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<不定期連載>読書会について本気出して考えてみた。|第3話「読書会の楽しさってなぁに?」(田中佳祐・竹田信弥)

田中「こんにちは、ライターの田中佳祐です」
竹田「双子のライオン堂書店の竹田信弥です」
田中「前回は、今まで僕たちがやってきたいろんな読書会について話したような気がしますね」
竹田「この対談のために、リストにしてみたら結構やってきましたね」
田中「今回は、読書会の楽しみというテーマで話していきましょうか。ところで最近楽しかったことはありましたか」
竹田「いつも突然ですね」
田中「面白い話のひとつやふたつ持ってないと本屋やっていけないですよ」
竹田「きびしーいっ(財津一郎より)」
田中「茶番も終わりましたので、じゃあ文学野球大会やった話しますか?」
竹田「はいはい。アレはなんだったんですか?」
田中「やっぱ夏なんで、野球かなって。パワプロの新作も発売されたし」
竹田「中学生か!」
田中「今日は、ツッコミますね〜」
竹田「夏なんで、しか説明されてないので、もう少し詳しく聞きたいんだけど。めちゃくちゃガチでしたよね」
田中「PS4のゲームで僕たち二人が育てた文学者たちを対戦させました。いまも双子のライオン堂のYouTubeチャンネルでアーカイブが残っているので見てください」
参考:https://www.youtube.com/channel/UC27lHUOKITALtPBiQEjR0Dg
竹田「急に、文学者育てとけって言われて、ぼくは適当にチーム作って当日迎えたら、田中さんのチーム強いし、“那須きのこ”とかちょうど良い塩梅の文学者を設定まで含めて完璧に揃えてて、ドン引きでした」
田中「いやー、楽しかったなぁ。一番バッターの中上健次が安打を量産してくれましたから、満足満足ですよ。店長のチームのゲーテもなかなかいいピッチングしてましたし、しまった良い試合になりましたね」
竹田「で、これなんの話ですか・・・」
田中「じゃあ肩も温まったところで、本題に戻りましょうか」
竹田「野球だけに、っておい!」
田中「まず、読書会に参加するときにどんな楽しみがありますかねー」
竹田「そうですねぇ、シンプルに本を読むモチベーションが上がることですかね」
田中「締め切りは大事です」
竹田「あとは、他人の感想や雑談から新しい本を知れることも楽しい」
田中「僕は一人だと挫折しちゃうような本に挑戦できるところがたのしいですね。他にも参加してくれたお客さんからの感想でなにかありますか?」
竹田「本の話をする場所が、普段の生活だとあまりないっていう話はよく聞きますね。確かに会社で最近読んだ本の話ってしないかも。本屋をやっていると意外と気がつかない。寝ても覚めても本の話ばっかりだから」
田中「そういう読者が日々悩んでいることを知れるのは、本屋が読書会をやるメリットかもしれませんね。そこに何か本屋の未来を開くヒントがあるかもしれない」
竹田「たしかに、結構あると思う。うちで行ってきたいくつかのイベントや出版企画は、読書会から生まれたものもありますし」
田中「今回は、読書会の楽しみ回なんで深掘りしませんけど、それについても今度、書きましょう!」
竹田「そうしよう」
田中「ちょっと変わった読書会の楽しみとかあります?」
竹田「そうそう、順番に音読してから感想を話す読書会をやったときのことですけど。ぼくは音読が苦手で事前に家で練習していったんです。それがとても楽しくなって、いまでもたまに音読するようになりました。音読すると、上手い下手関係なく、頭に入る深度みたいなものが変わる気がしていて、哲学書とかけっこう向いているかも」
田中「大人になると音読ってやらないですよね」
竹田「やらないねぇ。田中さんは何かありますか?」
田中「北海道文学に関する本『北の想像力』の読書会をやって、興味をもってくれた友達と北海道旅行に行ったことかな。僕は古典文学とか昔の本を読むのが好きなんですけど、新しい本を読んで関連する場所を訪れるのは楽しかったです。読書会で気分が盛り上がらなければ、行かなかったと思います」
