバファローズ戦では、ライオンズ球団通算5000勝目をもたらす勝ち越しタイムリーを放つなど、貴重な左打ちのユーテリティプレイヤーとして活躍する。

昨年3月の第5回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)では、台湾代表チームの一員として、1次ラウンドのパナマ戦でホームランを打っている。

15歳で日本に来てから15年。昨シーズンオフに、8年間を過ごしたライオンズを退団。残りの野球人生は、故郷の台湾でプレーすることを表明した。

今年7月に行われる台湾プロ野球のドラフト会議に向けた準備のため、アマチュアチームの「全越運動」に入団。今回の「LEGEND GAME 2024」参加者のなかで、唯一の現役プレイヤーとなる。

呉念庭 年度別成績

主なタイトルなど
 ・オールスター出場(21年)

「LIONS CHRONICLE 西武ライオンズ LEGEND GAME 2024」
3月16日(土)12:00開場/14:00試合開始
会場:ベルーナドーム
配信:パーソル パ・リーグTV
放送:BS朝日(翌日録画放送)

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