ぎっくり背中になりました。
部屋着のまま日中を過ごすと、なんか一日中気分がだらだらしてしまうので、最近は在宅でもちゃんと服を着替える小林。
今日もまたいつも通り部屋着のスウェットを脱いでズボンに履き替えようと左足を上げたその時、
「ズキンッ!!!!!!!!!!」
突然走る背中の激痛にその場から動けなくなる。え、なにこれ!?背中というよりは左側の肩甲骨の少し下あたり。とにかく激痛。
「え、俺、撃たれた!?」
本気で思った。家の外から実はスナイパーが何日も前から僕のことを狙ってて、ズボンを履き替えるという実に油断しているそのタイミングを見計らって狙撃。全然ありえる。そう、全然ありえるのだ。(ありえない)
まさに狙撃されたが如くその場になだれ落ちる小林。動けない。右足にぶら下がるスウェット。いや、気のせいか。と立ち上がろうとする。
「がはぁっ!!!!!!!」
激痛。動けない。動けるわけがない。左側の肩甲骨の少し下あたり。痛みはその一点。とにかく激痛。
「え、やっぱり俺撃たれた?」
本気で思った。
そう。思い返せば数年前。
僕はある男とひとりの女性を奪い合った。
奪い合ったというのか、僕が本気で好きになった女性には、すでに一生の愛を誓った男性がいたのだ。だからそれを知った時、この恋は絶対に終わらせなければいけないと、そう思った。だけど僕は若かった。ダメだとわかっていても、頭ではわかっていても、次第に惹かれ合う二人を止めることなんて誰にも出来なかった。
そんなある日、僕の存在に気付くご主人。ここまで来て、僕は引けない。そう思った僕は迷うことなく彼女の手を力いっぱい握り走った。必死で走った。
「海外へ逃げよう。」
走りながら僕はそんなことを彼女に言っていた。悩む彼女の手をこれでもかと強く握り、走った。気が付くと僕らは成田にいた。どうやってチケットを取ったかなんて覚えていない。そう、知り合いも誰もいない国で、二人で生きることを選んだのだ。
あれから数年。現地の言葉もずいぶん覚えたしこっちに友人も出来た。こんな幸せの形があってもいいのだと思っていた。でも彼は、彼だけは、僕と彼女の平穏な幸せなど許してくれてはいなかったのだ。
耳を切り裂く銃声とともに痛む背中。身体中に滲む熱い感触。徐々に薄れゆく意識。それでも最後の瞬間に、僕のまぶたの裏に浮かぶのは彼女の姿だった。彼女を愛したことに後悔はない。だけど、僕は愛してはいけない人を愛してしまったのだ。それだけは紛れもない事実。そう、僕は撃たれて当然の人間なんだ。それほどの過ちを犯したのだから。
彼女の声が遠くで聞こえる。なんて言ってるんだろう、わからない、でもいいや、体がとても温かい、なにかに包まれているようだ、そしてとっても眠い。ああ、幸せだなあ、そうだ、少し眠ろう。起きたら彼女と一緒に公園へ行こう。そしてのんびり散歩でもしよう。あの日と違って、優しく手を握って。
そんな夢の狭間にいるような温かさの中で、彼女の声が最後に、かすかに聞こえた。
「あなたを愛してよかった。」
そんな妄想までしてしまうほどの激痛。あ、例えです。それぐらい痛いんです、今も。頭に小説一本出来てまうほどの激痛。そう言うと余裕ありそうに聞こえるなあ、ああ痛い痛い。
背中を刺激しないようこれでもかと浅い呼吸でなんとか横になり、スマホで
[背中 激痛]
と検索すると
「ぎっくり背中」
という見慣れない言葉が出てきた。
「急に背中に激痛を感じて、動くことができない」
「背中を刺されたような痛みが走り、息を吸うとさらに痛む」
このような症状に心当たりがあれば、「ぎっくり背中」を疑いましょう。
背中に急な痛みが走る「ぎっくり背中」。
この痛みは背中の筋肉や、筋肉を包み込んでいる筋膜という組織が破れてしまうことで起こります。
いわゆる「肉離れ」のような状態で、縮こまった筋肉が急に引き伸ばされたときや、こり固まった筋肉に急激な力が加わったときなどに発生しやすいのが特徴です。
ネットにはこう書いてあった。
そして、筋肉の凝り固まりや運動不足、姿勢の悪さが原因で起きるらしい。
...完全に当てはまる。
最近在宅が増えて、家で作業することが増えたけど、うちにはデスクがないのでちゃぶ台と座椅子で長時間同じ姿勢で作業してしまうし、普段からめちゃくちゃ猫背だし、まあUber Eatsしてるから運動不足ではない気がするけど。ストレッチとか全くせず急に自転車乗り始めるからなあ。
「ぎっくり腰なんて、おじいちゃんのもんでしょ、名前もダサいし。」
と思ってるそこのあなた!
僕も思ってました。いや、今も思っています。
それがしかもぎっくり背中て!なに!?
浅い呼吸でぶつぶつ文句言ってます今も。
どなたか、
「あなたを愛してよかった。」
と言いながら僕の背中をさすってください。
切実に。
さて、病院行ってきます。イテテ。
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