竹田「実際に北海道まで行っちゃうのすごいよね。懐かしいな。版元の寿郎社さんにも、その企画を発見されて、札幌の会社まで招かれたんですもんね」
田中「そう。『北の想像力』の北海道在住の書き手さんまで集めていただいて、小さな懇親会もしてくれました」
竹田「僕は、お店からオンラインで少し参加したのを覚えています」
田中「じゃあ、次は主催の楽しみを書いてみますか」
竹田「お店としては、お客さんが来てくれる!」
田中「それ楽しみっていうか、メリットじゃないですか!」
竹田「いやいや、人が集まるって、すごく大事なことです。もちろん、本屋ではゆっくり静かに本を選びたいってニーズがあるのも理解した上で。それでも、これからの本屋は、人をどう呼び込むかっていうのがとっても重要な議題だから。儲けとかそういうこと以前に人がいる場所をどう作るかが大切かなと思う。お店ってひとりじゃできないですからね、運営って意味じゃなくて、お客さんありきでお店は存在する」
田中「なるほど。僕は主催する方が参加するよりも楽しいと思っているので、みんな主催すればいいのになと思ってます」
竹田「どゆことー(『日常』より)」
田中「主催すると、当日ぼーっとしていられないなというプレッシャーがあって、本をいつもより熱心に読んだりとか、関連書籍も読んだりとか準備をしっかりするんですね。その準備が、読書会に活きているのはまったく分かりませんが、当日までの時間が楽しいです」
竹田「そういう意味ですと、僕はハーフアンドハーフですね」
田中「ピザか!」
竹田「田中さんには申し訳ないですけど、僕は主催側でもあり参加者でもあるという、いい立場でいさせてもらっています。なので感想が自由に話せるのが楽しいです」
田中「読書会を主催していると、本の趣味が合う人とかが来てくれて、常連さんとか友達ができますね。ただ、それだけだと一般的なイベントでもあることですけど、その出会った人がまた新しいテーマで主催をしてくれるようになったりして、新しい本との出会いが広がったりもしますね」
竹田「読書会は、主催と参加者がフラットな関係でいやすいですね。別に著者じゃないし、答えを知ってるわけじゃないというか」
田中「そうですね。あと、長く続けているからこそいろんな人からいろんな企画が生まれる」
竹田「主催してて大変なこともありますよね?」
田中「それは次回以降に書きましょう。他に、続けるコツはなんですかね」
竹田「んー、適当なことも大事じゃないかな。もちろん、最低限は整えますよ、お店の看板ありますから。でも、ゲストがくるというのとは違うので、肩肘張らない感じというか。あまり準備に凝りすぎると重荷になって続かない」
田中「あと、単純に、2人で始めること。2人いれば、参加者が0人でも読書会できますから。これはとても重要なことです」
竹田「2人いると一方が脱線して暴走しても、修正できる。参加者は、なかなか主催者にツッコミいれたりできないですからね」
田中「参加者がたくさんしゃべっちゃうのはかまわないけど、主催がひとりで長くしゃべりだすとつらいですよね」
竹田「おれのことかー!」
田中「読書会って、他の出版系のイベントとちょっと違うところがありますよね」
竹田「なんですかね」
田中「例えば、本について詳しく知ろうと思ったら著者イベントとか専門家のトークイベントとかに行けばいいですし、意見を言うだけだったらTwitterで書いたりすればいいですよね」
竹田「はい」
田中「読書会では、読者だけで脱線も含めて色々なことが話せます。本の良いところが見つかればまた読みたいと思うし、悪いところが見つかれば該当の箇所や別の本を読みたくなる。一冊の本の良いところとそうでないところを両方話せることが、読書会の楽しみだと思います。なので、主催している時にその本が好きな人と嫌いな人の両方がいると、とても楽しいです」
竹田「著者が混じってたりしたら、それはそれでドキドキしますね。実際なんどかありましたし(笑)」
田中「人狼みたいに、著者を最初にあててから始めないと安心できないですね」
以上!

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