見出し画像

見送られるのはエンドロールの前に

緊急事態宣言は  1ヶ月ほど経ちすでに感覚が融解している。

最前線を片隅に皆がネットを徘徊し、粛もその言葉の意味をなさなくなっている。モニターの層に存在する社会は、悲しみが際立って何もつかみ取れない。

申し訳なくも、パソコンの前で意味のないキーボード演奏を続けるのは悲しいけれど、こうしているしかないのです

 今日は雨音が少し道を打ち付けてきて、辺りを、頭の中を、エコーが縮小していく。跳ね返る音が重力を帯びてきたなら

紙に水がしみていくように

こんな静かな雨の日には、敬愛する人を想おう

チリのない、花びらについた雨粒に似た透明な人

そうだこんな日も、彼女の部屋では、私のいたずらな贈り物が丁寧に愛され

埃が払われて、未熟な私がそっと居座っている。

すっかりその部屋の色に満ちた物たちは、あいさつと別れの菊の華、白の反射ととても仲良くしていて、少し羨ましいほどだ。

今度会うのはいつだろう。

エンドロールを見終わった後の 隙間に共有の蒸気が眼を温めた

私の日常に構築されたあなたは、長い年月をたゆたい、今は少し遠くにいる

今も、雨の日はコーヒーをお客さんに入れているのですか        コーヒーフィルターに 香りの蒸気がくぐもって            目にいっぱい 一緒の旅先の思い出が一息一息入るように

ドリップ

フィルタにしみる湯は広がり湯気たち、重力に従って涙を垂らす。    送られた日にそっとしまって改札を抜けて。

コーヒー一杯の永遠。

今度会うのはいつだろう。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?